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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
藤原道長のレガシー
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ポケットの紙

制服のポケットから、見慣れない紙が出てきたのは、数日後。

学校で、ふとポケットに手を入れた時、クシャクシャっとした感覚があり、引っ張り出してみると、古めかしく、でもちょっとしっかりとした和紙っぽい。

開いて見てみると、筆字で何か書いてある。

「あっ、これ、地下の御堂で、山田さんのお土産を探していた時に、たまたま手に取ったもの」

その直後に天上さんが来たり、大蛇が来たりで、そのままポケットに入れたままだった。

あまりにもグシャグシャで、このまま山田さんにお土産として渡すのは、なんとも忍びない。それに価値があるかも分からない。

家で調べて、それなりに価値があれば、それからちゃんと包装しよう。


夜、涼くんが帰宅後、しわくちゃの紙を見せる。彼はしばらく黙って見つめる。

こういう時は、大抵ネットにアクセスして、いろいろ検索している。

「これ、道長の直筆の手紙。当時の下野国の国司宛で、道鏡という奈良時代の僧の墓を調べろと指示を出している」

「なぜでしょうか?」

「理由は書いてない。道鏡は怪僧として有名で、当時の孝謙天皇の病気を治して、彼女の側近になった」

「彼女、ですか?」

「そう。昔は、女性の天皇もいた。孝謙天皇が原因不明の病気になった時に、道鏡は不思議な力を発揮して彼女の病気を治し、法王に任命された。それを男女の仲を利用してなったと皮肉ったのが、3本足伝説」

「3本足?」

「2本の足の真ん中に、もう一本、足と見間違えるような物があるという言い伝」

意味が分かり、私は思わず黙り込む。

「でも、それは後の作り話で、本当は、奇術か、薬剤か、それとも何らかの医術か、分からない。道長は、そこに興味を持って、国司に調べさせた」

「下野国って、どこ?」

「今の栃木県。道鏡は孝謙天皇没後、政争に破れて、下野国の小さな寺に左遷させられていた。そこに道鏡の墓がある。道長は、晩年、不老不死を探し求めていた。道鏡の不思議な力に、何かその糸口がないか、考えたんだと思う」

「では、そこに行けば、天上さんが言っていた、不老不死の秘宝があるかもしれないのではないでしょうか?」

「取っ掛かりはあるかもしれない」

能面の一人に、携帯を誘拐された時に取りあげられたので、私は自分で道鏡の墓の場所を調べらることができない。

「涼くん、そのお墓の場所、分かりますか?」

涼くんはしばらく視線を上に向ける。ネットに接続して、検索している時の仕草だ。

「分かった。下野市の龍興寺。JR自治医大駅から行ける」

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