ドナドナ
ガタゴトガタゴトガタゴト…
「うぅ…」
「マコっち大丈夫ー?」
「…ぐぅ…」
「マコっちー!」
ガタゴトガタゴトガタゴト…
「なんでこんな事に…」
「このままじゃヤバイんじゃない?」
「もう私ダメかも…」
「マコっちー!」
「…大声ださないで…」
「ご、ゴメンね」
ガタゴトガタゴトガタゴト…
なんでこんなに揺れるの…?
あぁ、決して人攫いに捕まってドナドナされているとか言う訳ではなくて。
ただ、人生初の馬車というものに乗った際、余りの揺れに三半規管がアレしてるだけなのです…
車酔いはした事ないから大丈夫だと思ってたのに。
ガタゴトガタゴトガタゴト…
馬車に乗ってる理由ですが…
今から近くの街にリアルに牛を売りに街に行ってるんです…
いえ、酪農で育てたような牛ではなく。
朝の日課、ラジオ体操とフォーチュンちゃんでの素振り、反復横跳びと、その他色々私のトレーニング中のこと。
突然家の前に現れたビックバイソンと言う、高さ2メートルぐらいのサイズの牛の魔物を、師匠が「アイシクルコフィン」の魔術で氷漬けにしたんですね。
いやー、あの魔術は凄かった…まさに1発。一瞬でカチンコチン!
私も覚えたい!って事で聞いてみたんですが、中級以上の魔術は多分このコスモの魔力量じゃ使えないと言う事、
それに高度な魔術はもっと慣れてからでないと危ないと言われ今は教えて貰えませんでした。
仕方ないね、魔術が自分に掛かったり暴発したりもするらしいし。
そんなコスモは先日手作りした布の肩掛けバッグの中。
んで、その牛がまぁまぁな金額で売れるという事でラザちゃんが街に売りに行くことになったんですが、
街に行った事が無かった私も興味本位でついていく事にしたわけです。
んで、ラザちゃんが手配してきた馬車に同乗したんです。
やめて置けば良かったかな…いや、どうせ今後旅する為には乗らなきゃなんだし。
「街に着いたら起こしてあげるからちょっと横になってなよー」
「ラザちゃんありがと、そうするぅ…」
ゴロン。…早く着かないかな?そう遠くはないらしいけど。馬車で1時間ぐらいって言ってたから後2、30分かな?…はぁ。
…
…
…
「おーぃ!」
「…うぅん…」
「マコっちー!」
「っはっ!」
「マコっちってばー!」
「うわわ、お、起きました、ラザちゃん、そんな揺らさないでー。」
「あはは、ついたよー」
うーん、結構ぐっすり寝てた。寝てたお陰か割と気分は良くなってる、うん。
「市場で委託手続きも済ませたから今から降ろすところでー…」
ここは商店が軒を連ねる言わば商店街。その中頃にある卸市場だそうだ。
ラザちゃんの説明によると、市場でそのまま売るには売れるまでの待ち時間や解体の手間、場所代等が掛かったりするので、
そう言う業者の人に任せてその場で現金を受け取るそうだ。直接売るより手取りは下がっちゃうらしいけどね。
で、牛なんだけど1トン?ぐらいはあるので降ろすのは業者の人に手伝ってもらった。
載せるときは師匠の「グラビディゼロ」の魔術。こんな氷漬けの大きくて重い牛が丸ごとプカァーっと浮く様は形容しがたい感動を覚えた。私もあんな魔術使いたい…
「はい、これ、100万ルビね」
「ありがとーお兄さん!」
「こっちこそいいビックバイソンをありがとな」
「いえいえ、どういたしましてー!」
日本円にすると大体1ルビ1円ぐらいのもので、100万ルビ。このでっかい牛一頭100万円が高いのか安いのかちょっと分かんないけどラザちゃんが納得してるなら良いのかな?
「良い値段で売れたの?」
「うんうん、解体とかしてない割には上等だよー、状態はピカイチだからだねー!ビックバイソンはまぁまぁ…ほどほどに美味しいお肉が取れる庶民の味方だし、皮は色んな加工品になるし!」
ラザちゃんも凄いんだよなぁ。とても14才とは思えないくらいしっかりしてるし色々と出来る。こっちの世界だとそんな物なのかも知れないけど。
「ところでコレからどうしよっかー?」
「えーと、今お昼間だしご飯?でも私お金持ってない…」
「心配しなくてもご飯とかのお金は師匠が預けてくれてるよ。ランチね、あ!そしたらアレだー」
「ん?どれ?」
「魔術師協会!あそこのランチは割と安くて美味しいー!」
魔術師協会とな?ちょっと行ってみたい!
「探索者協会でも良いけどあそこはちょっと荒くれ者が多くてうるさいから落ち着かないんだよねー、昼間っから酒飲んでる人達もいたりして絡まれたりねー」
あぁ、それはなんかやだなー。男の人数人に囲まれてなんか乱暴される絵図が頭に浮かんじゃったよ。ひー。
「マコっちの協会デビューにもなるしベストな選択!そうしよ?」
「うん、わかった」
と、ラザ ちゃんに連れられて魔術師協会に向かう事に。どんなところだろうなぁ?




