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リエルさん家

 借家を借りた。暫くの私の拠点だ。家具やキッチン用品、消耗品などを数日かけて購入し、住めるようになったので宿屋から引っ越して来た。馬車は馬達を売って、フレームだけ庭先に置いてある。あんまり放置するといろんな所が劣化しちゃうからちゃんと適度に動かしたり整備しなきゃダメだと馬車屋の店員さんに言われた。


『夢のマイホーム!』

「いや、借家だよ」

「…お家に住めるの嬉しい」

「庭が広くて良いですね!」


 一先ずみんなでリビングのソファーで寛いでる。ソファーとテーブルを設置しただけの状態だけど。


『よし、少年。早速素振りから始めようか!』

「ムニさんよろしくお願いします!」

「ヒューマ君頑張ってね」

「やったりますよ!目指せ、ムニ流剣術師範代!」

『道は遠く険しい。さぁ行くぞぉ!』


 2人で勢いよく飛び出していき、元気に庭で素振りを始めた様子。私は…リエルさんの所に行って、占い師さんの場所を聞きに行こうかな?


「私はお出かけするけど、コマちゃんはどうする?ついてくる?家でお留守番する?」

「…ついてく」


 そんな訳でリエルさん宅へ2人でお邪魔する事にした。リエルさんの家は探索者協会から割と近くて、大通りを1本裏へ入った所にあるらしい。

 道中色んな店や人、正面に見える城を眺めながら大通りを歩いていく。祭りをやっているかの様な賑わいに少し心躍るね。


「…ねぇお姉ちゃん、あの店何のお店?」

「あれは…牛の絵の看板だから…多分食べ物のお店だね」

「…あっちのアレは?」

「靴屋さんだと思う。ほら、看板が靴の絵」

「…じゃあ、あの道でやってるのは?」

「露店だね。雑貨屋さんかな?見てく?」

「…うん」


 ちょっと寄り道してお店に寄る。笛とか置物とか花瓶とか…雑多な商品を置いてある様だ。「いらっしゃい」と声を掛けてくる店のおじさんに会釈をして、商品を眺めてみる。…と言っても欲しいアイテムは特に無さそうなのでコマちゃん待ちだ。


 やがてコマちゃんも満足したようで、店のおじさんに手を振りながら「…また来る」「いつでもいらっしゃい」とやりとりをし、リエルさんの家に向かって歩いていく。


「…おじちゃんこれくれた」


 と、ふと手の甲を広げて私に見せてくる。なんだろと見てみると、その細い指には指輪がはめられてた。大きな青い宝石が付いててゴテゴテとした…オモチャみたいな指輪だ。お祭りで売ってそうな感じ?


「良かったね」「…うん!」


 9歳の割には子供っぽいなコマちゃん、と思いながら道を進んでいく。

 その後もアレ何それ何とコマちゃんに質問攻めされながら、探索者協会の近くで裏道に入り、一本裏の道を歩くこと数分。


 ここかな?門に妖精が象られた紋章が飾ってて、一等地と思える場所なのにかなり広い芝生の生えてる庭。そこに二匹の大きなワンちゃんが寝そべってる。その奥に見える家も大きくて、裕福な家庭なんだなと伺わせる佇まい。

 まぁそれは良いとして、どうやって声を掛ければいいんだろう?この門は勝手に入って良いものなんだろうか?ワンちゃん二匹がそれとなくこちらを見ている感じ。入ったら吠えられそう…それはやだなぁ。

 と躊躇していると、ワンちゃんの片方が起き上がって家の玄関まで歩いていき、ワンッと吠えた。ちょっとして玄関の扉が開いてリエルさんが出てくる。え?そういうシステムなの?


「あら、貴女達いらっしゃい」

「お邪魔しに来ました」「…きました」

「丁度いいお菓子があるのよ、入っていらっしゃいな」

「このワンちゃん吠えませんか?」

「大丈夫よ」


 促されてコマちゃんとワンちゃん達の横をおっかなびっくり通り過ぎてリエルさん宅にお邪魔する。

 入ってみると、家の内装もお金が掛かってる感じだ。床にも高そうな絨毯が敷かれている。靴のまま踏んで良いのか…まぁ踏まないと進めないんだけど。そのまま2階へ案内されてリエルさんの部屋に辿り着く。


「そこの椅子に座って頂戴」


 リエルさんが示した席に私達は座る。目の前には背の低い長テーブルが置かれていて、リエルさんも私達の向かい側の席に座りながらテーブルに置いてあったベルを手に取って鳴らす。すると部屋に女の人が入ってきた。


「アンナ、お茶と今日のお菓子を持ってきて頂戴」

「かしこまりました」


 すっ、とお辞儀をして退出していく女の人。侍女さんって奴かな?

 お茶が来るまで少しあるだろうから早速本題の話を聞こうっと。


「あ、リエルさん。今日きたのは前に話してた占い師さんの店の場所を教えてもらいたくて」

「占い?あぁ、あの」

「そうです。近々行ってみたいと思ってまして」

「前に興味持ってたものね。ちょっと待ってね、地図あるからそれで説明するわ」


 と、リエルさんが一旦立ち上がり、壁際にある机から一枚の紙を取り出してきた。その紙をテーブルに広げる。見ると簡易的なこの街の地図が書かれている。


「ここが、私の家。ここが占い師の店よ。この家を出たら一旦大通りに出て…」


 この街の地図を見ながら、リエルさんの説明を聞く。よし、大体分かった。


「…と、こんな感じに行けば道に迷わないんじゃ無いかしら?」

「分かりやすくありがとうございます」

「どういたしまして」


 占い師の店の話をしてたら、先程のアンナさんが3人分の紅茶とショートケーキを持ってきたので、早速頂く事に。


「ブランシュって言うケーキ屋さんなんだけどね、ここの店のショートケーキが美味しいのよ。早速食べちゃって」

「はい、頂きます」「…いただきます」


 ケーキをフォークでパクリと。お、確かに美味しい。日本人の肥えた舌を持つ私を唸らせるとは…まぁこの世界の食べ物大体美味しいからそれ程意外ではないんだけど。

 コマちゃんも私の動きを真似てケーキを一口食べる。美味しかったのか顔を綻ばせる。


「コマはケーキ食べるの初めて?」

「…うん、初めて」

「美味しいでしょう?」

「…甘くておいしい」


 ケーキのお店か。コマちゃんも気に入ったみたいだし、見かけたら立ち寄ってみよう。

 その後、帰ってから何してたかとか、リエルさんのお父さんとお母さんは宮廷魔術師という話とか、魔力量が増えてた件とか、リエルさん宅のワンちゃんの話とか色んな話をした後、女子会はお開きになった。


「また来なさいよ。コマもね」

「はい、今度土産話し持って来ます」

「期待してるわ。じゃあね」

「…またね」


 玄関を出て、ワンちゃん達の間を通り過ぎながら門を出る。振り返ってリエルさんに手を振ってから、コマちゃんと一緒に歩き始める。今日はちょっと時間が遅いから、明日にでも占い師さんの所に行くようにしよう。

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