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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
タタールの記憶
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気絶

「おーい、ソフィアー」

遠くで私を呼ぶ声がした。団長だった。

「負傷者を運ぶのを手伝ってくれ」

私は我に返って、団長に大声で返事した。

「分かった。今行く」

それから団長の方へ走っていった。

団長は数人で、さっきの爆発で火傷や負傷した民兵や兵士を担架に乗せて、医務室に運んでいた。

周囲にはまだケガをしたり、火傷をしたりした人たちが大勢、地面に倒れていて、数少ない担架で医務室へ運ばれる順番を待っていた。怪我の具合のひどい人から順に担架に乗せて、私は団長とペアになり負傷者を担架で運んだ。

運びながら、なぜ、ESはこのミサイル攻撃を知っていたのだろう?と不思議に思った。

冷静になって考えてみれば、いろいろとおかしなことが重なっていたことに気が付いた。

ただの観光客が銃の扱いを知っている訳がないし、あんなにエイム、銃の腕前がうまい訳がない。それにさっきの会話。何かがおかしい。

私はESに対して疑惑を感じ始めた。

あなた、何者なの?

そして、それは嫌な予感を伴うものだった。


再び北の空から轟音が響いてきた。2発目のミサイルが飛来したのだった。

「危ない。そこの建物に入れ」

団長があごで近くの建物を指した。この基地の管理棟。司令部やら後方事務やらが入っている、かなり大きな、でも年代物の建物だ。レンガ造りで5階建てくらい。

運良く裏口の金属の扉が開いていた。私達は担架を担ぎながら中へ滑り込むと、同時に団長が足でドアを蹴って閉めた。

直後に、爆音と共に地震のように建物が揺れた。

私達が逃げ込んだ管理棟の隣の燃料タンクにミサイルが命中し、その爆発の衝撃が管理棟を襲ったのだった。

爆風に管理棟は耐えきれず、窓ガラスが全部粉々に吹き飛ばされた。私達がいた場所は廊下で窓がなかったからガラスの直撃は受けなかったけど、受けていたら即死だった。

壁の漆喰や、コンクリート片や砕けたレンガの破片がバラバラッと落ちてきた。

外ではまだ爆音が続いていた。別の燃料タンクや燃料補給車に次々に引火して、さらに爆発は激しくなった。

外の爆発で、壁が揺れ崩れ始めた。

「おい、ここはもうダメだ。奥へ行こう」

団長がそう叫んだ。

担架を持って、一緒に走り出した時、さらに大きな爆音が外から聞こえ、建物の壁が爆風で吹き飛び、私たちも背中にもろに爆風を受け、担架ごと宙に舞った。

同時に天井が崩れてきて、何かが頭を強打した。

私は気を失った。

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