サテラ
濃厚な魔力が渦巻き、サテラの周りを巡る。ユズナさんとムニが斬りかかるが、掌で受け流されている。タカヒロさんの石砲の魔術もサテラの払う様な手の動きに沿う様に軌道を逸らされる。割ととんでもない。
悪魔憑きなのか?吸血鬼みたいな妖魔?それとも普通の人間…は無いか。まぁどちらにせよ何かされる前にコレで…
「フレア」
私の呟きと共にサテラの周りを包む様に青白い炎が発生、圧縮、収束していく。
「『ハアアァ!!』」
サテラが叫んだかと思うと、闇色の魔力がフレアを吹き飛ばした。
「今のは危なかったわね…?そっちの女の子には魔力を感じなかったのに…油断したわ。先に死んで頂戴」
私に指先を向けるサテラ。次の瞬間、黒い弾丸の様な物が反応出来ない速度で私の胸に着弾、爆発し、私は後方へと派手に吹き飛ばされた。ぐうぅ、痛ったぁ〜!
『マコ!』
「マコちゃん大丈夫!?」
ムニとタカヒロさんがコチラを振り返り無事を確認する。痛た…胸を見てみると、師匠謹製黒ローブとドラゴンの皮鎧がボロボロになって、首のチョーカーも魔石が割れている。この3つが無かったら多分私死んでた…?あっ、魔女の帽子が脱げて私の立ってた場所に転がってる…それを拾うサテラ。
「あら?殺せなかったわ?良い防具を着てるわね?頭を狙えば良かったかしら?」
サテラの指先が再びこっちに向けられる…マズイ!
『うりゃあ!』
私の頭を狙って指先から放たれた黒い弾丸をムニが斬り飛ばした。その瞬間弾丸が爆発してムニが吹き飛ばされた。大分離れたところまでゴロゴロと転がっていくムニ。
『く…ぅ』
「やるわねぇ。ワタクシの”闇の雫”を斬るなんて。うーん、見たところその女の子がリーダーなのかしら?」
そう言いながら私の前に悠々と歩いてくるサテラ。それに対してヒムロとサクヤちゃんが巨大化しながら噛み付き、引っ掻こうとするがサテラの放つ黒い魔力に吹き飛ばされる。そしてまだ立ち上がれていない私の目の前に立った。
「やっぱり魔力は無いわねぇ。さっきの炎は何処から?まぁ良いわ。すぐに地獄に突き落としてあげる」
この人、強すぎる!後、出来ることは…コレしか無い!
「シューティングスター!」
キュン!ギィィィィィィン!
全身全霊を込めて放った流星は、サテラがすかさず放った”闇の雫”と衝突、大きな衝撃波が辺りの全てを吹き飛ばす!爆心地間近にいた私は強烈な爆風に地面をバウンドする様に転がる。
ゴゴゴゴゴ…
ど、どうなったの…?
何とか立ち上がり、サテラのいた方を見ると、無傷では無いものの五体満足といえる状態で立つサテラ。
「今のは…本当に危なかった。かなりの魔力を使ったわ。ドレスもボロボロよ」
ユズナさんが何処からとも無く現れて、サテラの首を切ろうとしたが、掌で止められ、掌底を受けて吹っ飛んで行った。
「貴女、面白いわね。この帽子が精神系の防具の様…今なら効くわね?さぁ、”服従しなさい”」
服従しろと言われた瞬間に、頭の中が塗り替えられる様な感覚に意識が囚われる。
『マコ!”我が一太刀に斬れぬモノ無し”ッ!』
キィン!
叫び、足が地面にめり込む程の踏み込みとともに居合の形で振り抜かれた刀は、サテラの身体を真一文字に斬った。が、次の瞬間には何事も無かったように立っているサテラ。ムニの方に振り返り、
「ドレスが更にズタボロに…マコって言ったわね。あの白い女の子にさっきの炎の魔法をお見舞いしてあげなさい」
「分かりました」
あ、駄目だ逆らえない。意識に反して身体が勝手に…
「フレア」
ムニを囲む青白い炎。あぁっ!圧縮させたらムニが!
ゴォォッと炎が収束したその後には何も残っていなかった。嘘、ムニ死んじゃった?
それを見たユズナさんとタカヒロさんは、これは無理だと思ったのかこの場から逃げていった。ヒムロとサクヤちゃんもサテラに吹き飛ばされてから姿が見えない。
「あら、逃げられちゃったわね。あの男の子は確保したかったのだけれど。まぁいいわ。こんなに面白い子が手に入ったのだもの」
と、言いながら私の顎を撫でるように指先を這わす。
「さぁマコ、領主館へ行きましょう?貴女を立派なレディにしてあげますわ。”ついてきなさい”」
そう言って街の中心へとサテラは歩いていく。抵抗しようとしたが、身体がいう事を聞かず、まるでもう1人の自分が身体を操作しているかの様な感覚でサテラの後ろを付いていく。




