死人の住む部屋
今回は、とあるアパートの一室で起こるとても恐ろしいお話。ホラーっぽく書いてみたものの、なにせこういう系は初めてなもので、読みづらいし短いかと思いますが怖がって頂けたら光栄です。
○○県××市のとあるアパートの一室。通称『死人部屋』。なんでも、その部屋に関わった人の死が異常に多いという噂が流れ、近所の人からはそう呼ばれているらしい。そんな部屋に…「なぜ俺は、住んでしまったんだ!」オカルト好きの友達、佐藤から勧められ、妙に価格が安く、事故物件との説明もなかったのでなんの疑いもなく入居してしまったが、まさかそんな噂があったとは。「アイツよくも…!知ってたら、こんな部屋買わなかったのにぃ…!」佐藤からメールが来ていた。『俺も下見したんだけどさ、どうだ倉内、良い部屋だろ?w』だそうだ。後悔の念を叫んでみるものの、買ってしまったものは仕方ない。噂は噂だし、それを除けば普通にいい物件なのだ。駅から徒歩10分、スーパーも銭湯も近くにある。部屋は風呂こそついてはいないが、暮らすには十分な広さである。まぁでも、住んでしまったものは仕方ない。「とりあえず荷物を置かなきゃな。」積み上がったダンボール箱から前住んでいた部屋の家具や電化製品、小物を取り出していく。やっとの思いで片付け終わり、ダンボール箱を畳んでいたとき。ダンボール箱の下に見覚えの無い汚れがあった。いや、汚れじゃない。文字だ。なんとなく気になって読んでみると、そこには、赤黒く滲んだ字でこう書かれていた。
『ヤァ アタラしイヒト ダね ヨウコソ ボくらノうち ヘ』
「はぁ?」思わず反射的に言ってしまった。しかしよく考えたら、勧めてきたアイツの悪ふざけにしか思えない。そういえば下見に来たとか言っていた。そんときに書きやがったな。「アイツ…どこまで俺をおちょくれば気が済むんだよ…!」怒りを抑えながら佐藤に電話をする。十回ほどコール音が鳴ったが佐藤は出なかった。さては電源を切ってやがるな。だがこれで佐藤の悪ふざけということは確定した。全く、一瞬怖がって損したよ。「あれ、もうこんな時間か。」気づいたら時計は夜七時を回っていた。「よーし、今日はもう飯食って寝るかぁ!明日の朝アイツに鬼電してやる!」疲れも溜まっていたので、晩飯を食べた後、汚れを消し、いつも使っているアロマキャンドルに火をつけてリラックスした後、火を消して眠りについた。
翌日、テレビを見ていると、電話がかかってきた。俺は「佐藤だなぁ!?」と、すぐに電話にでた。佐藤の親だった。俺は自分の耳を疑った。佐藤が死んだらしい。それも飲酒運転の車による急な事故だそうだ。佐藤の親は、俺と仲が良かったのを知っていたからわざわざ電話してくれたらしい。するとテレビから、
「今朝、○○県××市の国道△△線で、飲酒運転による事故が発生し、佐藤晃さん(23)が死亡しました。警察は〜」
佐藤だ。しかもどうやらこの近くのようだ。電話を切ると、俺はあの噂を思い出した。「死人部屋。関わった人間は全員死ぬ。か。」そして同時にもう一つ、あの謎の文だ。まるで俺を歓迎しているようなあの文。とにかく怖くてたまらなかった。その日は一日中、バイト先で仲がいい先輩の部屋に居させてもらった。もちろん念の為部屋の話はしていない。だかずっと居る訳にもいかないので、次の日には自分の部屋に戻った。ベッドに横たわり、いつも使っているアロマキャンドルに火をつけ、目を閉じて考える。(俺は、もうすぐ死ぬのだろうか。だが、佐藤は俺に部屋を教えてから随分後に死んだ。つまり、関わった人間はすぐ死ぬ訳では無いのか…?事実、俺もまだ死んでいない。すぐに霊媒師でも呼ぶか…?だが、俺みたいなやつを除けば噂を知っている人が入居した可能性が高いうえ、その人たちが一回もお祓いをしていないなんて考えにくい。だから俺にもまだ、希望が、ある、はず…だ…)そんなことを考えているうちに、すうっと意識が薄れていった。
数日後、不動産会社で働くとある男はニュースを見ていた。
「先日、○○県××市のアパートの一室のベッドの上で、倉内駆さん(22)の遺体が発見されました。死因は一酸化炭素中毒とみられ、近くにアロマキャンドルが置いてあったことから、警察は誤って火を消し忘れた可能性があるとみて捜査を〜」
(あぁ、またあの物件か。でも確かあの噂、間違ってるんだよな。『関わった人が全員死ぬ』じゃなくてあの部屋の中を『一瞬でも視界に入れた人』が、死ぬんだよな。だから撤去も出来ないし、アパートには誰も住もうとしない。でも何故か人は集まってくる。か。なんなんだろうな。呪いでもかかってんのかな。まったく、これだから『視認部屋』は…)
いかがでしたでしょうか。死人と視認をかけたの自分でも安直過ぎるなぁとは思ったんですが、これくらいしか思いつかず…笑 またアイデアが思いついたら書きます。
読んでくださりありがとうございました。