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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
タタールの記憶
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危機一髪

本能的に目をつむり、何も考えられず、当然撃たれたものと思っていたけど、全く痛くなかった。

あれっ、それにヘリの機銃にしては軽い発砲音。

恐る恐る目を開けると、私のすぐ上空で、ヘリがバランスを崩し斜めに高度を下げていた。ヘリのフロントガラスに狙撃された穴があり、中でパイロットが血を出しぐったりしているのが見えた。そのヘリをバックに見覚えのあるシルエット。

ESだった。

彼はライフルで貫通可能なフロントガラス越しにパイロットを狙撃したのだった。

「何で、ここにいるの?」

「命の恩人を見捨てるほど、薄情者じゃないから」

「でも、私があなたを助けたのは、任務の一環よ」

「負傷者の冷えた体を下着姿で暖めることも、任務の一環?」

「なんだ、気が付いていたんだ。寝た振りしてたなんて」

ESがチラッと私の後ろに視線を移した。

「右」

ESの声に、とっさにライフルを右に向けて、発砲した。目の前で敵兵が一人倒れた。彼はすぐ近くまで来て、まさに私たちに発砲するところだった。

「僕は左を援護するから、君は右を」

「OK」

2人で協力して、敵歩兵の銃撃に応戦した。

彼の射撃の腕は、なかなかだった。左側は安心して任せられる。私は右側に集中した。

敵兵を1人倒し、2人倒し、私たちを包囲していた敵兵は少しずつ減っていった。

とうとう最後の1人を倒した。

「一仕事、終わったみたいだね」

「どこで銃の使い方、習ったの?」

「縁日の射的」

「何それ?」

「日本のお祭りの出し物」

「お祭りで銃を使うんだ。国が変われば、文化も変わる物ね。でも、ありがとう。助かったわ。あなたは足手まといなんかじゃないわ、立派な私達の仲間よ」

その時彼が、一瞬ふっと寂しそうな顔をしたのが不思議だった。

でも、そのことを意識する前に、次の敵がバタバタバタと大きなプロペラの音を響かせて上空に現れた。武装ヘリだった。

機銃掃射しながら、こっちに向かってきた。地面に一直線に砂埃が立ち上がった。明らかに私達を狙っていた。

ヘリの誘導ミサイルがランチャーから離れ、ミサイル後部から炎が吹き出した。とっさに二人とも横にダッシュしてジャンプした。

間一髪で被弾は免れたけど、すぐ後ろに着弾し、大きな砂埃と爆発で、体が宙に舞った。

体勢を立て直してライフルでヘリを銃撃したけど、装甲が厚く全く効かない。フロントガラスを狙う隙はなかった。

「村の中央広場に、私達が持ってきたロケランがあったはず。二手に分かれて取りに行きましょう」

「うん、分かった」

ESと分かれて、彼とは逆方向から村の中央へ向かって走り出した。

ヘリはなんと、ESを追いかけている。私はノーマークだから村の中央広場に向かって、一気につっ走れた。

広場に着くと、隅の方に無造作に私達の武器が散乱していた。あまりに急な敵襲のため、ほとんどの民兵が軽装備だけで応戦していた。

私はロケランを取り上げ肩に担ぐと、家々の向こうでホバリングしているヘリの方へ走った。

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