表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
タタールの記憶
70/157

集落制圧

小高い丘がうねうねと続く丘陵地帯。景色はのどかで、本当ならもっと穏やかな気分になれるのに、とても景色を楽しむ気にはなれなかった。

しばらく行くと、小さな集落が見えてきた。が、家々の隙間から、中央の広場に兵員輸送ヘリが着陸しているのが見えた。

団長が身を低くしろと手で合図を送り、腹這いになって、双眼鏡を覗く。

「まずい。あの村はすでに、敵軍に占領されている」

地図を広げ、迂回路を探した。

村はちょうど二つの谷間の合流箇所にあるので、迂回するにはかなり山を登らねばならず、遠回りになる。

「交通の要所を押さえてやがる」

彼は呟き、それから斥候を出した。

しばらくして、斥候役の男が帰ってきた。

「輸送ヘリが1台と、歩兵が1分隊程度」

私達の装備にはロケットランチャーがあり、20人いた。

「勝てない戦いでは無いな」

団長がロケランでヘリを撃破後、歩兵を殲滅する計画を立てた。歩兵は歩哨に数人立っていて、残りは宿屋を占拠していた。

「私が合図するまで、あなたはここで待っていて」

私はESの方を向いて言った。

民兵団は、腰をかがめて、村に近づき、物陰に隠れつつ、数人が宿屋の入り口が良く見える位置に、数人が歩哨の見える位置に付いた。

団長の合図とともに、ロケランでヘリを砲撃。直撃し炎上。同時に歩哨を狙撃して倒した。

爆音に驚き、宿屋から飛び出てきた歩兵を銃撃、バタバタとなぎ倒す。

私も民兵だからライフルは持っているけれど衛生兵だから、後方から援護していた。

銃撃音が、一旦、止む。異様な静けさ。逆に怪しさを感じた。

民兵の数人が、宿屋の入り口に近寄ると、中から敵が銃撃してきた。

すかさずグレネードを中に投げ込む。続いて爆音と砂埃が入り口から吹き出した。

ガラガラっと家の中から音が聞こえ、民兵が数人宿屋になだれ込んだ。

でも、銃声が聞こえない。あれっ、どうしたのだろう?

すると、数人のアゼルバイジャン兵が頭に手をやり、私たち民兵の銃を向けられて、ぞろぞろと宿屋から出てきた。

敵兵が投降したのだった。

銃撃戦で、私たち民兵のメンバーに負傷者は出たけど、死者は出なかった。良かった。

意外にあっけなく村を奪還できた。

私は負傷者の救護に急いで、応急処置をした。

一通り終わり、ESを思い出したので、村の外れへ行き、手を振った。

ESが物陰から身を現した。

「終わった?」

学校の宿題か何かが終わったかのような、あっけらかんとした言い方だった。

2人で、村の中心部へ歩いて行った。敵兵の捕虜が数人、後ろ手に縛られて、地面にうつぶせで横にされていた。

これで、後は基地に向かうだけと、安心した。

他の民兵の人達と軽く雑談して、昼食の準備を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ