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招待状

 王様への謁見から数日後の昼過ぎ。


タンッタンッ!「マコっちー!」

「はーい!」


 庭で衣服の洗濯をアクアの魔法で洗濯機の如くチャチャっと済ませていると、玄関のノッカーを元気よく叩く音がした。あの声は…と、玄関を開けるとそこにはラザちゃんとヒューマ君が居た。


「遊びに来たよー!」

「お久しぶりです、マコさん」

「いらっしゃい!まぁ上がってよ」

「お邪魔しますー!」

「お邪魔します」

「はい、お邪魔されます」


 2人をリビングに案内してソファーに座ってもらい、お茶を淹れて持っていく。


「へぇー、マコっち結構良い所に住んでるねー。中心街にもそこそこ近いし庭も広いし」

「でしょう?」

「家賃高そう。このソファーも凄いクッション性だし。もしやマコっち結構稼いでるんだなー?」

「ふふ、秘密ー!」

「えー?ケチー」


 2人にお茶を配って、私もソファーに座る。


「そう言うラザちゃん達は何処に住んでるの?」

「私達は東門付近。宿屋の部屋を借りて住んでるよ」

「部屋?ヒューマ君と一緒に?」


 あれ?もう既にそんな関係?


「そうそう一緒に…あ、寝る部屋自体は別だよー?なんかマコっち変な想像したでしょ?いやらしいんだー」

「えー?そりゃするよ。男女一つ屋根の下だよ?」

「いや…あの…」

「ほら、ヒューマが気にしちゃうじゃんー」

「わ、呼び捨て」

「えー?年下だし?」

「そんな事言って、満更でもないんでしょ?で、2人はいつ結婚するの?」

「や、そんな、まだラザさんとは…」

「まだ?つまりいずれ?」

「マコっちー?」

「あはは」


 ラザちゃんに可愛く睨まれたのでその話題はそれぐらいにしてと。


「そうそう、マコっちにお土産ー、って言っても私達の分もあるけど」

「うん?何かな?」

「確か後2人一緒に住んでるんだよね?ケーキ屋さんで色んなの買ってきたよ」

「ホント?有難う!そうだ、紅茶淹れてこようか」

「あぁ、いいよそこまでしなくてもー」

「そう?」


 私はショートケーキ、ヒューマ君はレアチーズケーキ、ラザちゃんはミルクレープを選択。


 もうすぐムニやコマちゃんも帰ってくるだろうから食べずに横に置いておく。

 ヒムロとサクヤちゃんはここ最近は日中ずっと狩りに出掛けている。サクヤちゃんの訓練なんだそうだ。まぁ私も特に用事は無いので好きにして貰ってる。


「で、ちょっと聞きたいんだけどさー」

「うん?」

「ヒューマの剣を見てくれる強い人知らない?武闘会で見たブロンとか言う鎧着た人とかさ」

「なんで?」

「あの、俺、ラザさんにお願いしてついて来て、一緒に探索者になって魔物とか狩りに出掛けてるんですけど、正直ラザさんと実力が開きすぎてて…」


 あー、ラザちゃん棒術も魔術も使えるハイブリッドだからね。


「成る程ね。剣術道場とかは探してみなかったの?」

「道場だと、新入りは雑用をさせられる事が多いんですよ。なので本格的な訓練に入るまで時間が掛かりますし、それに結構門下生同士、道場同士でいざこざがあったりするので…」


 ふーん?結構道場って面倒臭いんだな。


「じゃあウチに住んでるムニに剣術を習うと良いよ」

「ムニさん…ですか?」

「うん、実力はピカイチだし、教えるのも上手だと思うよ。今出掛けてるけど、多分そろそろ帰ってくるから聞いてみてあげる」

「はい、お願いします!」


 ムニに任せとけばヒューマ君が強くなるのは分かってるからね。


 それから少しの間雑談をしてるとムニ達が帰ってきた。


『ただいま!』

「…ただいま」

「おかえりー!」


 ムニとコマちゃんがリビングに入ってくる。


『客か?』

「…誰?」

「初めまして、マコっちの姉弟子のラザって言いますー」

「お邪魔してます、ヒューマです」

『あたしはムニだ』

「…コマです」


 自己紹介がつつがなく終わり、ムニ達もソファーに座る。2人にもお茶を淹れてあげる。


「あ、お土産で買ってきたケーキ、2人も食べてねー」

『お、それじゃあ遠慮なく。美味そうだな、コマはどれにする?』

「…チョコの奴」

『じゃああたしは栗の奴』


 2人がケーキを選び、皆食べ始めたので私もショートケーキを一口。うん、ふんわりスポンジで甘さ控えめ。美味しい。

 で、早速先程の話題を振る。


「ムニ、ヒューマ君が剣を教えて欲しいんだって」

『ん?良いぞ』

「良いんですか?有難う御座います!」

『じゃあまだ夕方前だしケーキ食べたら始めるか?』

「早速良いんですか!というか月謝は…」

『いらん。金なら唸るほどあるからな』

「そ、そうなんですか。宜しくお願いします!」

「良かったねヒューマ」

「…後輩が出来た」



 それから夕方までヒューマ君はムニに剣術と闘気法を教わっていた。コマちゃんがちょっと先輩風を吹かせてて面白い。





 更に数日後。王城からの使いの人、トマスさんが家にやって来た。


「トマスさん、どうしたんですか?」

「陛下より書状を預かっておりますのでこちらを確認していただけると」

「あー、はい」


 受け取った手紙の封を開けて中の紙を読んでみる。


”長ったらしい前置きは抜きにしよう。マコが話してくれたハイリアの侵攻の件だが、先日偵察隊がキョットー側の平原で巨大な召喚魔術陣を発見し、それを破壊する事に成功したと連絡があった。情報提供に感謝する。

 又、オズワルドの悪魔の呪いによって魔物が集まってくる可能性と言っていたが、今の所キョットー周辺に変わった所は無いようだ。

 後、一応闘技場の舞台を中心に研究員が調べていて今の所何事も無いとの報告が上がっている。

 また何か気づいた事が有れば教えてほしい。”


 やっぱり今回、オズワルドに憑いた悪魔が消滅する様に聖なる炎で攻撃したのは正解だったみたいだ。


 手紙は2枚目がある…えっと…?


”話は変わるが、今度城で舞踏会が開催される。武闘会の優勝者であるマコに沢山の者が会いたがっているので是非参加して貰いたい。料理も振る舞われるので、他にも何人か連れて来てもらっても構わない。”


 うぇっ!?舞踏会!?


 私、踊った事なんか無いんだけど…これ、王様のお誘いだしやっぱり断れないんだろうなぁ。


「トマスさん、舞踏会の開催日っていつですか?」

「舞踏会は…」


 聞くと大体1ヶ月後。


「それほど気負わなくても大丈夫ですよ。踊れない人や踊らない人も割といらっしゃいますし、服装もかなり自由です」

「そうですか…」


 …不安だ。


 その気持ちが顔に出ていたようで。


「不安そうですね。なんでしたら、私のツテでダンスを教えてくれる貴族の奥様をご紹介致しますが」

「あー、是非お願いしたいです」

「分かりました、手配しておきましょう。他に何か入り用は御座いますか?」


 後はやっぱり…着る物かな?


「ドレス…ですかね?そう言った服は何処で仕立てて貰えば良いのでしょう?」

「それでしたら貴服を扱う店を何件か存じておりますのでこの後にでもご案内致しましょう。他には御座いませんか?」

「あー、はい。そんな所です」

「そうですか。ではこの招待状を」


 トマスさんから一枚の封書を受け取る。


「中に招待状が入っておりますので、当日城の門番に見せてください。ではお時間が大丈夫でしたら服飾店にご案内致します」


 舞踏会か。コマちゃん連れてこ。


 それから舞踏会迄の期間、私とコマちゃんの衣装や小物を仕立てたり、付け焼き刃だとしても恥ずかしく無いように、トマスさんの伝手の貴族の奥様にダンスを習ったり、コスモを入れれて、ドレスに似合う手鞄をこないだの革職人のお店にオーダーメイドを依頼したり、舞踏会とは別だけど城の研究員達とオズワルドがしていた腕輪の分解や研究をしたり…そんな目紛しい日々を過ごして。


 そして舞踏会の日はやってきた。

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