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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
タタールの記憶
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逆襲

その時、地響きのような音が、村の外れからしてきた。

「敵襲だー」

誰かが叫び、ミサイルが飛んできて、村の中心部でさく裂した。周囲を巻き込み爆発し、もうもうと巻き上がる砂煙。

敵は降伏直前に救難信号を発信したのだった。

救援に来た攻撃ヘリが2機に、その後ろに輸送ヘリが続く。輸送ヘリは村の外れに着陸し、歩兵を吐き出した。

攻撃ヘリは2方向に別れ、2つの方角から村を目指してきた。完全に挟み撃ち。

私たちはパニックになり、各自バラバラに逃げ出した。

数人が、村の外へ走り出したが、そこは草原で眺めが良い。格好の的になり、次々に吹き飛ばされた。

私と数人の民兵は、バラバラに近くの建物の物陰に隠れて、各自敵の歩兵と応戦した。

でも、人数が少ないと戦力は等比級数的に弱くなる。さらに各グループは何の連携もなかった。

絶望的に不利だった。

私は衛生兵だから、などの言い訳を言ってる場合ではなく、ライフルを持ち、一緒に応戦した。

でも、攻撃ヘリと民兵では比較にならない。ヘリは誘導ミサイルと機銃で、圧倒的であり、私達はライフルだけ。唯一の生き残る方法はヘリに見つからないように近くの森林に逃げ込むことだけだった。

敵の歩兵がじわじわと私達を包囲しつつあった。

だんだん味方が減ってきて、壊滅の2文字が頭にちらつき始めた。

ESは私たちの後をついてきていた。

「私が援護している間に、あなたは逃げて。アゼルバイジャンはトルコ系だから日本人には好意的だわ。日本人だと言えば、よっぽどガラの悪い兵に運悪く捕まらない限り、危害は加えられないわ」

「本当に良いの?助けが必要じゃない?」

「はぁ、何言ってるの?早く逃げて。今なら、まだ間に合う」

私は、彼のために、後ろの岩陰やさらにその後ろの森林を指さし、逃げ道を教えた。

「早く行って」

私が応戦している間に、彼はいなくなった。

これで良い。彼はもともと外国人だし、私たちの戦争には関係ない。それに、彼には生き残ってほしかった。

さようなら。

本名も分からなかったけど、楽しいひと時だった。

銃撃はさらに激しくなってきて、私の周りの仲間が一人二人と倒れていった。

そして、この辺りでは、とうとう私が最後の1人に。

私を狙っている敵はそう多くない。私に気付いている敵を倒せば移動できる。もし村の向こうに味方の民兵がいれば、援護に回る。

味方がいなければ、さっさと退散するだけ。

ガチャッ

変な音をライフルが発した。弾詰まりだった。

なんでこんな時に。

弾倉を外し、詰まった弾を取り除いたその時。

上空にヘリが現れ、機銃をこちらに向けた。射程距離。

まだ私のライフルは弾倉を充填できていないし、出来たとしてもライフルでヘリの装甲を破れるとも思えない。

終わった。

全身が固まった。

タターン

銃声がした。

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