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七尾の猫の干支オニギリ  作者: 鈴神楽
001 セブン×三=十二支?
3/20

001_丙/この世界は、ゴミ箱か?

『001_丙/この世界は、ゴミ箱か?

/2040/12/03

/DFW/平原/荒ぶる平原

/スケット 徳川秀吉中尉』


「ゴミ箱か……」

 ミドル、何かと波長があったのか、何度も同じレイドに参加したマイケル=ミドル元少尉を見る。

 ゴミ箱、それは、今私達が居る世界を指す隠語だ。

 事の起こりは、四十年前のエイプリルフール。

 その日の標準時零時、世界の人々が同時に神の声を聞いた。

 神々の世界にも派閥があり、管理派と呼ばれる、人の全てを管理しようとする一派と監視派と呼ばれる最低限のルールを作り干渉を控える一派。

 今は、その神々の覇権争いは、監視派の勝利した状態であり、この世界の主神は、元管理派であった。

 尊牛尾(ソンギュウビ)と言う名のその神様は、上から参考として見せられた世界、それと瓜二つにこの世界をしてしまった。

 それが監視派の求める世界とは、違うなんて事は、人間の私でも理解できる筈なのだか、そいつは、理解していなかった。

 そんな間違いが発覚しない訳もなく、この世界は、破棄され新たな世界が構築される筈であった。

 そうなればそいつは、二度と復権できないと自分の体の一部を使った大きな賭けに出た。

 『DFW(ダストフォールワールド)』。

 周囲の成功世界で問題になっている過剰エネルギーの廃棄先を亜世界として誕生させた。

 そうする事で、この世界は、周囲の世界のゴミ捨て場として存在価値を認められた。

 そこで終わればきっとこの世界の人々は、そいつを崇めていただろう。

 だが、そんな訳がない。

 所詮は、ゴミ箱なのだ。

 コントロールされていないエネルギーは、私達の意志に反応して塵獣(ジンジュウ)を生み出す。

 塵獣が一定数あつまった時、災獣と化す。

 災獣は、存在するだけで私達の世界に天災を発生させ続ける。

 これは、廃棄され続ける過剰エネルギーを消費する為のどうしようもない現象だった。

 神を統べる神が三刃の僕を亜世界、DFWに降臨させた。

 その僕によって『RMS(ランドマリンスカイ)』と呼ばれる組織が作られて、災獣とそれになりうる塵獣を処理される事になった。

 そんな際限のない他の世界のゴミを処理する終わりのない戦いを私達は、強いられている。

 その中でも一番危険なのは、レイドと呼ばれる災獣との戦いだ。

 相手は、比喩抜きで天災クラス。

 人間個人が戦っても蟻が象に挑むような物であり、大多数の人間で戦い、削っていく。

 そうしてエネルギーを消費させきる事が勝利になる。

 今私達が戦っている災獣は、現在進行形で真世界、『PCW(パーフェクトコピーワールド)』の同空間座標にあるフィリピンに豪風雨をまき散らしている。

 一分でも早く勝利しなければそれだけ被害が拡大し、死者が出る事だろう。

 ミドルそして小田一二四中尉、セブンもそんな災獣が原因で発生した天災で家族を奪われている。

 だからこそ、命懸けで災獣と対峙出来るのだろう。

 『RMS』のレイド対応セクション、『海局/Mマリンセクション』の対応チームの魔法や魔法具を使った弾幕を突き抜けるようにセブンは、愚直なままに真っ直ぐに進み、そして放った。

 『甲亥体剣穿極』、それは、ただ剣を前に突き出し突っ込むだけの技。

 それをセブンは、猫万の中でも一部の者にしか到達できない発展系、『五影』の一つ、極を使った。

 以前に普通のそれとどう違うのかとセブンに聞いた事があるが擬音混じりの意味不明な回答しか返ってこなかったが、それでもそれは、違うのだ。

 ミドルが開けた鱗の隙間に大きく剣を突き刺し、深くめり込み、そして剣に込められた私の炎の魔法が内部から災獣を燃やした。

 本来、災獣に通常兵器の攻撃は、通用しない。

 八種の中でも四法と呼ばれる魔法攻撃か四技の一つ、ミドルが得意とした気技でしかダメージを与えられない。

 しかしながら、自分の体を燃やした炎は、自ら興した豪風で燃え上がり、全身に広がっていく。

 雨が火を消そうとするが、その炎は、内部から広がり、体表から漏れだすたびに増幅されていく。

 きっとセブンも想定していなかっただろうが、天災にもつながる自らの風が災獣を消耗させつづけ、そして消えていった。

 私は、ミドルに報告する。

「お前の一撃がこれから起こる筈だった天災の被害を全て消し飛ばしたぞ」

 そして俺は、動き出す。

 全身火傷しているだろうセブンの回収に。

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