第十八話 とある使い魔とさよならあっくん
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作者の別作品、マッチングアプリで出会ったパパ活JK拾ったら懐かれて俺の人生がヤバい。もよろしくお願いします。
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香苗ちゃん、絵梨花ちゃん、有希ちゃんの魔法少女トリオwith使い魔三匹対古龍種アースドラゴンのあっくんの戦いは予想通り魔法少女トリオの圧勝だった。
あっくんのブレスは全て有希ちゃんの展開する障壁によって完封され、香苗ちゃんの純粋魔力で作られた触手があっくんを絡め取る。
止めは右手を鬼神化させた絵梨花ちゃんのグーパンチ。横っ面に食らったあっくんは百メートル程吹っ飛ばされ、歯を十本くらいへし折られて気絶した。
あっくんには申し訳なかったが、後は俺があっくんを回復してやってから向こうの世界に送還すればミッションコンプリートだ。と思ったのも束の間…
「ところでこのトカゲさんどうします?」
「テンプレなら美少女に変化してお兄さんを誘惑する害獣になるに決まってますね。始末しましょう」
「その展開なろうで二万回くらい見たわ。マズイわね、殺すわ」
おいおいどんな被害妄想だよ。確かにそんな展開は古今東西腐るほどあるし、白蛇が神格を得て美少女に変化した蛟の例もある。
だが、あっくんはオスだ。
大事な事なので二回言おう。
あっくんはオスだ。
鬼神化した右手をグーパーさせながら絵梨花ちゃんがあっくんに近づいて行くと、殺気を感じて気絶から目醒めたあっくんが大急ぎで俺の背後に隠れる。
「グルゥ……」
「やっぱりこのトカゲ、メスの顔をしてるわ」
「グルッ!グルゥグルゥ!」
「危ないわね、どうせ鱗の色と同色の赤髪の美少女に変身して、助けてもらったお礼にとか言って真一を誘惑するに決まってるわ。待ってなさい、一思いに口から上を消し飛ばしてあげるから」
いかん、このままでは悲しい誤解であっくんが殺されてしまう。
大急ぎで転移ゲートをあっくんの足元に開き、送還を開始する。
「あっ、何送り返そうとしてんのよ!」
ゲートが光に包まれて閉じる瞬間、あっくんが赤い髪の男の娘に姿を変えた気がしたが気のせいだろう。俺は何も見ていない。
大事な事なのでもう一度言おう。
気のせいだ!
***
あっくんを元いた世界に間一髪送還し、まだ一緒に居たいと喚き散らす三人の幼女を丁重に送り返した後、陸上自衛隊S市駐屯地の会議室に俺はいた。
大学の講義に使う講堂の様に教卓から段々と高くなっていく講聴席には、魔法で応急処置を済ませた米陸軍特殊部隊怪異物対策班、通称MCTの面々と、ほぼ無傷ではあるが疲れ切った顔をした特捜局東北支部の女子高生三人組が座っている。
「えー、MCTの皆さん、それから特捜局から参加してくれた美鈴ちゃん、鈴音ちゃん、三雲ちゃんの三人も、合同演習お疲れ様でした。」
呑気な声音でそう挨拶したが、何が気に入らなかったのかマクレガー大尉が噛み付いてきた。
「アレの何処が演習だと言うんだね!?ただただ死にかけただけじゃないか。そもそもあのドラゴンは何処から連れてきたんだ?あんなものが解き放たれたら都市が一つ簡単に消えてしまうだろう。一体君は何者なんだ。黒川特別訓練担当教官」
MCTで日本語が話せるのがマクレガー大尉だけなんだろう。他の隊員は今にも爆発しそうな不満顔をして押し黙っている。
「何者かと言われても、さっきアンタが言った通りの特別訓練担当教官だよ。ただちょっとばかり魔法が得意なだけだ。それにアンタらが手も足も出なかったあのドラゴンは別に俺が生み出したわけじゃなく、M県の山奥に迷い込んでいた。たまたま運良く話の通じるドラゴンさんだったが、もし同じ力を持った魔獣や悪魔がニューヨークやワシントンD.C.に現れた場合、アンタらは倒せるのか?自分の国を守れるってのか?」
「…悔しいが無理だろうな…」
いい歳したおっさんがへこむんじゃないよ。
「アンタらは大きな思い違いをしてる。俺が訓練した特捜局の三人もだ。鈴音ちゃんと美鈴ちゃんが得意なのは炎と氷の魔法だったか?そんなもん火の玉、氷の塊を相手にぶつけるだけじゃ対戦車ライフルの方がよっぽど破壊力あるだろう?前にも言ったが魔法は想像力が重要だ。一例を挙げれば、俺ならあっくんの体内に数万度の熱源を出現させて内部から溶かし尽くすなり、絶対零度の空間を作り上げて一瞬でその生命を奪う事も可能だ。それから三雲ちゃん、以前渡したミスリル製のナイフならきっちり魔力を付与できればあっくんの鱗だってバターみたいに切り裂けるはずだ。要するに三人とも練度不足だったって事だな。MCTの隊員についてはそれ以前の問題だ。」
室内にいる全員が項垂れていた。
そりゃ、これまで自分の国を守ってきた自負を粉々に打ち砕かれたらこうもなるだろう。
お通夜のような雰囲気の講堂を出た俺はポケットから取り出したスマホで蔵王のおっさんに電話をかけた。
「ああ、無事?とは言えないが合同演習は終わったよ。これからS市に戻る。大河原姉妹と三雲ちゃんは最近伸び悩んでいたみたいだし、良い薬になったんじゃないかな。アメリカさんたちは、どうかなあ?薬が効き過ぎてなきゃ良いんだが。」
「そうか…まあ何はともあれお疲れ様。報酬はいつも通りに振り込んでおくよ」
「了解。大した事はしてないけど今回も精神的に疲れたよ。暫くゆっくり休みたいもんだ」
そう言って通話を終了して、一つ溜息を吐く。
図らずとも俺の力の一端と、魔法少女三人の戦闘力を目の当たりにしたアメリカさんがこれからどう動くのか。俺には関係無い事とは言え、日米間の関係性はかなり大きく変わっていく事だろう。
国さえ滅ぼしかねない多大な戦力を有する個人が日本にだけ集まっている現状では仕方ない事かもしれないが…
「喫茶店のマスターとして平和に生きていきたいだけなんだがなあ…」
本日も閲覧ありがとうございました。




