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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
長すぎたサマータイム
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急襲

その時、見張りの隊員が倉庫に入ってくる。

「隊長、ちょっと気になることが。この倉庫周辺の道が道路工事という看板で通行止めになっています」

「それがどうした?」

ソフィアは気付いていないが、かなり呂律が回っていない。

「幹線道路以外では、普通、日本の道路工事は昼間行うので、こんな夜中に通行止めになるのは変かなと思いまして」

「明日の工事の用意じゃないの?ま、一応、注意を怠らないで」

見張りの男は敬礼して倉庫から出て行く。

会話をして、余計に目が覚めてしまう。明日はレポ船との接触があるのに。

突然、武器庫の方でドカーンという大音響がして、倉庫がグラグラッと揺れる。天井から埃が落ちてくる。

外から大声が聞こえる。

「敵襲。敵襲」

ソフィアは我に返る。このタイミングでアジトを襲うのは、K文書目当てとしか考えられない。日本の警察、もしくは公安関係?

どちらにしても武器庫を爆破するなんて、私たちに敵対することには変わりない。

倉庫の事務所につながる扉が開いて、数人の部下の隊員が走って入ってくる。武器庫は爆破されて火事が起きているようだから、武器を取りにいけない。ソフィアは椅子から立ち上がる。

「メンバーは全員いる?」

「見張りのセイゲルとイワン以外はいます」

「武器庫を爆破された。敵の人数は不明。今はとにかく手にある武器で、応戦して」

敵は外から電気ドリルで倉庫の扉を開けようとして、ウィーンという音とともに鍵の付近から火花が散り始める。部下は物陰に隠れ扉に向かって銃を構える。

ソフィアは腰に手を当て、ホルスターに銃が無いことに気付く。

あれっ、どこへいったのだろう?こんな緊急の時に?

付近の床やら周囲を見渡しても、どこにもない。ふっと自分の目の前の机の上に置いてあることに気付く。

ダメだ、私。全然ボケている。

急いで銃を手に取ると、ホルスターに入れ、近くの2人の部下に

「援護して」

と声をかけ、3人で隣の事務所へ向かう。

酒の影響でフラフラするが、ダッシュでごまかす。事務所の金庫の前に跪き、ダイヤルを回してK文書の入った黒革のカバンを取り出す。息が荒い。

「2階の非常口から隣の倉庫に移る。先へ行って安全を確認して」

事務所の2階と隣の他社の倉庫は、2階同士が渡り廊下でつながっている。通常は施錠されているけれど、非常口として使えることは確認済みだった。

自分の後姿を見られると、酔ってふらついていることに気付かれてしまう。それは指揮する者として隠したかった。

2人の部下は先に階段を上って事務所の2階へ移動し、ソフィアも階段を手すりを持ちながら登る。

段々体が酒の影響に慣れてきて、平衡感覚が元に戻ってくる。

倉庫から大きな銃撃戦の音が聞こえ始める。敵が扉を打ち破り侵入してきて中で待ち構えていた部下と撃ちあいが始まったらしい。派手な音が倉庫から聞こえてくるから、敵は私たちには注目していないはず。

廊下を渡り非常口から隣の倉庫へ移動する。隣の倉庫は真っ暗でひっそりとしている。階下に降り倉庫の出口をそーっと開ける。

敵は監視していないよう。

敵は一体どこの組織だろう?銃撃戦を仕掛けてくるなんて、日本の組織にしては珍しく荒々しい。

扉から滑るように外へ出ると、3人は物陰に隠れながら桟橋へ向かう。

背後の倉庫で大きな音の銃撃戦が続いている。

倉庫から離れ、誰もいない真っ暗な道を港の埠頭へ向かう。埠頭の桟橋にパワーボートが係留してある。パワーボートに乗ってしまえば、一気に時速200kmで離岸できる。レポ船との約束の時間まで2時間ほど早いけれど、沖合で漂って時間をつぶせば良い。東の空が少し明るくなってくる。

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