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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
長すぎたサマータイム
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再会

ちょうどそこへ、後ろから1台バイクが爆音を上げて近づいてくる。周囲は広々とした一面畑で見渡す限り誰もいないのに、バイクが一直線にこっちにやってくること自体が珍しい。

バイクはソフィアたちのいる地点のかなり手前で止まり、ライダーは上空に小さくなってく輸送ヘリの後姿をボーっと眺めて、それから顔に片手を当てて、困っているように見える。顔は見えない。

ソフィアはライダーの方へ歩いて行く。ライダーもソフィアが近づいて来るのに気付く。

顔が分かる距離まで近づき、お互いに相手を認識する。ライダーは涼くんだった。

にらみ合いながら双方の動きが止まる。ソフィアの後ろの仲間3人も、いつ銃撃戦が始まっても良いように銃を構える。

お互い因縁のある2人が同じ時間に同じ場所にいる。それが偶然であるはずはない。

その時、ふっとソフィアが視線を下ろし、ふっーとため息をつく。

「あなたもあのヘリを追っていたんだ。もしかして一緒に住んでペットにしている、あの日本人の女の子を追ってるの?」

「ちょっとニュアンスは違うけれど、まあ、大筋はそう」

「ヘリで連れ去られたから、もう無理よ。発信機の範囲外だし。それに相手は米軍みたい。一筋縄ではいかないわ」

彼は返事をしない。米軍のヘリだということはヘリのIFF、識別信号を探知して知っていた。

「私たちと組まない?期限はそれぞれの目的を達成するまで」

ソフィアの提案に対し、疑り深そうな眼つきで、彼女を見る。

「私たちは、訓練を受けている。潜入作戦は可能。他にメンバーを揃えることも武器を調達することも出来る」

「なぜ、そんなに気前が良い?そっちの見返りは?」

「こっちはかれらが持ち去った荷物が目当てなだけ。それさえ手に入れば他には興味が無い。あなたはあの子を得る。それでWin-Win」

彼は少し考える。

確かに一人で比呂美さんを救うのは難しい。行先は探知できたとしても、どうやって救出しようか、かなり考えなければならない。

その点、彼女たちが味方に付けば、少しは役に立つかもしれない。その役立ち方は陽動作戦、つまり敵の目を彼女らに向けさせて、その隙に比呂美さんを救うというもの。

実際彼女らが強くても、米軍相手に真正面からぶつかればとても勝ち目はない。

でも急襲ならば、彼女らがドンパチと派手に騒いで敵の目を引き付けてくれれば、その間に比呂美さんを隠密に無傷で救出できる。

それに彼女らは金塊さえ手に入れば他には興味が無いと言っている。金塊を手に入れた時点で自分と比呂美さんを口封じしてくるかもしれないけれど、そうなる前に比呂美さんを救出してさっさと脱出すれば良い。

後から比呂美さんや自分に危害を加えてくる可能性は?

もしそのつもりならば、最初から自分に組もうとは誘わないはず。なぜならソフィアたちだけで元議員と米軍を急襲し、全員殲滅してしまえばよいから。自分が彼女らに合流してそれほど戦力になるとも思えない。

それに、それらの話は比呂美さんが助かったら考えればよい話であって、まずさきに彼女を助けることを考えないといけない。

「分かった」

彼はしぶしぶそう言ってコクリと頷く。

「じゃ、早速、あのヘリの行き先は分かる?」

「IFFは在日米海軍厚木航空施設所属。でも飛行ルートの事前提出を国土交通省は受けていないから通常の訓練じゃない。多分日本側へは無許可で勝手に飛んでいる。だから行先は分からない。まあ、管制センターにアクセスすれば、どこかのレーダーには引っかかるからいずれ分かるよ。航続距離から直接海外に行くとは考えにくいし」

「じゃ、それまでにこちらも準備するわ」

ソフィアは胸ポケットから携帯を取り出すと、どこかへ電話をかけながら、残りの3人に車に乗るように手真似で指示し、自分も車に乗り込む。車はさっきまでとは全く違い、ゆっくりと動き出す。そして、そのすぐ後ろを涼くんのバイクが追い始める。

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