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第十四話 とある使い魔とみんなの家

本日より新作始めました!


「マッチングアプリで出会ったパパ活JK拾ったら懐かれて俺の人生がヤバい」

https://ncode.syosetu.com/n9706hn/


本作と同じ世界線、時間軸の話ですが魔法は出てきません。もしかしたら今後ゲストキャラクターは出てくるかも?


こちらも是非宜しくお願い致します。

また、評価ブックマーク頂けますと嬉しいです。


クーの歓迎会を開いた翌日、俺は朝から近所の不動産屋にいた。隣には夏休みに入ったばかりの香苗ちゃんが保護者みたいな顔をして座っている。


事の発端は昨日の飲み会の途中、香苗ちゃんが以前俺とした約束を持ち出した事だった。


マーダーグリズリー討伐に赴いた俺はテントで香苗ちゃん、絵梨花ちゃん、ミァにしがみつかれて身動きが取れず、危うくおしっこを漏らしかけたところで香苗ちゃんに救われた。何でも一つだけ言う事を聞くと言う条件で…


その条件出された時は死んだなって思ったよ。絶対ここに書いたらノクターン行きになるようなヤバい要求されると思ってたもん。


でも俺の予想は見事に裏切られたんだ。


「私、またお兄さんと一緒に住みたいです…」


そう言って俯いた香苗ちゃんを見て、俺は酔っ払った頭で考えた。


香苗ちゃんのアパートに戻るのはどう考えても俺の理性が持たないから却下するとして、香苗ちゃん母娘がカフェ二階の居住スペースに越してくるのも部屋数が足りていないから難しい。それに今日から同居するクーや、以前から住み込んでいたワイルドブラッド三兄妹とよし江の住む場所もどうにかしなくちゃいけない。


カフェ二階の居住スペースはリビングとトイレ、バスルーム、部屋が三部屋。俺、よし江とミァ、レオとライアンの部屋割りで使っていた。まあだいたいよし江は犬モードで俺の部屋に入り浸っており、寝る時も俺と一緒に寝るから実質ミァが一人部屋を独占している形になってるけどな。


むしろ四六時中よし江が一緒にいるから色々溜まってヤバい。俺にだってプライベートは必要だと思うんです。たまに寝ぼけて変身が解けたよし江が裸で俺のベッドに寝ている事がちょいちょいあって、俺の理性はもう限界なんです。ちなみに今朝もそうだった。


で、結局家を買う事にした。

菱山の先代からガメた金は、カフェの経営が順調な事もあって殆ど手付かずで残っているし、先日特捜局からも魔導具の売り上げの入金が二億ほどあったから懐だけは無駄に暖かかった。


「マンション一棟買いたいんですが…」


突然幼女を連れて現れたTシャツに短パン姿の男がマンションの部屋では無くマンション一棟購入したいと言い出した為に不動産屋の受付のお姉さんはかなり面食らってしまったようだ。


「あ、あの…ご予算の方は…?」

「とりあえず十二億、年内中の支払いで良ければまだまだ積めますが」

「し、少々お待ちください!奥の応接室へどうぞ!」


店長ー、くっそ上客ですよー!と叫びながら受付のお姉さんが奥に向かって数分後、あからさまに揉み手をしながら不動産屋の店長と思われるバーコード頭のおっさんが現れた。


「ささ、奥の応接室へどうぞ。今資料をお持ちしますから」


応接室に案内され革張りの高そうなソファに腰を下ろすと、先程の受付のお姉さんがコーヒーを持ってきた。


「可愛らしい娘さんですね」

「私とお兄さんは恋人同士ですが何か?」

「あはは…知人のお子さんでして…」


お澄まし顔の香苗ちゃんに狼狽する俺、苦笑いを浮かべたお姉さん。そんな三人を尻目に店長さんは淡々と物件の説明を始める。


「投資目的でしたらこちらのマンションはいかがでしょう?利回りも五パーセントを超えていますし、予算から見ても丁度いい物件ですよ」

「社員寮に使おうと思っていますので、特に利回りは気にしていません。築年数が浅くて、1LDK以上、欲を言えば一家で入居する社員もいるので2LDKくらいの間取りの部屋が九部屋から十五部屋くらいあるマンションが良いですね。」

「なるほどなるほど、ちなみにお仕事は何を?」

「泉区でカフェの経営をしています。それからこじんまりとですが製造業を。国の機関に納入させていただいています」

「そう言う事でしたら、こちらとこちらはいかがでしょうか。どちらも泉中央駅に近いですし、間取りもご希望通りかと思います」


バーコード店長が広げた資料に載っていたのは1LDKが六部屋、2LDKが六部屋の計十二部屋で各階三部屋ずつの四階建マンションと、2LDKのみ十五部屋の六階建マンションで、お値段はそれぞれ三億円と四億円。


どちらも数年前に関東のディベロッパーが建設した鉄筋コンクリートの比較的綺麗なマンションだった。どちらのマンションも現在入居者は無しで入居者募集から行わなければならない為に若干安めの値段設定にしているとの事。まあ社員寮として使いたい俺からすればどちらも好条件ではある。


「香苗ちゃん、どっちがいいと思う?俺はどっちも良さそうだと思うけど」

「そうですね、どっちにしても今のアパートよりは部屋も広くなりますし、私もどちらでもいいんですが…あ、収納が多い部屋の方が嬉しいですね。」

「それならこちらの方がよろしいかと。全部屋に物置として使える三畳の納戸がついておりますので」


そう言ってバーコード店長が指し示したのは全部屋2LDKの方のマンション、俗に言う2LDK+Sってタイプらしい。


「んじゃそれでお願いします。資産証明とか銀行の残高証明って要りますか?即金で買いたいんですけど…」

「そ、即金ですか?」

「はい、すぐ持ってきますけど?」

「いえいえ、まずは物件を見ていただいてですね、それからご契約となりましたならば、私どもの口座に入金いただきまして…」


なんかすごく困ってるバーコード店長。仕方ないやん、俺こんな高いもん買うの初めてなんだし。お金渡したらすぐ買える訳じゃないのかよ!


「お兄さん、とりあえず部屋見せてもらいましょう?」

「あ、ああ。そうだな」


バーコード店長の運転する車でマンションの下見に向かう。カフェリトルウィッチと泉中央駅のちょうど中間にそのマンションは建っていた。職場まで徒歩で三分、これならよし江もミァも文句は無いだろう。


室内の内見では俺以上に香苗ちゃんが熱心に水回りとかコンセントの位置や電話線とLAN線の位置を確認していた。


「いいとこだね、でも香苗ちゃんこんな簡単に決めちゃっていいの?香澄さんと相談したりとかは?」

「お母さんには話してあるから大丈夫です。それに今のアパートより広くて綺麗なら何でもいいってお母さん言ってたし」


そりゃ、大抵のマンションはあのアパートよりは広いし綺麗だよ。香澄ママ、ハードル低すぎだ。


「それじゃ契約進めてもらっても良いですか?出来るだけ早く入居したいので、届出とか役所関係はお任せします。そちらのお店が受け取る仲介手数料は即金で色付けて渡しますんで、色々便宜図ってもらえたら助かりますね」

「黒川様、承知致しました。早急に手続きを進めさせていただきます」


そう言ってバーコード店長は車で店へと戻って行った。俺と香苗ちゃんはカフェリトルウィッチに向かって歩き出す。


「お兄さん、私の我儘でこんなにお金使わせちゃってごめんなさい…」

「いや、どっちにしろ今の家だとクーの寝る部屋も無いし、香苗ちゃんのアパートに転がり込む訳にもいかなかったから、ちょうど良かったよ。レオとライアンは身体がデカいから今の部屋じゃ狭そうだしな」


沈みそうになった香苗ちゃんの表情に笑みが戻る。


「それに、蔵王のおっさんに頼まれて警察署に配備する武器とか魔導具作ってるんだけど、結構いい収入になりそうなんだ。香苗ちゃんにも魔導具の作り方教えるからそのうち手伝ってよ。バイト代も出すからさ」


嬉しそうに笑った香苗ちゃんを伴ってカフェリトルウィッチのドアを潜ると…


「遅かったの、待ちくたびれたんじゃよ?」

「あ、おかえりなさい。お邪魔してます」


良く似た二人の和服を着た少女が俺を待っていた。四軒隣のケーキ屋から仕入れているウチの定番商品であるショコラケーキを食いながら。


本日も閲覧ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 蛟キター [一言] ケーキとかカフェで作ってるものじゃなかったんだな。
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