3話 初めてデートに誘いました。
僕は頭を抱えていた。
僕の携帯の通知ランプは今も光っている。
僕と大神さんは連絡先を交換した直後から大神さんが積極的すぎて
『赤須クン。通話しない?』
『赤須クン。おやすみ』
『赤須クン。おはよ』
『赤須クン。既読スルーするな!』
僕はなんて返せばわからなかった。
考えるんだけど、それ以上に大神さんの積極さの方が上回り、そのままメッセージが積み重なっていた。
「赤須くん。また、呼ばれてるわよ?」
ふと、意識が戻ると、僕のクラスの委員長が呼び掛けてたらしい。
「委員長。ありがとう。」
「大神さんなんだけど、気をつけてね」
委員長は気をつけてねと言った。
僕の聞いた範囲だと大神さんは陽キャでクラスの中心人物であり、学校外だと交友範囲も広く、大人の男の人と一緒にいたという噂もあった。この前の露出の多い私服を好んでるというのも信憑性を上げてるのもあるだろう。
僕が廊下に出ると
「赤須クン、話があるの。だから来て」
「わっ!? わっ!?」
僕は、また大神さんに腕を強く握られ強く引っ張られた。
そして連れ去られた場所は、また同じく誰も来なそうな校舎の端っこ。
「赤須クン。何か言いたいことある?」
「…ごめんなさい」
大神さんの言いたい事はわかってる。
なので僕は逆らわずに謝罪をした。
「僕も返そうと…したんだけど、何を返せばいいのか…わからなくて」
「ふーん、そっかそっか。嫌われてるわけではないんだね」
「き、嫌ってません! その…初めての…経験なので」
すると大神さんの顔は喜びのせいか、くしゃりと破顔していた。
「赤須クン、既読スルーはダメだからね。あたしの心は深く傷ついたから」
「その…ごめんなさい」
「だったら、反省の意味も込めてデートに誘ってよ」
「…え!? えぇぇ!?」
大神さんからの提案に僕は驚きを隠せなかった。
今日、僕は初めてデートに誘うという新たな項目が増えるのだった。
「じゃなきゃ許さないよー。こんな赤須クン大好きなギャルを弄んでるんだから」
「えと…その」
僕は真っ白になっていた。
何を言えばわからない、何て聞けばわからない。
「恥ずかしい? ならメッセで送ってくれてもいいよ? デート行きませんか?って」
「僕…とデート…ですか」
「もちろん。赤須クンに拒否権はないよ」
大神さんによって逃げ道は塞がれた。
僕はゆっくりと携帯から大神さんへとメッセージを書き連ねていく。
文字を打つ手は震えが止まらなかった。
『大神さん、デート行きませんか』
『行く!』
今日、初めて異性をデートに誘いました。
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