第十三話 とある使い魔と女の戦い
ギリギリ本日の更新間に合いました。
遅くなって申し訳ありません。
今回ちょっと糖分多めです。
それから後書きにお知らせがございます。
あれ、なんなんこの人口密度は。
さも当然のように俺の左右の膝の上に座る香苗ちゃんと絵梨花ちゃん、片側二人掛けの四人用テーブルなのに、何故か左右をミァと本吉さんに挟まれ、さらに正面にはよし江とクーが座っている。
なんで四人掛けテーブルに七人座ってんの?狭くない?
「兄弟はお子様に大人気だな。ほら絵梨花ちゃん、お爺ちゃんの横空いてるからおいで」
「お爺ちゃんは少し黙ってて。絵梨花はお子様じゃないの!」
「松島会長は失礼ですね、私は歴とした大人の女ですよ?捻り潰しますよ?」
会長ざまあ、孫に嫌われたな。
それからよし江、本来大人の女は小学四年生や中学二年生や高校二年生に本気で張り合わないからな。
「マスター、ずっと聞きたかったんですけど、よし江さんってマスターの何なんですか?出来る妻ムーブしてますけど、マスター独身ですよね?」
「んー?ペットの大型犬かな?」
「店長酷いです、昨夜も寝る時に私の身体を滅茶苦茶に撫で回した癖に」
「いや、だから犬だろ。ヨッシーくんは」
「吸血鬼ですからね?」
俺とよし江はこのくらいの距離感でいいんだよ。正直よし江が狼の姿じゃなかったら一緒に寝るとか絶対照れて無理だし、よし江って黙ってれば顔は可愛いもんな。言ったら確実に調子に乗るから言わないけど。
そんな俺とよし江のやり取りに若干不満顔の本吉さん。おおう、ギャルのおこ顔怖いわ。
「マスターはよし江さんに甘すぎじゃないですか?」
「そりゃ妻ですもの、夫としては甘やかさなきゃいけないんですよ?」
「いや妻違うから」
「ほら、マスターもこう言ってますよ?」
「三雲ちゃん、店長は照れてるだけで私の事が大好きで堪らないんです。三雲ちゃんが入り込む隙間とか無いですからね?高校生はお勉強しっかりして適当な大学入ってテニサー崩れのチャラ男とパルコ行ってその辺のラブホすら入る金ないからチャラ男の貧乏アパートで底辺エッチでもしてれば良いと思いますよ?意味も無くウェーイって言うんですよね?今言ってみてください、聞いてみたいです。ほら、ウェーイ」
よし江煽りすぎ、お前どんだけ陽キャ大学生嫌いなんだよ。つーか隙間も何も本吉さんまだ高校生だからね?俺捕まりたく無いから手なんて出さないからね?
「うわムカつく、よし江さん私がギャルっぽいからって馬鹿にしてますよね?よし江さんこそマスターに犬としか思われてないんですからいい加減諦めたらどうですか?私とマスターが結婚したら新築した一戸建ての庭によし江さん用の犬小屋も建ててあげますね、あ、マスター、私マスターの事好きです。ギャルは嫌いですか?見た目派手なだけで一途ですよ、私」
あれ?今俺本吉さんに告白された?
突然の告白に思考が追い付いてこない。だって告白された事なんて無いからね?しかも相手女子高生よ?
「シンイチお兄ちゃんはモテるんだね、妹として鼻が高いなー。でもシンイチお兄ちゃんの一番はクーなんだよね?」
「群れのオスが番のメスをいっぱい侍らせるのは当然の事だからボクはそんな事で喧嘩なんてしないニャ、よし江も三雲もおかしいニャ」
マイペースな異世界組のお二人。
まあ向こうの世界じゃ一夫多妻は割と普通だったし、ちょっと価値観違うんだろうね。つーか、クーは別に俺の事好きでもなんでもないだろ。今も適当な受け答えしながら焼きエビの殻剥いてるし。
「お兄さんは私が十六歳になって結婚出来る年齢になるまで彼女作ったりしませんよね?」
「真一、絵梨花が十六歳になるまで待てないのかしら?」
あう…
正直この二人が一番重い。
単純に慕ってくれるのは嬉しいけどさ、
小学生ですよ?九歳ですよ?
可愛いとは思うけど、やっぱり親目線と言うか、どやウチの子可愛いやろ?的な可愛さなんだよなあ。
と言うかみんな何なの?マジで俺の事好きなの?ミァはガキの頃にやたら懐かれてたから、お兄ちゃん的な家族愛だと思ってたけど、番とか言ってるし。本吉さんも何か台詞が本気っぽいし。なんでこの状況で人生初のモテ期が来るん?タイミング悪すぎね?この世界の神様俺に何か恨みでもあんのかな?
「あー、みんなの気持ちは嬉しいんだが、松島会長が言ったようにみんなまだ未成年なわけで、多分一時的に熱くなってるだけだと思うわけですよ。大人になる頃には俺の事なんて、何このおじさん?くらいに思うようになるって、きっと」
何か自分で言ってて悲しくなってきたな。
「ちょっと待って下さい店長。私はもう二十四歳ですから全く問題ありませんよね?私も店長の事…その、あの…す…好きですよ。」
急にマジトーンになって恥ずかしそうに言うよし江。
「あ、ありがとう…なんか照れる」
よし江の目が潤んでる。
真面目に言われると面食らうよね。あー、やべ多分俺の顔今真っ赤になってるわ。
「何二人の世界に入ってるんですか?お兄さん」
超至近距離からジト目でこちらを睨みつける香苗ちゃんの冷ややかな声で現実に引き戻された。
「………すまんなよし江、それから他のみんなも、気持ちは嬉しい。でも俺自身こんなの初めてで気持ちの整理も付かないからもうちょっと待ってくれないかな。ちゃんと考えて答え出すから」
チキン野郎と笑うなら笑え。
長年ぼっち拗らせてきた俺にはこれでも精一杯なんだよ。
「仕方ないですね。店長がヘタレなのは今に始まった事じゃないですし待ってあげますよ?」
「うん。時間貰えたと思ってどんどんマスターにアプローチするね。」
「ボクはいつでもいいニャ」
「お兄さんは私が大人になるまで答えなんて出さなくていいと思います」
「そうね、その頃にはみんなババアだから絵梨花と香苗の勝利は揺るがないわね」
ああ、みんないい子だな。
こんなクズみたいな返事にもならない返事に真摯に応えようとしてくれてる。俺なんかには勿体無い子ばっかりだよ。
感動したのも束の間のこのタイミングで、香苗ちゃんが爆弾をぶっ込んできた。お前何勝手に綺麗に〆ようとしてんだよ?と言わんばかりに………
「それはそうと、お兄さんは私とした何でも言う事聞くって約束、忘れてませんよね?」
「は、はい………」
本日も閲覧ありがとうございました。
今週末あたりから新作の連載を開始する予定です。
交互に毎日更新にするか、短期集中型で新作を連続投稿するか、まだ迷っています。
新作タイトルは以下の予定です。
気になりましたらこちらも是非よろしくお願いします。
「マッチングアプリで出会ったパパ活JK拾ったら懐かれて俺の人生がヤバい」
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