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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
タタールの記憶
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他愛のない話

3日前までは、何事もない日常が続くと思っていた。でも、この3日間で全てが変わってしまった。あの頃ののどかな日々はもう戻らない。そして、先のことを考えると、絶望で押し潰されそうな気がした。

以前から薄々感じていた絶望を頭から追い出すために、私は他のことに気を向けていた。それが人命救助だった。何かちょっとでも、人の役に立てたならば、いやそれ以前に、単に忙しくして気を紛らわせたいだけだった。

惨めに生きながらえて、でも結局死んでしまうのなら、国の為という大義に死ぬのもありかもしれない、そんなことを思い始めていた。

その時に気が付いた。

みんな、大義なんて信じていないって。ただ信じてる振りをしてるだけだって。

私だけ、この戦争の真実に気付いたつもりだったけど、気付いても気付かなくても、結局同じなんだ。

限りなく虚しい。

この虚しさを紛らわせるために、無性に人恋しくなった。

私は隣のESに話しかけた。

「あなたの国のことを、何か話して」

「サッカーは、浦和レッズが強いんだ」

「他には?」

「世界中の食べ物を食べられるし、遊ぶ所も色々あるし、飽きさせない国だよ。ディズニーランドやユニバーサルスタジオもある」

「へぇ、楽しそうな所。一度、行ってみたいな」

「ぜひおいでよ。色々案内するよ」

なんだろう?この子は。これから確実に戦闘に巻き込まれるのに、この楽観さは。

状況がよく飲み込めてないのかもしれない。でも、他愛もない話をして、気が紛れた。

こういうバカさは、嫌いじゃない。

休憩時間が終わり、また歩き始めた。

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