■94 狩猟大会
数か月後の初夏、ここモストワ邸に一通の手紙が届いた。王宮からだ。
「狩猟大会?」
「えぇ、毎年この時期に開催される催しですね」
貴族、騎士の者達がモンスター狩りをするイベントらしい。けど、私はモンスターを狩る方ではないらしい。
狩りの最中、ご夫人や令嬢達は用意された席でお茶をしながら談笑し待っているのだそうだ。
……ステファニー殿が参加すると勝負にならない……って、ちょっと陛下? 私そんなんじゃありませんよ?
イアンも落ち着いてきたところだったし、何かあれば私とルシルでだったら4時間くらいで帰ってこれる。
そして数日後、ローレンスにイアンを任せ私達は首都へ向かったのだった。因みにお留守番係はローレンス本人が名乗り上げてくれた。弟子であり年上の僕に師匠の留守をお任せください! と言ってくれたけれど……きっとイアンともっと仲良くなりたい、が本音かな?
タウンハウスに着いてから次の日、会場となるドルアンの森と呼ばれる場所の手前に到着した。ここは大体C級のモンスターが生息している。まぁ、偶にB級モンスターもちらほらいるらしいけれど。
到着してすぐに、視線を感じた。遠くから、モルティアート侯爵と、ご夫人であるラミシア様。そしてユージーン侯爵子息が見えて。ラミシア様が笑顔でこちらに手を振っていた。
「お久しぶりでございます、モルティアート侯爵。ラミシア様、ユージーン様」
「あぁ、随分と久しぶりだな」
元気な顔が見れてよかったよ、と言ってくれる。今思えば、首都に来るのにも数ヶ月ぶりだ。それで、あの話は? とラミシア様がワクワクしながらこちらに目を向けてきて。あの話とは? と聞いてみたら……
「卵の件に決まっているでしょう?」
「あぁ、リヴァイアサンの卵の事でしたか」
その単語が出た瞬間、視線がこちらに集中してきた。周りにいた貴族達だ。何人かのグループとなって談笑をしていたはずなのに、視線はこっちだ。
「無事産まれましたよ」
「まぁまぁ!!」
「ほほぉ、ここにいるという事は、今元気に成長しているのかな」
「はい、食事もちゃんと取ってくれるようになり順調に育ってくれていますよ」
見てみたいわ! というラミシア様の声に、お二人も便乗してきて。もう少し落ち着いたらどうぞいらっしゃってください、と答えておいた。とっても楽しみにしてくれているようだから、イアンがもうちょっと大きくなったら呼ぼうかな。
「それは楽しみだな」
……えっ!?
いきなり後ろからの声に驚きながら後ろを見ると、ご招待してくださった陛下が殿下と一緒に来ていて。驚きつつすぐに挨拶を。
「久しぶりに、お主の元気な顔が見れて嬉しく思うぞ」
「ありがとうございます。私も、陛下にお会いできて光栄です」
殿下にも、お元気そうで何よりです。と。殿下のその恰好を見ると、ユージーン様のように、今回の大会に参加するようだ。いいなぁ、と少し思ってはいるけれど口には出さない。
「して、お主の弟子達はお留守番かな」
「いえ、一人は首都に連れてきて、もう一人は領地でリヴァイアサンを見ています」
「ローレンス、と言ったか。最近どうだ?」
「ローレンス、ですか……」
その時、気が付いた。陛下達の視線の向こう、私の後ろにはケルトニア伯爵達がいて。ちらりとこちらを気にしていたようだ。ローレンスはケルトニア伯爵達の長男だから、気にしているのだろう。こういった場にローレンスを連れてきた事がなかったから心配しているのだろう。連れてくればよかったかな。
「彼はとても優秀です。特に、とても丁寧な所ですね。彼自身のマナ量は少し少ないですが、とても上手に扱って無駄なく錬成をしています」
「ほぉ、欠点を補っているという事か」
「えぇ。私の所に来てからも着々と成長してくれています。もう一人の、年下の弟子にも気を遣ってくれて助かっていますよ」
「そうか、将来が楽しみだな」
「そうですね。……陛下、ありがとうござい」
「はて、何の事だろうか」
「あはは。いえ、なんでもありません」
さて、そろそろ始まるな。そう一言残してお二人は去っていった。
面白いと思ってくださった方、もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。とても励みになります!




