■68 公爵様来訪
「ようこそいらっしゃいました、アスタロト公爵様」
「あぁ、久しぶりだな。大事ないか」
「はい」
手紙を貰ってから数日後、予定通りに到着した公爵様達。いきなり公爵様が降りた魔鉱車の隣の魔鉱車が開き、勢いよく飛び出してきた子供達。
「「「おねーちゃん!!」」」
ぐへっ……
ちょ、体当たりはキツイ……
「み、みんな、元気だね……」
「大丈夫か、レディ」
「あ、はい……ダイジョウブデス……」
そんなに会いたかったか、おばあちゃんは嬉しいよ。
無邪気に笑顔を見せてくる子供達。初めて会った時はここまで元気ではなかった。あまりのびのびと遊んだりできなかったからなのかな。けど、公爵様の所で元気にしていたらしい、良かった。
それからサマンサに子供達のことを任せて私は公爵様を案内した。
「忙しい時期だっただろう、任せてもいいだろうか」
「一応人手はありますし、大丈夫です」
「そうか、それは良かった。それにしても、だいぶ懐かれていたな」
「まぁ、いろいろとありましたから」
奴隷商人から助けて、それからこの領地でもまた会ったし。それに、一日ではあったけれど楽しく過ごしたし。
「子供達を引き取ってもらうのだから、謝礼金もきちんと持ってきた。使ってくれ」
「えっ!?」
「それと、支援金もな」
「い、いえ、そんなには……」
ちょ、ちょっと多過ぎではありませんか公爵様!?
「何も言わずに貰ってくれ。もう既に君のハウススチュワードに渡してある」
「あ、はい、で、ではありがたく、使わせていただきます……公爵様」
「公爵様か……」
「え?」
「最初に顔を合わせた時を覚えているか」
あ、王宮で王太子殿下の叔父様とバッタリ会った時に偶然会ったんだったよね。随分前の事だけれど。丁度公爵様が公爵家当主になった時だったっけ。
「バートン」
「え?」
「と、呼んでくれると嬉しい」
あ、そうだ。なったばかりで慣れないからそっちで呼んでくれると嬉しい、って言われたんだっけ。
「え、えぇと……よろしい、のでしょうか……?」
「あぁ、呼んでくれ」
「……バートン様、でよろしいでしょうか?」
「あぁ、それで頼むよ」
おぉ、嬉しそうだ。まぁ、本人に頼まれたんだからいっか。正式な場所とかでなければいいだろう。気を抜いたら公爵様って呼んじゃいそう。気を付けよう。
「皆久しぶり!」
「おねーちゃん!!」
「わーい!!」
さっき見た通り皆元気、あの時見たやせ細ったような子はいない。健康面でも公爵様がご配慮してくださったのね、良かった。
「今日からここにいていいんでしょ?」
「うん、だから皆よろしくね」
「わぁーい!!」
「うん!!」
あぁ、何て健気。私にもこんな時期があったかしら。……思い出せない。だいぶ大昔だ。
この屋敷には、10歳以下の子供達が何人もいる。ジョシュも含まれる。ローレンスは11歳だからお兄さんだ。
今回の子供達9人に、領内で保護した赤ん坊と2.3歳くらいの子供達6人だ。ちょっと難しい時期の子供達だから侍女さんや来てくださった領民の皆さんにはだいぶ苦労を掛けてしまうな。
「増えたところで何も変わらないわ、ぜーんぶ任せなさい!」
「あはは、ミランダがいてくれてよかったです。じゃあよろしくお願いしますね」
「えぇ!」
屋敷が、賑やかになりそうだ。楽しそうで良かった。
また、錬金術を見せてほしいと言ってくれる子供達。将来この中から錬金術師になってくれる人達はいるだろうか。私もこれくらいの時に錬金術をお師匠様から教えてもらったような気がする。うん、気がする。そう言うのってあまり記憶力がないんだよね。錬金術の事なら覚えてるのに。あはは。
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