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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
藤原道長のレガシー
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道鏡終端の地

次の週末、私と涼くんは、大宮駅から宇都宮線に乗る。約1時間で、自治医大駅に到着。

龍興寺に行くバスを探すけれど、初めての場所のバスは、よく分からない。

涼くん曰く、歩いて30分だと言うから、歩く。

しばらく歩くと周囲は畑になり、その先に民家の集まる集落が見えてくる。

その奥に、龍興寺はあった。

思っていたより立派なお寺。中に入ると、左手にこんもりとした林があり、その前に案内板がある。道鏡塚。

説明を読んでみるが、経歴が簡単に載っているだけ。どこにも不老不死の秘宝の記述はない。

「ハズレだったようですね」

考えてみれば、こんな所に、道鏡の不老不死の秘宝がある訳がない。もしあれば、すでに大事になっているはずだし、マスコミでも取り上げられている。

「秘宝は無かったけど、道長の手紙は本物で直筆だから、それなりに価値はある」

ここで何か見つかれば、それを山田さんへのお土産に追加しようと思っていた。預かった巻物が手紙一枚になってしまったのだから、何か他に付け加えないといけない気がしていた。

でも、手紙だけでも価値があるのなら、山田さんも許してくれるかもしれない。むしろ、山田さんのおじいちゃんがその価値に気付いて感激してくれるかも。

「じゃ、帰りましょうか?」

うん、と涼くんは頷く。

くるりと向きを変え、寺の入り口に向かって歩くと、外の通りから原チャリが一台、ブーンと音を立てて、こちらへ向かってくる。

袈裟を着ているので、この寺の住職さんだろう。

原チャリは寺の境内に入ってくると、私たちの目の前をちょっと通り過ぎた境内の端で止まる。私たちのような若い二人が寺に来たのが珍しいのか、それとも単に愛想が良いのか。

荷物を下ろしながら、こちらを向く。

「今日は、どう、されたのですか?」

突然声をかけられて、びっくりする。

「道鏡のお墓があると聞いたので、見に来ました」

「ほー、道鏡に興味がおありですか?」

それから、住職はこの寺は昔は薬師寺と言って、今より少し場所が違っていたとか、話してくれる。

一通り聞き終わって、頃合いを見て、感謝を述べる。

その場を去ろうとすると、

「道鏡が、実際に倒れた場所っているのが、別にあるんですよ。興味おありでしたら、行ってみたら、いかがですか?」

私は涼くんと顔を見合わせる。

折角だから、行っておいてもよいかもしれない。

「ここをちょっと進んだところに、小さな公園があります。その隅です。小さな立札が立ってるので、行けば分かりますよ」

住職は東を指さす。

「ありがとうございます」

私たちは頭を下げて、寺の出口を出ると、住職の指さした方向へ向かう。

周辺の民家の間の狭い道をちょっと進むと、だだっ広い空き地がある。その端に鉄棒やブランコがあり、小学生低学年くらいの子達が数人遊んでいる。空き地の周囲には、少し木が生えていて、ある木の根元に小さな祠がある。

「あれでしょうか?」

近づいて見ると、立札があり、”道鏡終端の地”と書いてある。道鏡が付近の畑の見回りに来ている最中に倒れて、息を引き取った場所と説明がある。

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