表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
雨の日のランデブー
4/157

とりあえず自宅

いつもと同じように、バイト先のカフェから自宅のアパートへ向け、第2公園の中の小路を歩く。

第2公園とは、近所の広大な公園。第3まであって、全部合わせて東京ドームの15倍の広さ。

家への最短コースで、むちゃくちゃ広い公園の中に入ってしまうと、大自然に囲まれて周りの住宅が見えなくなる。

天気の良い日は、満天の星空が見える。星明りと月明りと、あと遠くの街の明かりで、外灯がなくても明るい。

でも、今日は雨なので、空はどんよりと灰色。街明かりも何となく暗い。

早く帰りたい。

じわじわとスニーカーの中に水がしみ込んでくる。

早足で家に向かって、ひょうたん池という調整池の外周の小路に差し掛かる。右手は雑木林で、左手の眼下にひょうたん池。雑木林の木の枝が小路の上に覆うようにして、ここは他と比べて薄暗い。

小路の様子がいつもとちょっと違う。

端に少し大きめの黒っぽい丸太みたいのが転がっている。

木が折れたのかな?

通りすぎようと近付くと、木の幹の先端が2つに分かれてる、まるで人の足みたいに。

恐る恐るよく見ると、足があって、手があって、向こう側に頭がある。

「人?」

思わず、後退りする。

回り道しようかな?

でも、倒れてる人を放っておくのは、薄情ではないかしら?

その人の服はびしょ濡れで、所々破れているけれど、生地がしっかりして新しい。

雨は容赦なく、倒れている人に降り付ける。

怪我か病気かも?

「あのー、大丈夫ですか?」

反応はない。

「救急車、呼びましょうか?」

「んーー」

返事?うめき声?

でも、なんか若めの声。

そっと近付いて顔を覗き込む。

うっすらと顔が見える。

「あれ?女の子?」

周囲の明かりで照らし出される顔の目、鼻、口、あごにかけての輪郭がなんとも言えないほど整っている。まるで彫刻みたい。芸術作品。

でも、目は閉じたまま微動だにしない。

もう一度声をかける。

「大丈夫ですか?」

小さな声で、パワー何々と聞こえる。

??

聞き間違い?

「一応、救急車呼びますね」

肩とあごで傘の柄をはさむと、カバンから携帯を出す。旧式の折り畳み式。119をしようとするが、電源が入らない。

「あっ、バッテリー無くなっちゃったんだ」

携帯が古いから、バッテリーが1日持たない。

家に帰って、充電して、119する?でも充電にすごく時間がかかる。その間、雨の中にこの人を放っておくことになるし。

辺りに他の人は誰もいない。

私の家は歩いてもうちょっと。

見た所、大きな怪我はしてなさそう。出血も無さそう。

家まで連れていって、ちょっと休んでもらっている最中に充電して119しよう。

「立てますか?」

傘をいったん地面に置き、その人の片腕を持ち上げ、私の肩に担ぐ。

ずっしりと重い。

肩に触れるその人の体は、どこも硬く、でも弾力的。

あまり他人の体って触ったことないんだけれど、こんな感じなのかしら?

顔がすぐ真横に来たので、チラッとみる。まだ目をつむっている。

もしかして男の子かも?

でも、体が接するほど近くにいるのに男子を感じない。

なぜだろう?

片方の肩に学校のカバン、もう一方の肩に人を担ぎ、その手で傘を持つ。

ちょっと重労働。その状態で、その人の足を引きずりながら歩く。

「大丈夫ですか?」

全く反応が無い。

公園を抜けて、住宅地に入る。少し歩くと、私のアパートが見えてくる。

アパートの階段を荷物と人を担いで登るのは初めて。一歩一歩が重い。

玄関を開け、その人を肩から下すと、そのまま床に倒れ込む。

見た感じ、骨折や出血はなさそう。

「単に疲れてるだけ?」

家に入り、携帯を充電ケーブルにつなぎ、バスタオルを取ってきて、その人に掛ける。

室内の明るい中で、改めてまじまじと、近くでその人の顔を見る。

今まで暗闇の中を歩いてきたからあまり見えなかったけど、体つきはスラッとして、多分男子だろう。でも、顔は女の子と見間違う。

年は私と同じくらい。どこの高校かしら?

服は制服ではなくて私服だけど、かなり丈夫な生地。でも、あちこちに破れた跡があって、さらに雨に当たって、びしょ濡れの泥だらけ。

彼を横にしたまま、すぐそばの食卓で私は宿題を始める。

宿題が終わり、気が付くと11時ちかく。

さっき助けた人を横にしたままだったと気付き、振り返る。

彼はまだバスタオルを被って、横になっている。

まだ携帯の充電は終わらない。いつも一晩かかるから今日中には無理だろう。

どうしようか考えているうちに、私も眠たくなりいつの間にか食卓で熟睡してしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ