ファイアボール
裏の訓練場は結構広くて学校のグラウンドぐらい。所々にカカシらしきものが乱立してる。
見渡せば魔術の練習をしてる人や、走り込みをしてる人達もいたりして。
そんな中、入り口の近くのカカシに向かって歩いていく。そして、そのカカシの20メートル程手前で止まる。
「アレにしましょ、全力で撃ってね〜、マコちゃん」
やり過ぎて壊しても良いとの事だ。うー、ドキドキして来た。
「はい、では、行きます!」
「はいは〜い」
「マコっちファイトー!」
コスモをバッグから取り出してページを開いて、あらかじめ書いてあるファイアボールの呪文をなぞり黙読、文字が光ったら発動句を唱える。
”原初の火よこの手に宿り、力纏いて巻き起これ、敵を穿ち、燃え上がれ”
「●、ファイアボール!●、ファイアボール!」
ゴゴォォ!ヒュドォン!ヒュドォォン!
”魔力枯渇。再起動まで12時間”
あ、コスモの魔力切れちゃった。まぁそれはいつもの事なんだけど。
カカシは粉砕とはいかなかったけどかなりボロボロで今も燃え盛ってる。ふぅー、私ながら中々の出来!
「へぇ〜、確かに連射力は凄いわね、速いのに制御もスピードも威力も申し分ないし。じゃあ他の魔術も見せてもらっても良いかしら〜?」
「あ、それがですね…」
私は私とコスモの事をかくかくしかじか説明した。
「う〜ん、ファイアボール2発だけってのは心許ないわね〜。でもそのコスモちゃんは面白いわね、色々調べて論文を書いたら中々反響があるんじゃないかしら〜?」
「そうですかね?」
「そうよ〜、時間が掛かるとは言え、魔石も無しに自動的に回復する能力や、所有者に魔力を供給するその仕組み、修行に修行を重ねて覚える詠唱短縮を黙読するだけで可能にする機能、詠唱短縮する為に犠牲になりがちな魔術制御のサポート、と今軽く見て聞いただけでも協会の役員達は飛びついてくるわよ〜。流石に彷徨い人の持ち物は一味違うわね。どう?コスモちゃんを私に預けてみる気はない〜?」
おー、コスモベタ褒め。そう聞くと凄いのかな?ちょっぴり役立たずだって思ってて申し訳ない…
「いや、あんまり人に広めるつもりは…それに私コスモが無いと…」
「良いじゃないの〜」
クレアさんがしなだれかかってくる。わ、私女の子ですから色仕掛けは…
「あはは、マコっち、クレアさんは興味がある事になるとグイグイ来る事で有名だから早めにキッパリ断った方がいいよー!」
「ご、ごめんなさいクレアさん。堪忍してください!」
「あらぁ〜、ざぁんねん。クスクス」
なんか揶揄われたみたい。はー、目が白黒しちゃうよ。
「じゃあ取り敢えず初級魔術師として登録するわね〜」
「あ、はい、お願いします」
「じゃあ渡すものもあるし戻りましょうか〜」
「はい」「はーい!」
建物内のカウンターに戻った私は銅のカードを貰った。初級で銅、中級で銀、上級で金…とランクによって違うみたい。実力や貢献度によって上がっていって、飲食の割引、論文や高等魔術書の閲覧、難しいが身入りの良い依頼の斡旋とかを受けれるんだとか。
また、このカード自体が身分証になっていて、大抵の街への出入りが楽になるらしい。この街に入った時は、ここの住人であるラザちゃんの連れということで入れて貰ったそうだ。
そんなこんな説明を受けた後、カードをカバンにしまってと。
「それじゃあ、また来ます」「クレアさんまたねー!」
「は〜い、気を付けてね〜」
カランコロンカラン…
協会を出た所で空を見上げてみると太陽はまだ天辺近い。お昼真っ盛り。
そう、こないだ師匠に教えて貰ったけど、この世界の常識として、世界の中心、グランマザーを中心に太陽が回ってるらしい。太陽の周りを回ってる地球と逆、この場合自転や引力、重力の関係とかどうなってるんだろう?詳しい事までは分かんないけど不思議な世界だ。
それとも地球みたいにやっぱり地動説でしたって可能性もあるのかも?
「まだ時間あるけどどうするー?」
「そうだね、お店とか見て回りたいかな?」
「おーっし、行ってみようー!」
「おーっ」
さて、面白い物あるかなー?元の世界の常識では考えられないアイテムとか、衣服とか?
っても、私お金持ってないから本当に見て回るだけになるけどね…早く自力でお金稼ぐ方法見つけなきゃ。




