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アキラさん

 受付のお兄さんが裏から出てきた。上司の人とは話がついたのかな?


「お待たせしてすみません。それでですね、先程の論文を所長に見せたら連れてこいと言われたのですが、ついて来てもらっても構わないでしょうか?」

「あぁー、分かりました、大丈夫です」


 うー、偉い人とご対面か。果たして上級になれるかな?ドキドキするなぁ。


 お兄さんについていく。廊下を奥へと進んで行き、『所長室』と書かれたドアが開きっぱなしの部屋に入る。


「連れてきたか。ほら、やっぱり日本人だ」


 部屋の中央にあるローテーブルのソファーに座って私の方を見ているこのおじさんが所長さんかな?というか見た感じ日本人っぽいな?


「まぁ座っちゃってよ。今お茶淹れるから。キースが」

「えぇ?…では少々お待ちください」


 お兄さんもといキースさんがお茶を淹れに退室する。私は所長さんに促されるままに向かいの席に座った。


「じゃあ自己紹介な。俺はアキラ」

「あ、私はマコです」

「あいあい。早速だけど、このレポートの中身について」

「はい」

「最後まで読ませて貰ったけど実はこの魔力で身体が強化出来るって内容、国家的な機密なんだ」

「機密…ですか?」

「コレ、別名で闘気法って言うんだけど、修練すれば個人差で魔力の量や習熟の早い遅いの違いはあれ、誰でも凄く強くなれるじゃん?」

「そうですね」

「この技法を公開したとして、何が起こると思う?もし悪い人が闘気法を身につけたら…?」

「あー…成る程、そう考えると危ないですね」

「だろ?でも国としては戦力の確保の為に良識ある者には伝えたい訳だ。という事でこの闘気法の詳細は、国の重鎮、国に忠誠を誓った騎士達、国に認められた武術道場の師範代以上、探索者協会の上役とBランク以上になった探索者、魔術師協会員の上役と特級魔術師って感じの信用のおける人にしか伝えてはいけないという事になってる」

「成る程…」


 あれ?もしかして私不味いことしたかな?捕まっちゃう?


「とは言っても自然に身につけたり、自力で気付いて出来る様になる人もいる。そういう人から口伝で伝わるという事もあるし、そこまで厳しく取り締まってる訳じゃ無いんだけどな。だからマコちゃんが罰せられるとかいう事は無いから安心していいよ」

「あぁ、そうなんですね。良かったです」

「で、新しい闘気法の習得者を発見したって事を王様に上申させて貰うけど良い?そういう決まりなんだ」

「はい、大丈夫です」

「よしよし…お茶が来たから一服しよう」


 キースさんが部屋に入ってきて、手に持ったお盆からお茶とお菓子をそれぞれに配ってくれた。で、キースさんは受付の業務があるのでと言って退室していった。


「はー…お茶が美味い…あ、お茶も菓子も遠慮なく食べちゃって」

「はい、戴きます」


 ズズ…とお茶を頂く。


「所でマコちゃんは日本人だよね?俺も日本人なんだ。この世界にいつ頃来たの?」

「あーっと、9ヶ月程前ですね」

「割と最近じゃん。そんな短期間でキースが慌てる程の魔術を覚えたん?」

「良い師に巡り会えまして」

「ふーん?空間魔術を使えるのがマコちゃんの特別な力?」

「特別な力…ですか?」

「あぁ、知らないのか。日本からこっちにやってきた人間は何かしら特別な力が1つは備わってるみたいなんよ。身に覚えはない?こっちに来て、使えるようになった力」

「うーん、来た時に持ってたこのコスモって本ですかね?」

 

 アキラさんにコスモの事を説明した。


「ほぇー、凄いねその本。魔術も魔法も使えて、特殊な機能もあるんだ?」

「はい、逆にコレが無いと何も出来ませんね」

「あーね。そういう凄い物を持ってるってパターンもあるんだねぇ。因みに俺にも特別な力があるんだけどさ」

「へぇ、どんな力ですか?」

「相手と眼を合わせて念じると『ステータス閲覧』が出来るんよ」

「ステータスですか?素早さとか賢さとかのゲーム的な?」

「そう、ゲーム的な。って言ってもそこまで詳しくは分からないけどね。で、興味本意なんだけどマコちゃんのステータス見ても良いかい?」

「はい、良いですよ」

「じゃあ失礼して」


 アキラさんが私と眼を合わせてくる。これ、眼を逸らしたらダメなのかな?


「おぉ…?」


 首を傾げられた。何が見えたんだろ?少しして視線を切るアキラさん。


「見た感じ、その本と『コンティニュー』って力が君の特別な力みたいだね。2つもある人初めて見たけど。本の事はさっき聞いたから取り敢えず良いけど、『コンティニュー』ってどんな力なの?使った事ある?」

「えーっと、実は…」


 私が前回の世界で死にかけた時にこのコンティニューの力が発動して過去に戻り、今の世界でやり直している事をアキラさんにざっくりと伝えた。


「死にそうになったら過去に戻る力…時空魔法って所か?凄いね。でもそれってさぁ、その前回の世界では『コンティニュー』でマコちゃんは消えたって事になるわけじゃん?その先はどうなってるんだと思う?」

「…そのまま私が居ない世界が続くんじゃ無いですかね?」

「でもさ?今マコちゃんがいるこの世界もある訳じゃん?『コンティニュー』してマコちゃんが違う動きをするたびに世界の事象が変わる。となったら世界は今最低でも2個あるって事になるよね?」

「まぁ…そういう事になります…かね?」

「それともやっぱりマコちゃんが『コンティニュー』を使った時点で元いた世界はゲームでゲームオーバーになったみたいに『無かった事』になって消滅するのかな?それとも『コンティニュー』を使う度に並行世界が増えて木が枝分かれするみたいに無限に…」


 アキラさんが悩み始めた。それって多分どれだけ考えても答えの出ない、知りようが無い問題だと思う。

 暫くブツブツと俯いて考え込むアキラさん。


「ねぇマコちゃん、マコちゃんって神様に会ったことはある?この世界に来る時とかさ」

「いえ?無いですね」

「日本に居た時には少なくとも俺の目にはいるのかいないのか分からなかった神様だけどさ、この世界には多分…いや、ハッキリと実在してるんだよね」

「そうですね。回復魔術師とか神様に祈って実際に力を増やしてますし」

「俺の『ステータス閲覧』も自分じゃ分かんない事が分かる。つまり誰かに俯瞰されてる情報な訳だ。だからこの『ステータス閲覧』の能力は神様の視点の一部を付与して貰った力なんだと思ってる」

「成る程」

「で、今迄会った日本人は変わった能力を必ず1つ持ってたんだけどコレが神様に付与して貰った権能とするじゃん?」

「はい」

「じゃあマコちゃんの2つの力がどういう意味なのかなって気になってさ」

「…何でしょうね?」

「…実はマコちゃん神様だったりする?」

「ぅえ!?違いますよ、れっきとした人間ですよ!」

「だよねぇ…ま、考えても仕方がないね。じゃあマコちゃんは取り敢えず特級魔術師にランクアップね」

「え?特級?良いんですか?そんな簡単に決めちゃって」

「良いの良いの。空間魔術なんて訳わからん魔術が使えるのにそこら辺の魔術師連中と一緒じゃおかしいでしょ。人柄も問題無さそうだし、闘気法のレポートも上げて貰ったし。そのかわり頑張って協会に貢献して欲しいな」

「はぁ、分かりました」


 初級から一足飛びに上級抜かして特級魔術師になっちゃったよ。

名前 リューゼ

年齢 28

種族 人間族

性別 男

職業 剣士


体力 104

魔力 122


技能

 剣術Lv5

 盾術Lv3


装備(抜粋)

 黒鋼の大剣

 竜革の鎧


 ※76話時点

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