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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
タタールの記憶
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復活

その時、裏口の方でガラッと何かが倒れる音がした。廊下を覗こうとドアに向かった時、3人組の男が部屋に押し入ってきた。

野盗だった。住人が避難して空き家になった民家から金目のものを盗んでいる人達だ。さらにアゼルバイジャン人だった。私達アルメニア人とは仲が悪い。

私は壁に立て掛けてあるライフルを取りに走った。

「おっと、動くなよ」

一人がバンっと私を撃った。幸い外れたけど、私は立ち止まり、ライフルを彼らに取られてしまった。

「お嬢ちゃん、こんな夜中に、一人で何してるんだい?」

私が黙っていると、3人は顔を合わせて、にやけた笑みを浮かべた。

一人が近づいてきて、銃の台座で私の顔を殴り、倒れた所を残りの二人が手足を押さえた。

シャツを破り、次にズボンを脱がせ、私が抵抗し、

「野蛮人、けだもの」

と罵声を上げると、また何度も顔を殴った。

意識が朦朧としてきて、抵抗を止めたら殴るのを止めてくれるかも、と弱気になった。でも、ことが済めば、そのまま帰るなんてことはない。確実に殺される。殺すこともセットで快感を覚える人達だから。

最初に私を殴った男が、ニヤニヤしながら私の足元に立って、ベルトを外し自分のズボンを下ろした。

嫌だ、嫌だ。

彼は顔を私の胸の上に覆い被さるように倒れてきて、動かない。

あれっ、何をしているんだろう?

見上げると、さっきまでベッドで寝ていた少年が立ち上がり、男の後頭部を平手打ちしたのだった。

「おい、調子乗ってんじゃねーぞ」

他の二人が立ち上がり、少年に襲いかかったが、一人は放り投げられ、窓ガラスを割って家の外に飛ばされた。もう一人がその隙にナイフを少年の背中に突き刺した。

でも、彼は全く平気で、ケロッとしたままナイフを抜くと、その野盗も窓から放り投げた。

私は驚いて、しばらく声も出せなかった。

「服、着なよ」

彼は私に服を投げて寄越した。

着ながら、やっと声が出た。

「もう、大丈夫なの?」

「二日も寝てたから、バッチリ」

彼はさっきまでとは全く変わって、とても元気そうだった。

「ありがとう。おかげで助かったわ」

「こちらこそ、お互い様」

息が落ち着いてきた。

「外国人?」

「まあ、そうなるね」

「とんでもない時に、この国に来てしまったものね。早く避難した方が良いわ」

「帰り方が分からないんだ」

「ステパナケルトの北に、国際空港があるわ。そこまで送ってあげる。今この国は戦争の真っ最中なの。外国人がうろうろしていたら、危ないわ」

「ありがたいけど、行き先が分かれば、一人で大丈夫だよ」

「一人で外を出歩くのは危険だわ。もしアゼルバイジャンの部隊と遭遇したら、何をされるか分からないわ。私は民兵団のメンバーだから、早く彼らと合流出来れば、あなた達外国人を守れるのだけれど」

「民兵?じゃ、余計、僕は招かれざる客だね」

「なぜ?外国人だから?私は衛生兵だから、負傷者を救護する任務もあるわ。まあ、あなたは負傷者には見えないけれど」

その時、あなたが実は負傷者で、低体温で死にそうだと思い出した。さらに鎖で時限爆弾に繋がれていたことも。

「アゼルバイジャン人に鎖でつながれたんでしょう?残酷なことをする人達ね」

「君が助けてくれたんだろ?ありがとう。もう少しで死ぬところだった」

「こちらこそ、たった今、あなたに助けられたわ。ありがとう」

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