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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
長すぎたサマータイム
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ひっかかること

ふっと、彼女が他の誰かも涼くんを狙っていると言っていたのを思い出す。

他にも誰か彼を狙っている人がいて、同時に身近な私を狙っている人がいるということかしら?

そう思うと、なんだか自分の家に入るのが怖くなってしまう。

家のカギはカードキーのような高度な物でなく、鍵の片方にギザギザが付いていて鍵穴に入れて180°回すだけの旧式のものが1つだけ。窓の鍵はもっとチャチくて、金具をクルッと半分回してひっかけるだけで、さらに窓ガラスが薄いから、素手でも割れそう。

元々こういうぼろい家は、中に盗むものが無いと言う前提で成り立っているから、防犯概念が無い。

寝込みを襲われたら、防ぎようがない。襲われないために、本当の犯人を捜し出すしかない。

もちろん警察は捜査しているけれど、涼くんを困らせるために、私が狙われたという筋からの調査はしていない。だから、その可能性のある人物を、私たち自身が調べなければならない。それで犯人が分かれば、警察に連絡して対応してもらうというのが良いと思う。

「私たちで、誰が撃ったか調べないとダメかなあ?」

彼女のマンションを出てからずっと考え事をしていて、涼くんと会話すらしていなくて、今初めて声をかけた。

「うん、良いよ。でも、休憩してから考えようか?」

そう聞いて安心する。そんなに急ぐこともないでしょう。こういう時に、1人より2人の方が冷静になれて、かつ心強いから、やっぱり二人の方が良い。


ルスラナと名乗っている子、彼の記憶ではソフィアというのが本名らしい、彼女一体どういう人で、何で彼を目の敵にするのか?

彼は細かいところを教えてくれない。はっきり覚えていないと言う。

本当に覚えていないのか、言いたくないために口実なのか分からないけれど、本人が言いたくないことを無理に聞くのは気が引けるので、それ以上は聞かない。

もちろん、彼のすべてを知りたいと思う気持ちはある。けれど、それを押し通すと、彼の方は知られたくないことを知られることになり、結局彼を失うことになる。

それに、お互いあまり深入りしないことが、付き合いを続けるうえで必要と最近は分かってきた。

一度、学校で友達と話している時、ことをポロッと口に出してしまったら、寂しいとか相手に対して諦めてる意味になるとか言われて、大急ぎで取り繕ったり謝ったりして事なきを得た。けれど、もちろん面と向かって相手には言わないけれど、内心ではそう思っている。

だから、彼とルスラナの関係は気にしないことにする。

何か行動を起こすとすれば、最初に思いつくのは警察に捜査状況を聞くことだけれど、そんなことは教えてくれないでしょう。

逆に、なぜ興味を持つのか怪しまれてしまいそうで、涼くんのことがばれるかもしれない。

すると、次に思いつくことは、議員さん側の事情、仕事関係、交友関係を調べること。

でも、政治家って、交友範囲は広いし、行動範囲だって日本中だろうから、漆丸議員さんがどこで何をしたか調べてそれらを把握しても、それで一体誰から恨まれたり、利害が対立したりとか、私には判断できない。全く雲をつかむような話。

ルスナラはもう一人絡んでいる人がいると言ったけれど、なぜ私にわざわざそんなことを言ったのかしら?と、改めて不思議に感じる。

自分が無関係であると言いたくて、そのために第3者を強調したのかしら?自分じゃないと言うだけでは説得力がないけれど、他に犯人がいると言えば、聞いた方は確かに考え直す。

でも、それだけの理由ではない気がする。何かが引っかかる。

第3者がいるという根拠もなく、彼女が知らないことを堂々と私に匂わすことに、恣意的なものを感じる。

でも、考えていても始まらないので、行動しなくては。

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