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人型自走電磁パルス兵器と地味で普通の女子高生の物語  作者: 岡田一本杉
長すぎたサマータイム
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中央大橋

ただ折角だから、中央大橋にも行っておきたい。中央大橋とは佃と陸を結ぶ橋で、“3月のライオン”では一番象徴的な建造物。

「もう少し付き合ってもらっても良い?」

「いいよ。まだ時間は十分あるし」

「私の勝手に付き合わせてしまって、退屈なことない?」

「全然。むしろ、自分の知らないことを知る良い機会になるから、興味あるよ」

それを聞いて安心した。住宅街を抜けて少し歩くと、段々マンションや雑居ビルが増えてきて、さらに少し歩くと中央分離帯のある大きめの道に出た。

途中、彼はネットに接続して3月のライオンの情報を仕入れたみたい。

「あっ、そういう話なんだ」

と納得していた。

「いい話だね」

「そう思うでしょう。マンガだけではなくて、アニメやドラマもあるよ」

「誰が一番好き?」

「うーーん、やっぱり零っていう主人公かな。応援したくなっちゃうし」

「あー、分かる。僕は島田さん」

島田さんって、誰だっけ?

「どんな人?」

「細めで老けて見える、零君の師匠みたい人」

思い出した。

「えー、何で?」

「高望みしないで自分の領分の中で生きているから」

渋い、涼くんの感性が渋すぎる。一体、何才なのかしら?

過去の記憶がないから、彼は自分が何才か分からない。外見は私と同じくらいに見えるけれど。などなどアニメネタで盛り上がりながらしばらく進むと、目の前に中央大橋が現れた。

感動。ここ、有名な場所。

橋の真ん中にある支柱はデザインに特徴あって、マンガと全く同じ。アルファベットのXを縦長にしてような形で、色は真っ白。

橋の橋脚が高すぎて、自分の全身と橋の全体を自撮りで写すのは無理なので、少し離れて支柱を背景にポーズを決め、彼に撮ってもらった。

シャリーン

携帯の画面できれいに撮れていることを確認した。私も支柱も全部写っている。これで今日一日の予定は全てこなすことができた。とても満足。

携帯で時間を見ると、3時近く。帰るには早いけれど、これからどこかへ行くというのには遅い。帰りながらちょっと寄り道をするくらいしか出来ない微妙な時間。

携帯の地図で最寄り駅を確認した。近くに駅は無くて、今朝降りた月島駅が一番近そう。もう少し進めば八丁堀駅があるけれど、月島駅よりは少し遠い。

「帰りはどっちに行きましょうか?月島と八丁堀」

「比呂美さんは、どっちが良い?」

「うーん、もう少し佃の雰囲気に浸っていたいから、月島かな」

「僕は全然構わないよ」

中央大橋を来た方向に戻りながら佃の方を見ると、ビルの1階にいくつか飲食店が入っていた。昼食にもんじゃ焼きを食べてから何も食べてないし、飲んでもないことに気付いた。

「なんか喉、渇いちゃった。ちょっと飲んでいって良い?」

ちょうど喫茶店があったので、入ってコーラを頼んだ。彼はやっぱり飲まない。もう慣れたので、一人で飲んだ。

まだもう少し時間があるから、別の所も散歩してみたい。ここまでは西の月島駅から歩いてきたから、今度は反対側、東に向かってみる。

隅田川沿いに東に向かうと、ちょっと広くなっている佃の北の先端辺りに着いた。調べてみると、パリ公園という公園らしい。

なぜパリと付くの?

周りを見渡してみても、特にフランスと関係ありそうなものは見当たらず。

所々に円柱が立っているからかしら?でも円柱ならギリシャのイメージ、確かエンタシスっていうのではなかった?

佃の先端で隅田川が分流していて、携帯マップで調べると、もう一方の分かれた川は晴海運河と表示されている。私たちは晴海運河側へ進んだ。

公園の広場から階段を降りると、川岸まで近付くことができた。フェンスがあるから直接水面には触れないけど、川沿いの干潟のような石畳の上に行くことができる。

でも、ちょっとぬかるんでいそうだから、遊歩道から見るだけにした。

この運河沿いにも隅田川と同じような遊歩道が整備されていて、散策できるようになっていた。石畳の干潟は延々と続いていて、石の隙間にたまった泥の中から時々雑草が生えている。

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