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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
長すぎたサマータイム
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予感的中

帽子の下からわずかに見える髪の毛は金髪、青い目の若い女性。そしてそれは数か月前に涼くんを廃棄物処理場へ呼び出した、あの外人の女の子だった。

私の嫌な予感が当たった。

彼女の背中のゴルフバッグはライフルを入れようと思えば、十分に入れられる大きさ。彼女が私を狙った。全く知らない人に襲われるのも嫌だけれど、過去に何らかの関りがあった人に襲われるのは、その時の自分の対応が悪かったのではないかという考えが浮かんでしまうので、また別の種類の嫌な感じがする。

彼女が議員さんを狙った?その理由は分からない。

でも、私が狙われたのであれば、理由は涼くん絡みだと想像がつく。そして、もしそうであれば、今回失敗したのだから、次に再び私を狙ってくる可能性がある。

彼が話しかけてくる。

「あの破棄物処理場での出来事の後に、一度どこかで彼女に会ったと言っていなかった?」

「あー、ケーキ屋さんで、とても似た人がいた。でも、本当に当人かどうか分からない。単に似ている人というだけかもしれないし。相手も私のことに気付いていないみたいだった」

「どこのケーキ屋さん?」

大まかな場所を彼に教える。

「じゃ、ちょっと、お店の勤務管理のPCに侵入してみる」

こういうのはほどほどにしないと、いずれ見つかりそうで怖い。

「普通の店舗のPCだから、ファイヤーウォールも何も無いからすぐに入れた。えーと、従業員名簿を見ると、それらしい人は、1人いる。ルスラナ・スミルノフ。20歳。ロシア出身。住所は、えーと、駅前のタワマンだ」

「あの大きなマンションで?親と一緒に住んでいるの?」

「ちょっと待って。今度は出入国の記録を調べるから」

ちょっとまずそうな気がするけれど、もう任せておくことにする。

「出入国管理局のサーバーもザルだなあ。あれ?過去3年にさかのぼって調べたけど、そんな名前の人の入国記録は無いよ。もっと前なのかな?」

それからしばらく彼は黙ってネットで検索している。

「おかしい。過去10年間で、彼女の入国記録が無い。もちろん出国記録も。ビザの更新記録もない」

「どういうこと?」

「多分、偽名。とすると、本名のパスポートで入国して偽名でケーキ屋に務めているか、もともと正式に入国していないか、のどちらか。本名のパスポートがあるなら、わざわざ偽名でアルバイトする必要もないから、多分入国していないのだと思う」

「入国していないというのは?だったら、どうやって住んでいるの?」

「船か何かで、どこかの海岸に上陸して、偽のパスポートで就職したんじゃないかな。ケーキ屋さんのアルバイトだから、パスポートも求められていないかも。でも、おかしいのが、バイトなのに駅前のタワマンに住んでいることだね。そんな給料はもらえないはずで、偽名なら親と一緒に住むはずはないし。どちらにしてもカタギではない」

彼女は限りなく黒?

「ケーキ屋さんの監視カメラの記録を見てみるね。あー、確かにこの顔だ。この前、僕を粉砕機に突き落とそうとしたのは」

それから私の方を振り向き、

「調べてみた方が良い」

と言う。

「どうやって調べるの?何か良い方法ある?」

「直接行ってみるのが良いかな?」

「直接って、彼女に会って、話を聞くということ?」

「そう」

「そんな素直に、教えてくれるかなあ?」

犯人にあなたが犯人ですかと聞いて、素直に答えてくれるとは思えない。逆に無関係だったら無関係と答えるし、どちらにしても回答に信ぴょう性が無くて、限りなく無意味に思える。

「心配だったら、僕が聞いてくるから、比呂美さんは待っていて」

それはそれで心配。

彼女は彼を止めるリモコンみたいな機械を持っているから、イザという時に彼は彼女に対して無力だと思う。さらに彼女は彼を狙っているのだから、彼が家に来たらむしろ願ったりかなったりでは無い?

もし私がいれば、以前みたいに粉砕機に落とすようなひどいことになっても、なんとか途中で止められるかもしれない。

「私も付いて行く。もし何かあった時に、何かの役に立つかもしれないし。それに彼女は涼くんのことをアンドロイドだと知っているから遠慮しないけれど、私は人間だから。そんな無茶なことはしないはず」

彼はどうかなあという感じで首をかしげているけれど、まあ良いか、と納得する。

「今日はもう遅いから、明日聞きに行ってみよう。彼女が家に居るか、出勤のシフトを調べるね」

再びケーキ屋さんのパソコンに忍び込んで、彼女のシフトを調べる。

「意外に出勤が少ないね。家で何しているのかな?明日は休みだ。出かけなければ、家に居るはず」

明日、彼女の家に行くことに決まる。

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