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第三話 とある使い魔の新規事業計画

今まで知らなかったんですが、ブックマークだけじゃなくて評価するのにもユーザー登録が必要なんですね…


手間をかけてしまって大変申し訳ありませんが、

ユーザー登録は割と簡単ですぐ終わりますので、ユーザー登録の上、評価ブックマーク頂けたら嬉しいです。


俺は唖然としている蔵王のおっさんと柴田さんを会議室に残して警視庁本庁舎を出ると、近場のスポーツ用品店で剣道の素振り用の木刀を何本か買った。勿論領収書を貰うのも忘れない。


会議室に戻ると、何がなんだかわからない二人を尻目に、アイテムボックスから魔石を砕いた粉末を取り出すと水魔法で作り出した純水と混ぜ合わせた。魔法陣を描くインク代わりに使う魔力水だ。あとは木刀の柄の部分に魔法陣を描いて、魔力を通して…よし出来た。この間僅か五分足らず。


「簡易式魔法剣〜」


未来の世界の青いタヌキ型ロボットが秘密道具を取り出す時の効果音が、俺の頭の中だけで鳴っていた。


「黒川君、それは…?」

「木材ってのは割と魔力の浸透率が高くてね、二、三発魔獣をぶん殴る程度の魔力を付与した魔法剣のパチもんみたいな?」


蔵王のおっさんは俺が作った簡易式魔法剣、見た目はただの木刀を持って柔剣道場に行くと、打ち込み稽古に使われるマネキンに剣道の防具を着せた打ち込み台に簡易式魔法剣を振り下ろした。


「は?何だこりゃ…」


殆ど力を入れず、魔法も発動していないにも関わらず、剣道の防具ごと鉄製の打ち込み台は真っ二つになった。


「まあまあの出来だな。数回使ったら魔力を補充しなきゃいけないのが難点だけど、これなら普通の警察官でも中級くらいまでの魔獣なら倒せるんじゃね?」

「中級ってのがどれほどのものか知らんが、少なくともこの木刀持った一般警察官の方が特捜局の下位捜査員より強くなるのは間違い無いな…」

「パワーバランス壊し過ぎよ、オンラインゲームなら即回収、即ロールバックレベルじゃない」


呆れ顔の蔵王のおっさんと柴田さん。

なんでそんなびっくりしてんだよ、まるで俺が非常識なもん作ったみたいじゃねえか。


「一応聞いとくけど、この手のアイディアは他にもあるのか?」

「んー、まあ十以上あるよ。魔力がない人でも使えて魔獣に対抗できるような魔導具だろ?向こうの世界にだって魔法が使えない人たちは沢山いたし、その人たちが身を守るのに使ってた魔導具のアイディアをパクらせて貰っただけだしな」

「とりあえず片っ端から作ってくれ。製作費は全額特捜局で持つから」

「はいはい、了解しましたよ。んじゃこれまでに倒した怪異やら魔獣から集めた魔石を全部出してくれ。こっちの世界じゃ使い道も無いしどうせ死蔵してんだろ?俺がストックしてる魔石はS級以上の高純度の奴ばっかりだから、このくらいのお手軽工作に使うには勿体ないんだよ」


柴田さんが保管庫から部下に運ばせた魔石は大小様々でだいたい二百個くらいあった。魔力を溜め込む性質があるって言うのは研究の結果わかったみたいだけど、術式を知らないこっちの世界じゃ使い道無いもんな。


とりあえず十個ほど擦り潰して魔力インクの原料に使わせてもらって、後はどうするか…


***


その後会議も放ったらかしで三時間かけて幾つかの魔導具を試作してみた。俺的に自信作だった魔石に水と火の術式を刻み込んだ水蒸気爆発を人為的に引き起こす魔導具は危険性が高すぎるって事でボツになった。なんでや!警視庁本庁舎くらいなら一発で吹き飛ばせる優れ物だぞ!


結局採用されたのは、最初に作った簡易式魔法剣、ジュラルミンシールドの前面に魔法障壁を発生させるマジックシールド、身体能力を上げる術式を刻んだ魔石をペンダントトップに使ったネックレス、威力を抑えた爆裂系魔法を封じた使い捨ての魔法手榴弾の四点のみだった。


「これを各自治体の警察署に五セットずつ配布したい。可能だろうか?」


おいおい蔵王のおっさんよ、無茶苦茶言ってんじゃないよ?全国に警察署って千二百くらいあったよな?それ全部に五セットって事は六千セット作らなきゃいけねーじゃねえか。材料は確かにクズ魔石砕いたカケラと市販の木刀、安物のペンダントくらいだから原価は殆どかからないけどさ、一番原価がかかるジュラルミンシールドも昔機動隊で使ってたけど今はポリカーボネート製の盾になったから廃棄待ちのがいっぱいあるらしく原価はタダみたいなもの、だからってこっちの世界で魔導具作れるのなんて俺ぐらいしかいないんだから、そんな量一人で作ってたら過労死するわ!


「勿論対価はしっかり支払おう、今年度の警察庁の予算から一セット二百万円支給する。どうだろう?」


蔵王のおっさんの台詞を合図に俺の脳内計算機がフル回転を始めた。二百万の六千セット、しめて百二十億…原材料費で二割は持っていかれるとして粗利は百億か、これはビッグなビジネスチャンスやでえ。


「勿論非課税だよな?税金で半分取られるくらいなら価格倍にするぞ?」

「しっかりしてるな。わかった、非課税になるように関係省庁とは俺が交渉するよ」

「その話乗った。とりあえず東京にいる間は訓練と並行して製作するよ。本格的に量産体制に入るのはM県に戻ってからだな」

「各警察署に五セットずつって言うのはあくまで必要最低限の数だから、作ったら作っただけ買い取るわよ?」

「余裕があればお願いしますよ。まあ今は作れるのは俺一人だし、六千セット作るのも年内いっぱいくらいかかるんじゃねえかなあ」


ミァは簡単な術式付与は出来るし、よし江も仕込めば使い物になるだろ。店が暇な時にチマチマ内職するだけで年商百億か、ボロ儲け過ぎる。大企業の社長になった気分だぜ。それに使って減った魔力は付与系の魔法を使える奴しか補充できない。メンテナンス費用と称して月々固定費もいただけるって寸法か、笑いが止まらないぜ。


「黒川君、私仕事の出来る男って好きよ?今夜もどうせこのハゲと飲みに行くんでしょ?私もお邪魔しちゃっても良いかしら?もう少し捜査員の育成計画についても話したいし…」


俺が脳内で銭勘定に勤しんでいると、柴田さんから飲みのお誘いが。おおう、綺麗なお姉さんと飲めるとか役得過ぎるだろ、ついに俺のぼっち人生にも終止符が打たれる時が来たか?


「あー、柴田すまんな。俺は今夜はちょっと用事があって飲みに行けないわ、黒川君と二人で楽しんで来てくれ」

「大河原姉妹と淫行か?大概にしとけよ蔵王のおっさんよ」

「違うっての、ちょっとした野暮用だから気にすんな」


蔵王のおっさんが不参加になった事で柴田さんとのサシ飲みが確定しました!これから大河原姉妹との訓練もあるってのに、夜が楽しみで待ちきれないわ。


そう、この時の俺は見逃していたのです。

柴田さんが飲みに誘った時、蔵王のおっさんが心底嫌そうな顔をしていた事を…


本日も閲覧ありがとうございました。

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