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大賢者の弟子ステファニー  作者: 楠ノ木雫


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■56 ぼったくり商会


 モダルさんに紹介してもらった商会に足を運ぶと、私がモストワ男爵だと知った瞬間すぐに奥の部屋に通された。こういった所で私はちょっと有名らしい。何故だか知らないけれど。



「なんと、それは災難でありましたね」



 新しく、こちらで契約して頂けないかとお願いしたところ、快く承諾して頂けた。値段を付けて頂いたところ、今までの値段よりも5倍くらい多い値段が付けられた。


 え、そんなに高くして頂いていいのですかと言ったけれど、これはそれくらいの価値のあるものだと語ってくれた。ブランドとまで言われていたのだから、それだけ凄いものだったのかとちょっと嬉しかった。


 それと同時に、今までこんなに損をしていたのだろうかと腹が立つ。



「では、商談成立という事でよろしいでしょうか」


「えぇ、これからよろしくお願いします」



 鍛冶屋さん達にはスティーブンの方から言ってくれてるから、大丈夫でしょう。



「あとは、向こうとの契約破棄をしなきゃ」


「サロジア商会ですか」


「うん、ちょっと大変だろうけど……まぁ後日、という事で」



 私一人じゃちょっと苦戦しそうだし、スティーブンを連れていこうかな。


 では、と部屋のドアを開けてくれたユウラ。「男爵様、」と呼ばれた時、知っている声が聞こえてきたのだ。



「えっ……」



 以前ギルドの仲間だった、ミリィ、ユリア、エルサだった。


 あ、ステファニー! と駆け寄ってくれたけれど、ユウラが間に入った。この方は、モストワ男爵様だ、口を慎め。と。


 黙ってしまった、3人。こら、とユウラに黙るよう言ったけれど、もう遅かった。



「えぇと、皆元気?」



 気まずくなってしまって、一言言ってみた。けど、笑顔を見せてきてくれて。



「やっぱ、男爵様になったんだ」


「聞いてたけれど、ほんとだったんだね」


「うん、ちょっと色々あってね」



 まぁ、あり得ない話じゃないよね。と3人は納得してくれた。ギルド仲間じゃなくなってしまったけれど、まだ仲良く接してくれるとは。ありがとう、皆。


 ちょっと場所を代えてはいかがですか、とユウラが提案してくれて個室があるお店に入った。




「え、あのドラグラド領がステファニーちゃんの領地になったの!?」


「うん」



 ギルドで、ドラグラド領がモストワ領になったことは知っていたらしい。けれど、私がモストワ男爵とは知らなかったのだとか。


 あんなに問題のありすぎる領地をステファニーちゃんに渡すなんて王様何を考えてるんだろうね? と言ってはいるけれど、きっとステファニーちゃんが何とかしてくれるって思ったんじゃない? と言ってくれた。



「何たってこのサーペンテイン1の錬金術師なんだもんね!」


「力の見せどころ?」


「あ、はは」



 力の見せどころ、とは言ってもまだまだ問題解決には至ってない。領民達の安心できる日常、それを与えられるまでにはまだまだ道のりは長い。



「もし、何かあったら私達に言ってね」


「あ、ギルドで指定依頼とかしなくていいからね!」


「そうそう! これは友人として助けたいってだけだから!」



 ニッと、笑ってそう言ってくれるかつての仲間達。この3人には沢山助けられた。ギルドを抜けても、こんなに接してくれるなんて思ってもみなかったけれど……



「うん、ありがとう!」



 とても、嬉しいよ。ありがとう、皆。



 それから会話に花を咲かせていると、私が持ってきた武具を知っていたらしくて。売ってくれとお願いされてしまった。まぁ、これは私が買ったものだしいっか。因みに、とても良いものだけど買えずに困っていたらしい。


 それを聞くと、私の領地の皆さんが汗水流して作りあげた作品がこんなにも喜ばれている事に少し感動してしまって。この言葉をそっくりそのまま作った人に届けてあげたい、そう思った。



「じゃあ、いつでもいいから領地に遊びに来てね。歓迎する」


「ほんと! わぁーい!」


「やったぁ!」



 今度、ジョシュ達も会わせてあげたいなぁ。


 こんなにたくさん話せて、良かった。






「とても、楽しまれていましたね」


「あはは、だいぶ久しぶりだったからね」



 爵位を貰ってから、慌ただしくて今までの人達とあまり会っていなかった。余裕というものがなかったからだ。



「ちょっと寄る所出来た、行っていい?」


「寄る所、でありますか」


「うん、お腹空いたでしょ。お友達のお店なの」



 そう言いながら、今度はルナンさんのお店に足を向けたのだった。ちょうどお腹も空いていた事だし。


 そこにアルさんもいるといいんだけどなぁ、と思いつつ、どんなお店かをユウラに話していた。







 その後、サロジア商会にスティーブンを連れて向かった。


 ほんとにスティーブンは優秀だと感じた。あっという間に契約解消、そして今までの悪事を暴き後日国の方で訴えさせていただきますという事になった。私は思った、スティーブンを敵に回してはいけないと。



「自分のすべき事をしたまでです」



 当たり前の事をしただけ、といつも言っているけれど私はとても助かっているよ。ありがとう。



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