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トキネさん

 今日は1人でリエルさんに教えてもらった占い師さんの店にやってきた。もっと占い師って店構えをしてるかと思いきや、外からパッと見た感じ普通の店…っていうか一軒家にしか見えない。


 何度か地図と住所を確認した後、ドアのノッカーをタンタンと鳴らし少し待つ。少ししてドアの鍵が開く音がして女性が顔を覗かせた。黒髪黒目、日本人顔だ。多分この人が彷徨い人の占い師さんだろう。


「…中へどうぞ」

「あ、はい」


 中へと促されて店の中に入る。店の中はテーブルと椅子が2つ。奥に女性が座ったので私は手前の椅子に座る。


「それでは…初めまして、私はトキネと言います。5年ほど前にこの世界に転移してきた元日本人です。宜しくお願いしますね、マコさん」

「…あれ?何故私の名前を?」

「ふふ、コレが転移した時に私に付与された能力なんです」

「と、いいますと相手の思考を読めるとか…そう言う感じですか?」

「いえ、思考ではなく、相手の過去や未来がある程度見通せるという感じです」

「へぇー!それはすごいですね」

「私は元々占いみたいな事が好きでしたからその影響だと思われます。ただ、彷徨い人…元日本人達の過去はこの世界に来た所までしか遡れないみたいです。なので、地球で過ごしていた時期の出来事を知りたいと言われても無理です」

「あー、そうなんですか」

「では早速ですが、貴女を視させて頂きますね?」

「はい、お願いします」


 トキネさんが私を見つめ始めた。水晶玉とかタロットカードとか使わないんだな〜。占いというとちょっと違う気もするな?超能力の類い?と思いながら見つめられる事しばし。何やら顔を顰めるトキネさん。次第に顔色が悪くなっていき…


「すみません、少し席を外します」

「は、はい、お構いなく」


 な、なにが見えたの!?どんな未来が見えればあんな顔になるの?不安なんだけど…


 数分程してトキネさんが帰ってきて椅子に座った。口にハンカチを当てて此方を見てる。


「すみません、少し気が動転してしまいました」

「どんな未来が…?」

「余り視えた未来を話すと、私の能力が効きにくくなったり、多様性が失われたり、あらぬ方向へ道が逸れたりして未来が悪い方向に固定されてしまう場合があるので、私が話す助言はいつも最小限にしています。その点をご了承下さい」

「そうなんですか。わかりました」

「その前に質問をさせて頂きます。貴女はコスモという本を持っていらっしゃいますね?」

「はい」

「元の世界に帰るためその鍵を探している」

「そうです」


 凄いな、そんな事も分かるのか。コスモの話なんて一つもしていないのに。


「その鍵ですが、私が貴女の未来を見通して今の段階で確認できた本数は後6本。これで全部とは限りませんが」

「最低でも6本…」

「で、ここが重要なのですが、貴女はある…あ」


 唐突にトキネさんの動きが止まった。どうしたんだろ?また少し顔を青くしたトキネさんはハンカチで額を拭いながらも私の眼を凝視している。


「だ、ダメですね、今これを話すと未来が悪い方向に向かうようです。今の無しで」

「は、はぁ…」

「難しいですね。何と伝えれば良いのでしょう?一先ず鍵の在処を伝えれば良いでしょうか?」

「場所が分かるんですか?」

「えぇ、私もそれほど細かく未来が見える訳では無いので、具体的な助言迄は出来ませんが」

「元々何も分からない所だったので、情報が貰えるだけでも有り難いです」


 トキネさんは一度目を瞑り、再び私を視る。


「では貴女を視通した結果は…このキョットーで3ヶ月ほど先にある武闘会へ出場なさい。その際ムニ様は出場させてはいけません。その後第4世界フレイザムへ赴きピラミッドの王の墓を暴くのです。第5世界ユグドラシルにある世界樹の天辺へ登ってみるのも良いでしょう。…そうですね、貴女の未来はコレで収束しました。今回の助言はこんな所でしょうか」


「武闘会…ピラミッド…世界樹…3本?残り3本は?」

「それはまたその時に…貴女が道に迷って困ったならば、真っ先に私の所に来て下さい。以上です」

「は、はい。わかりました。有難う御座いました…代金は?」

「今回は初回サービスという事で」


 トキネさんが席を立ち、私に退出を促す。もう少し聞きたい事が有るけど、具合悪そうだしここで話を切り上げるのには何か理由があるのだろう。


 お店の外に出て、座ってて固まった身体をほぐすため伸びをする。くぅーっ。


 ふうっ。先ずは武闘会か。なんだろ?ムニを出場させちゃいけないのは強すぎて優勝しちゃうから?すると鍵が手に入らない?つまり私が上位に入賞出来なくなって褒賞が貰えなくなるって感じ?うーん。

 まぁ良いや、一先ずムニにはヒューマ君を鍛えて出場させるように言い聞かせてみよう。「弟子の成長を見守るのも師匠の仕事」とか言ってムニが出るのをそれとなく遮る感じで?まぁ言い回しは後で考えるとしましょうか。

 私自身も鍛えなくちゃ…魔術師協会で訓練でもしてみようかな。うん、そうしよう。





 マコさんが店を出て行った後、私はテーブルに突っ伏していた。思い出すだけでも怖気がする。


「何あの死神みたいなヤツ…」


 鍵の事以外の何かを伝えようとすると、すぐそこの未来に現れる大鎌をもった黒衣の男。その男が現れた時点で私もろともマコさんは…


 そしてそう遠く無い未来にマコさんは…私の助言によって万華鏡の様に行く先が変わろうとも…


「マコさんに神様の御加護が有ります様に…」

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