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指名依頼

 チリンチリーンと鈴が五月蝿く鳴る中、暫く魔物を殲滅し続けて、タカヒロさんの魔力を減らすという作戦は、


「多分このペースだと減るよりも回復の方が速いっぽい」


 という一言で諦められた。


 その間に討伐した大量の魔物の魔石や素材を探索者協会へ持ち込んだ所、オーガの魔石が5万ルビ、他はグレイウルフやゴブリン、オークなどの小粒の魔石や素材を売り払って合計が15万ルビあるかないかぐらいとなった。

 あと、街の外に魔物がやたら多かった件を伝えると、「成る程、2時間程でこの量ですか…協会長に報告、対処致しますね」と対策をするとの事だ。


 今日稼いだこのお金は5等分。コマちゃんの分は私が預かる事にした。


「あの程度なら楽勝とはいえ、あれだけ倒して一人頭3万って、安い仕事だなぁ」

「普通5.6人パーティな事を考えたらそうですね」


 日当3万ルビ…3万円と考えるとまぁまぁ稼いでる様に思うけど、普通なら装備のメンテナンスもあるし、メンバーの都合で毎日探索に出れると言う物でも無いので正直微妙と言った金額だ。


「増えたって言う依頼のゴブリンが殆ど出てきませんでしたね」

『多分だが、そのゴブリン達は増えた魔物達に淘汰されたんだろうな』


 あれだけ魔物が溢れてるなら街道を走る商人や乗り合い馬車の人達が異常を察知しててもおかしくは無いと思うんだけど…


 あ、シューティングスターを試すの忘れてた。




 外で魔物達と大立ち回りした日から10日程。今日はお城の使者、トマスさんがウチに来た。


「え?トマスさん?どうしたんですか?」

「陛下より書状を預かっておりますのでこちらを確認していただけると」

「はぁ」


 受け取った手紙の封を開けて中の紙を読んでみる。すると、


”長ったらしい前置きは抜きにしよう。マコよ、このキョットーは魔物に囲まれていると言う事が、お主達の進言で発覚した。原因は恐らくだがオズワルドに取り憑いていた悪魔の瘴気が魔物達を惹きつけている物と思われる。街の外の魔物を出来うる限り減らして欲しい。一度、マコの用意できる実力者を連れて登城して貰いたい”


 …多分拒否権とか無いんだろうな〜。


「…わかりました、少し待ってて貰えますか?」

「申し訳ない、マコ様。よろしくお願いします」


 一度家の中に入って、皆に声を掛ける。


「今から魔物との戦いに出ても良いっていう人、この指とーまれ!」


 皆んながこっちを振り向く。


『戦か?』ムニで1人。

「マコさんが行くなら」ヒューマ君で2人。

「いくさ?やだなー」ウチに入り浸ってるタカヒロさんが苦笑いで3人。

「…ついてく」充分戦えるコマちゃんで4人。

『我もついていこう』ヒムロで1匹。

『私も少しは戦えます』サクヤちゃんで2匹。


 6つの手と肉球が重なる。フルメンバーだね、よーし。


「全員装備を整えて玄関に集合!」





 謁見の間にて。


「お待たせしました」

「よく来てくれた、マコとその仲間達よ。立ち上がって、楽な姿勢でいると良い」

「有難う御座います、それで、手紙の件ですが」

「あぁ、かなり深刻なレベルで魔物が集まっている。全周囲からじわじわと、特に北西の方向からが多い。オズワルドの悪魔の呪いは研究員が事に当たっている。キョットーの精鋭たる騎士団、宮廷魔術師団は民を守るために守りの手を割くことが出来ず、探索者や魔術師協会員の力を借りて事態に対処する事になった。第一に兎に角魔物を減らして欲しい。第二に強力な魔物を先行して倒して欲しい、そして第三に原因の究明を頼みたい。恐らくマコがこの街で一番機動力が高く、火力も申し分ないと見ての願いだ。よろしく頼みたい」

「分かりました、少しお願いがあります」

「なんだ?聞こう」

「宝物庫にあった空飛ぶ絨毯を貸していただけると空からの殲滅が楽になるのですが」

「うむ、分かった。譲ろう。持っていくといい」

「有難うございます」

「トマス、マコ達を宝物庫へ案内せよ」

「はっ!」





 空飛ぶ絨毯に乗って街壁の上まで飛んできた私達。あれから10日しか経っていないのに、明らかに魔物が森から溢れ出ている。空を飛んでやってくる魔物は街壁に配置された宮廷魔術師が魔術で退治している。


「北の方角からワイバーンだ!」

「くっ、多い!」

「魔術師隊急げ!中に入られるぞ!」


 そんな逼迫した状況の中、タカヒロさんがこっちを見て、


「俺、ちょっと手助けするね」

「はい、お願いします」


 タカヒロさんの魔力量と回復力なら、何発でも魔術が撃てる。羨ましい限りだ。


「肥沃なる大地に突如訪れる終焉 大地を破壊して突き進むは 現在を貫く宇宙より堕ちる流星…いっくよー!メテオストライク!」


 空高くから斜めに落ちてくる岩がワイバーンに直撃、そのまま地面にいる魔物たちをも巻き込んでガガガガと轢き潰していく。


「ひゃー!この魔術、気持ちいいー!」

「一度に数十匹は倒しましたね」

「…凄い」

「環境破壊甚だしいけどね」

『こういう場ではタカヒロは強いな』

「魔術戦ならまっかせなさーい」

「元々私の魔術なんだけど…」


 まぁこの調子で吹っ飛ばしていこう。


「王様曰く、北西の方が魔物が多いんでしたっけ?そっちへ行ってみましょうか?」

「いや、先ずは3方向にある門がどんな状況か見て回ろうよ」

 空飛ぶ絨毯をサクヤちゃんが操作して、ぐるっと街壁上を飛ぶ。


 南門は閉ざされてる。街壁上から弓矢や魔術が飛び、魔物達を倒しているようだ。割と大丈夫そう。

 西門も閉ざされており、同じ様に弓や魔術で魔物を遠距離から倒しているようだが、南門より数が多い。ちょっと危ないかも?

 北門の付近では探索者や魔術師が門近くの魔物を討伐している。1番の激戦区らしく、魔物の数も半端ない。


「俺とはマコちゃんは一緒にこのまま絨毯上から魔術で狙撃、ムニさんはこの北門を守備、ヒューマ君とサクヤちゃんで西門、コマちゃんとヒムロさんは南門を担当でどうかな?もう一回魔物を魔術で軽く殲滅しながら回って、担当の門の上空に着いたら下ろすって感じで」


 と、タカヒロさんが作戦を出してくれた。


「それで行きましょうか」『ヒューマ様、宜しくお願いしますね』

『北門は忙しそうだな』

「…私も活躍する!」『コマは我がしっかり守ろう』

「しかし喉がイガイガする。喉飴かなんかないかな?ない?」

「あ、薬飴ありますよ」


 あんまり緊張感無いな私達。


 そんなこんなでぐるっと1周。皆んなをそれぞれ門の前に置いてきて、私とタカヒロさんは北西に向けて飛んで行く。


「北西に何があるんでしょうね?」

「さぁ…」

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