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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
タタールの記憶
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集会所で

集会所には、近くの民兵として登録している人達が集まっていた。

本来なら、アルメニア軍やアルツァフ軍と共同で作戦行動をするのだけど、停電のせいで連絡が取れず、集会所は混乱の極致だった。

バッテリーで使えるはずの無線機さえ、なぜか故障していて、味方の部隊がどこに展開しているのか、敵がどこに侵攻しているのか、全く分からなかった。

「全くどうなっているんだ?俺の携帯は、起動すらしない」

「電気製品は、全部ダメだ」

「朝だからまだ良かったものの、夜だったらもっとひどいことになってた。ライトすら点かない」

みんな、次々に不安を口にした。

そこへ、団長が走ってやって来た。はぁーはぁー息を殺していた。

「車が動かなくて、隣村から走って来た」

それから、続けた。

「敵軍の戦車隊が首都に向けて侵攻している。今近郊の村で友軍が防戦している。負傷者が多数出てる。我が第4民兵団も救援を求められた」

私はびっくりした。

私達は民兵で、一応一通り銃の訓練は受けているけれど、あくまでも正規軍のサポートが務めだから、突然戦場へ行っても役に立たない。

誰かが、団長に聞いた。

「敵の戦車隊が首都に進軍とのことですが、友軍の空から爆撃状況はいかほどでしょうか?」

誰かの質問に、団長は首を振った。

「空軍は全部やられた。この辺りの制空権は失われてる」

予想外の返答に、皆が驚いた。

「どのように、被害を受けたのでありますか?」

「さぁ、分からんが、全滅との噂だ」

場が静まり返った。戦況はかなり不利だった。

「ステパナケルト周辺で、昨日から大規模な停電で、軍指令部は完全に麻痺している。アルメニア軍と連絡が取れないし、地方のアルツァフ軍各部隊とも全く通信できない。アゼルバイジャン軍が、国境線を越え我が国に侵入し、国境警備隊と衝突したと、警備隊の生存者が車も動かないから徒歩で報告してきた。コースからステパナケルトが彼らの目標と思われる」

私達は首都ステパナケルト防衛の増援に行くことになった。

ステパナケルトまで約20km。歩いて半日位だ。

戦闘服に着替えて、ライフルを肩に背負い、村を出発した。

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