表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
長すぎたサマータイム
107/157

校長室

でも、動きがあったのは、それからさらに1週間後。

学校で昼休み中に、いつものように教室で友達と3人で机を向かい合わせてお弁当を食べていた。話題は、次のテスト内容の予想や昨日あったこと、ネットで見た動画など。1か月前に拾った金塊の話は、完全に忘れていた。

本当は涼くんの話をしたい。実は、記憶を失った男子が家に居候していると。そして一緒に栃木や京都に行った話とか、池袋に行った話とか。

けれど、詳細を聞かれたら答えられないことがたくさんありすぎて、言えなかった。それは彼が人間ではないことに起因している。

アンドロイドと言ってしまっても良いのかしら?

みんなびっくりするだろうな。だから、やっぱり言えない。

もし言っても、びっくりされず今まで通りに付き合ってもらえるのであれば、何も気にすることなく彼の話をしたり紹介できたりするのに。

そんなことを考えながらおしゃべりしていると、教室のドアが突然ガラッと開いて、担任が顔を入れて教室内をぐるっと見渡した。

「おーい、矢野いるか?」

私を見つけると手招きした。

「食事の後で良いから、校長室まで来てくれる?」

「校長室?ですか?」

何の用だろう?理由を聞こうとしたけれど、その前に担任は廊下を歩いて行ってしまった。

お母さんに何かあったのかしら?

でも、それならば今すぐに職員室へ来てと言われるだろう。

他に考えられる理由は思い当たらない。

もしかして学校の授業料を滞納していて、退学しなければならなくなったとか?

不安そうな顔をして自分の机に戻ると、一緒にお弁当を食べていた陽子が聞いてきた。

「何だって?」

「校長室に来てだって」

「何で?」

「理由は分からない」

不安そうな顔をする私。

「校長室の場所、どこだったかなあ?分からないかも」

「私もそうかも」

もう一人が口をはさんだ。

「正面玄関を入ったところに、学校の構内図があるから、そこで見てみたら?多分、職員室の隣だったと思う」

「そっか。じゃ、そうしてみる」

私が深刻そうな顔をしたせいか、彼女たちは話題を変えてくれた。その話はそれっきりになった。

昼食後、正面玄関へ行ってみた。構内図を見ると、校長室は職員室の隣にある。私は校長室へ向かった。

扉の前で深呼吸して、ノックした。

「失礼します」

恐るおそる顔を覗き入れると、校長先生と教頭先生がいた。

校長室の中を初めて見た。

全体的に古めかしくて、掃除はちゃんとしてあるのだけれど、どこか埃っぽい感じ。

部屋の一番奥に大きな机が置いてあった。部屋の奥の窓を背景に入り口の方を向いている。机は2畳くらいで結構大きい。

その後ろに、ポールに結びつけられた学校の旗と国旗が交差して置いてある。

部屋の両側の壁に沿って書類棚があり、中は書類フォルダがいっぱい詰まっている。一部の棚には、部活の優勝トロフィーが並べてあった。

その棚に挟まれるように、部屋の真ん中に背の低いテーブルがあり、その周りに2つのソファーが置いてある。

校長先生は自分の机の椅子に、教頭先生はソファーに座っていた。

「あっ、君が矢野さん?入って入って」

校長先生が私に手招きしたので、部屋に入った。

「まあ、座って座って」

ソファーを指し示すので、教頭先生に対面する形で、反対側のソファーに座った。

校長先生もこちらへやって来て、ソファーの教頭先生の隣に座った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ