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報告

 ユズナさんの隷属の腕輪を外した翌日。私は王様に会いに王城へとやってきていた。


 昨日のユズナさんやタカヒロさんの話をしに来たのだ。

 今回は謁見の間ではなく、個室に通された。


 侍女の人が用意してくれているクッキーと紅茶を頬張りながら王様がやってくるのを待つ。


 座ると身体が沈み込む人を駄目にするソファー。壁には国の紋が刺繍されたタペストリー、部屋の隅には割ったら人生終わりそうな歴史の詰まってそうな壺や、煌めく黄金色の…もしかして全部金で出来てる?みたいな全身甲冑。他にもどれもが特級品であろう物がそこかしこに。庶民派な私はちょっと落ち着かない…


 そんな部屋の真ん中で10分程待っていると、入り口の扉が開く。王様と宰相さんだ。2人は私の対面に座る。


「待たせたな、マコよ」

「いえ、こちらこそお時間を取らせました」

「構わんよ。それに大事な話なのであろう?」

「はい、ハイリアのスパイだった2人の日本人の隷属の腕輪を外してコチラの仲間に引き込みました」

「ほう!流石マコだな。だが、その者達は信用に足るのか?」

「話をする限り本人達も隷属の腕輪のせいで仕方無く従っていた様ですし、嘘をついている様子も有りません。充分信用に足るかと」

「そうか。ならば良い」

「それでですね…」


 タカヒロさんやユズナさんから聞いたハイリアの工作や戦争の準備の進行度等を伝えた。


「…ハイリアは本気の様だな」

「そこで元スパイだったユズナさんからの進言なんですが、先に向こうの王を倒してしまってはどうかと言ってました。戦争を指揮してるのは向こうの王だから止まるんじゃないか、と」

「いや、それは辞めておこう。例え目前だとしても戦争自体始まってないのに王を殺してしまえば、こちらにも同じ事をして良いと言う口実を与えてしまうし、それ自体が戦争の引き金になってしまいかねない」

「でも陛下は既にオズワルドに一度殺されかけているじゃないですか?魔術陣の件も有りますし、向こうはかなり手段を選ばすこの国を落としに掛かってると見えるんですが…あまり受け身で後手に回ってしまっては…」

「それでもだ。戦争と言うものは一度始まってしまったら収めるのが難しい。今論ずべきは、どうやったら戦争が起こらない様に出来るか、だ。まぁ遅い気がするが」


 私も既に遅いと思います。


「何が目的なのか分かれば対処のしようもあるかも知れませんね」と宰相さん。

「何故であろうな?」

「さぁ…何でしょうね?」


 タカヒロさんやユズナさんのリーダーのクエルって人に先に話を聞いてみるのも良いかもだな。2人に連絡取ってくるだろうからその時捕まえる感じで。うん、そうしよう。


「後ですね、ハイリアの工作員であるユズナさんが拠点にしていたエスペリアの貴族の家がありまして。どうもそこの当主が反エスペリア派なんだとか」

「なんと。それは何処の?」

「ザボンベルクと言う名前だそうです」

「ザボンベルク伯爵か。分かった、こちらで取り調べしよう」


 そう、あの舞踏会の時の狸だ。

 ユズナさんに聞くところによると、結構な数の傭兵が雇われていて、その人員を使ってクーデターを計画してるとか。


 これで今回王様と宰相さんに伝えたい事は大体伝えたのでこの場はお開きになった。





「そっか、ダメかぁ」

「うん、戦争の引き金になるからって」

「仕方ない、クエルの首で我慢しようぜ」


 こないだの公園に私とコマちゃん、タカヒロさんとユズナさんの4人で集まって王様と話し合った事を伝える。


「そのクエルって人とはどうやって連絡取るの?」


 コスモの『索敵』で見ると、クエルって人は今はまだハイリアに待機している様だ。一点からあまり動かない。


「俺がこの間使った魔術をクエルも使えるから、キョットーに着いたら知らせて来る筈。その時に捕まえればいい」

「囲んでボコボコにしちゃおうよ!」

「クエルって人は強いんですか?」

「かなり強いと思う。オズワルドより上ぐらいに思ってた方が良いかも」

「それって相当ですよね…もしかして悪魔憑きだったりします?」

「どうだろ?その可能性もあるね」


 だとすると中々大変な戦いになりそう。

 それに街中での戦いになるだろうから周りに被害が出かねない大規模な魔術は使えないし…ムニにも参戦して貰わなきゃ。

 後、どうせ付いてくるだろうコマちゃん用に結界系の魔術具を作っとこう。


 その後少し話した後に解散した。


 私はコマちゃんを連れて錬金術屋に向かう。キョットーの錬金術屋はかなり大きい。様々な物が取り揃えてあるので大体のものはここで揃う。


 ちょっと歩いてたどり着いた錬金術屋。店内にお邪魔して早速結界用の魔石等の材料をカゴに入れていく。


「おや、マコちゃんじゃないか、今日は何を買いに来たんだい?」


 店主のおじさんが話しかけてきた。割と常連な私はこのおじさんとも良く話す仲だ。


「こんにちわ。今日は結界用の素材を見繕いに来ました」

「あれ?この間も買って行かなかったかい?」

「早速使っちゃったんで魔石の替えが欲しいんですよ」

「使っちゃった?武闘会優勝のマコちゃんに結界使わせるって…」

「近づいてきて不意打ちで喉にナイフを」

「ふぇー、そんな事が!世の中何があるか分かんなくて怖いねぇ」

「本当ですよ。なので今回は私の分の魔石とこの子の分を作ろうと思いまして」

「そうかそうか、お得意さんだしサービスしちゃうよ!」

「ありがとうございます〜」


 私とコマちゃん用の材料を買い、店を後にする。なんと5%引きしてくれた。これは嬉しい。


 家に帰ったわたしは早速リビングで結界魔術具の刺繍を始める。今日はヒューマ君が来ててムニが庭で稽古を付けているのでコマちゃんはそれに参加しに行った。リビングに1人。ちょっと寂しくもあるけど、刺繍してるのを観てても面白く無いだろうし、まぁ仕方ない。


 チクチクと、チョーカーの帯部分に紋様を刺繍する。コレはコマちゃんの分だ。私のチョーカーは魔石を取り替えるだけで済むようにしてるので改めて縫う必要はない。

 私のと同じ、自動発動のチョーカーを作る予定だ。結界の強度は魔石から引き出す魔力の出力に依存する。ある程度持続する結界を張るタイプと、一瞬だけど強力な結界を張るタイプ、どちらにしようかとちょっと悩む。やっぱり後者かな?


 面積が少ない分、細かい紋様を縫わないといけないので結構神経を使う。この調子だと完成には数日掛かると思う。でもクエルがキョットーに戻る迄には完成するだろう。多分。


 そのまま夕方までチクチクしてひと段落したらみんなのご飯を作る。ヒューマ君は訓練が終わったら帰るので食事は3人分。ヒムロ達は訓練と称して自給自足してるので必要ない。どうしよ、肉じゃがでいいか。


 ささっとジャガイモと人参も剥いて乱切り、玉葱も剥いてくし切り、お肉をまず炒めて他の具材も入れて…


 …なんやかんやで完成!並行して炊いておいたご飯とキュウリブッ刺して輪切りにしただけのチクキュウ、具沢山系味噌汁。ふう、充分でしょ。


 大体ご飯を作り終わった頃に、コマちゃんとムニが帰ってきた。


「…今日は肉じゃが。やった」

『先に風呂に入るぞ。汗だくだからな』

「…うー、お腹空いた…」


 お風呂に直行して行く2人を見送り、テーブルに料理を並べて行く。


 20分程してコマちゃん達がお風呂から出てきたので一緒にテーブルを囲み、頂きますをして食べ始めた。


「ムニ、どう?ヒューマ君は」

『いい調子だぞ。剣より刀の方がしっくりくるのかどんどん強くなってる。闘気法も順調に覚えてるぞ。魔力が少ないのがネックだけどな』

「…私の方がまだまだ強い」


 コマちゃんがヒューマ君に対抗意識を燃やしてる。


『と、言ってもヒューマは数十秒したら闘気法が切れて倒れるけどな』

「…私なら腕輪無しでも5分は待つもん」

「ヒューマ君魔力いくつぐらいなんだろ」

『どうだろうな?』


 城の宝物庫にある精霊玉の腕輪、ヒューマ君用に貰っておけば良かったね。まぁ今更くださいって言うのもな。


『マコは今何を作ってるんだ?』

「コマちゃん用の結界のチョーカーだよ」

「…お姉ちゃんのみたいな可愛い奴?」

「そう、可愛い奴」

「…楽しみ」


 楽しみにしてるコマちゃんの為にも頑張って作らなきゃね。

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