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大賢者の弟子ステファニー  作者: 楠ノ木雫


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29/110

■28  水晶


 さて、この水晶だけど……


 見たところ、これは毒霧が放出されているのだろう。予測だが。この甘ったるい匂いは人間には害がない所を見ると、モンスターに効果のある毒という事になる。



「割って破壊しても、この毒の霧が一気に拡散してしまうだろうし……」


「あの日のように、毒のみを錬成素材とすることは……」


「いえ、この毒の詳細が分からないのでそれは不可能です」



 鑑定しても不可能。それだけレベルの高い代物だという事だ。力不足なのが悔しいな。やっぱり、押さえつけて蓋をしてしまう?


 悶々と頭を巡らせていた時にいきなり地響きが、周りにいた騎士さん達が一瞬で戦闘態勢に入り私を囲ってくれた。流石騎士団の皆さん達だ。



「ロック鳥、だけど変異してる……?」



 私は2.3回出会ったことはあるけど、こんなにどす黒い色はしていなかったし、こんなに爪が鋭くなっていなかった。


 あまり強いモンスターではないはずなんだけれど、これの原因は共食いなのだろうか。だとしたら、一刻も早くこれを処理してモンスターを何とかしなければいけない。



 そんな時、遠くから煙が上がった。水晶石が全て埋め込まれたという合図だ。


 よしっ。そう気合いを入れて杖を地面に付き刺した。



『展開』



Aqua(アクア)



〝ラワドラスの種〟



『水結界』



 そう唱え、水晶石と杖をマナで連結。その後に魔力の籠った水が水晶石から噴き出し、それは四方と繋がり薄い膜を作り出し、上へ上へと延びだした。そして、正方形となり一帯を包む。結界だ。



「……よし」



 ふと、騎士団の皆さんの方へ視線をやるとロック鳥は討ち取られていた。けれどまた次のモンスターを対峙していて。これは早くしなければ、そう水晶に目を戻した。



「やっぱり、封じ込めてしまうのが一番」



 けど、甘く見ちゃいけない。こんなにマナを凝縮された物なんて見たことない。




『展開』




〝カドラスの種〟




Aqua(アクア)




Creare(クレアーレ)




 地面から植物が生えていき、大きく開いた黄色の花が水晶を包んだ。


 どんどん花びらが生えてきては何重にも包んでいく。


 そして、



〝レルドルの種〟



 長く生えてきた蔓。それは包まれた水晶に巻き付いた。




 逃がさない。



 全て閉じ込める。







『 我 大地の女神ガイアの代理人なり



  この世の万物を支える大地を脅かすモノに



  我の力を以って



  逃がすことなく 全てを包み



  ここに封ずる




  全ては、我らが偉大なる大地の女神ガイアの名の元に___』




 展開した陣が、光り出し水晶を包み込んだ。

















「_________________________________ふぅ」



 良かった、成功。


 穴は感じられない。



「もう。誰だ、こんなの作り出したやつは」


「ステファニーさん……?」


「あ、終わりましたか?」


「一旦片付きましたけれど……それは?」



 指をさしたのは、私が持っているこれの事だろう。



「一応封じ込めました。けれど、あくまでも閉じ込めただけですから、これから調べて消滅させます」


「な、るほど」


「さすがです、錬金術師様……!」



 念には念を込めて、『Glacies(グラシエス)』。よし、氷漬けしたから何とか安心。



 さて、あとはここら一帯に放出されてしまった毒霧が残ってる。



Ventus(ヴェントゥス)



 水晶石ともう一度杖を連結させた。



「強風に備えてください」



「「「えっ!?」」」



 細長く伸びる竜巻を出現させた。それによって、中心に毒霧が集まってくる。


 毒霧を中心に押し込み、毒霧の粒子を一点に集める。押し込めて、押し込めて、そして凝縮させて。




〝メミリアの種〟



Terra(テラ)



Lux(ルクス)




 錬成で作り出したのは、小さな箱。その中に、凝縮した毒霧の粒子を入れて、蓋をした。




〝カドラスの種〟



Aqua(アクア)



Creare(クレアーレ)




 先程と同じように、箱を封じ込めた。





「な、なんと……」


「れ、錬金術師様……」



 皆さん、吃驚顔。


 いや、これで終わりではないですよ。


 空気中に漂っていた毒霧は処理出来ても、もう大量に吸ってしまっていたモンスターは倒さなければいけない。



「……ッッッ!?」



 どくんっ



 心臓が脈打ったかと思うと、口が鉄の味がしてきて。



 ごほッごほッ……



「えっ錬金術師様ッ!?」


「ステファニーさんッ!!」






 そこからどうなったのかは、私は覚えていない。




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