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不動産屋

 翌日、コマちゃんを連れて魔術師協会へ来た。ここも他の街の協会に比べて立派だ。建物の中に入ると、正面に受付カウンター、左右の壁の棚には魔術関連の武具やアイテムなんかが並べられていて、その前でそのアイテム達を眺めている人達がいる。私もちょっと興味はあるけど、今は目的があるのでまた後で。


 棚を横目に受付カウンターへ行き、ローブを着た男の人に話しかける。


「すみません、この子を魔術師協会へ登録したくて来たんですけど」

「いらっしゃいませ。登録するには魔術を使える、またはその素養がある必要がありますが、その子は魔術は使えますか?」

「やった事なくて分からないみたいです」

「では、魔術布で適正を見てみますか?」

「はい、お願いします」

「…お姉ちゃん、魔術布って?」

「えっとね、何重にもなった輪っかみたいな魔術陣が縫ってある布の真ん中にに指を当てて魔力を込めると、その魔術陣が光るんだけど、どれほど外側の魔術陣まで光ったかで魔力がどれぐらいあるか分かるんだ」

「…へぇー」


 コマちゃん半分分かってないって顔してる。

 先程の職員さんが魔術布を持って来てテーブルに広げてくれた。


「お嬢さん、その布に魔力を込めて見てください」

「…どうやって?」

「あぁ、魔力を感じる所からでしたか。では僭越ながら私が…私の手を握って貰えますか?」


 コマちゃんが職員さんの手を素直に握る。コマちゃの手が小さいので職員さんの手がめっちゃはみ出てる。


「わっ、お兄さんの手の中でなんかがぐるぐるしてる」

「はい、そのぐるぐるしてるのが魔力です。自分の中にもありますか?」

「…これ、かな?」

「感じとれましたか?動かす事は出来そうですか?」

「…ん。出来た」

「飲み込みが速いですね。では、その感じ取った魔力を布に注いでみてください」

「…やってみる」


 コマちゃんが魔術布に魔力を注ぎ始めると魔術陣に光が広がり始める。暫くじわじわと広がっていき、1番目と2番目の円の間で止まった。


「魔力量ですが数値にすると約18、中級魔術が2発撃てるぐらいでしょうか。魔力量は訓練や成長などで増えたりもしますのであくまで現時点での参考としてみて下さい」

「18か。結構多いね」

「…ふぅん?お姉ちゃんはどれぐらいなの?」

「え?私?どうだろう、最近試してないからな」


 私の場合、コスモを手に持てば測れることは測れる。前回ナワイカの街でクレアさんに測って貰った時は魔術陣の1番目の円に届かない中程で光りが止まり、魔力量は5だった。ラザちゃんに「少なっ」て言われたなぁ。


「測ってみますか?」

「…お姉ちゃんのも見てみたい」

「あー、じゃあやってみましょうか」


 私も魔術布で測ることに。バッグから出したコスモを片手に持ち、魔術布の中心に指を乗せる。すると魔術陣は3番目の円に丁度沿うぐらいまで光った。予想はしてたけどやっぱり増えてる。


「ほう…魔力量は約90ですね。素晴らしいです」

「…お姉ちゃん凄い?」

「うん、お姉ちゃんもビックリ」


 魔力量90ともなれば上級魔術を2発か3発は撃てる。これ、鍵を集めてコスモの封印解いて行ったらとんでもない事になりそうだ。



 改めて、受付に戻った私達はお兄さんに登録用紙を渡される。前に私が長所やら何やら書いた奴だ。


「それではその登録用紙に記入をお願いします」

「コマちゃん、字は書ける?」

「…一応書ける」


 と言う事で後はコマちゃんに任せて私は壁の棚の商品を見に行く。お、見た目万年筆っぽいのがある!持ち主の魔力を吸い出して書ける、インクを補充する必要が無いペンだって。凄い仕組み!欲しいけど、お値段は150万ルビ。高い…しかもよく考えたら魔力の無い私には使えない…残念だ。他にも魔術の有無に関わらず便利そうな文房具類が置いてある。

 その隣の棚はポーション類、その隣は閃光玉などの消耗品などが陳列してあって、それぞれいい値段がしている。だけどこの手のアイテムは大概自分で作れるので興味の対象外。

 更にその隣では、ガラスケースの中に装飾品が飾ってあり、何かしら魔術的な副次効果のある品が並んでいる。ふぅん、この指輪は…


 と、並んでる魔道具等に集中して見ていると、服の裾を引っ張られた。振り返るとコマちゃんだ。


「…終わったよ」

「そかそか、バッチリ初級魔術師になれた?」

「…うん」

「じゃあこの後は部屋を借りる為に不動産屋さんに行くよー」

「…お家」



 チリーンチリーン…


「いらっしゃい」


 ベルの音と声に出迎えられて不動産屋さんに入った私達。奥の方にカウンターとテーブルがあり、部屋の壁にはこの街の不動産情報が貼り出してある。


 コマちゃんとヒューマ君とムニと私で部屋数は4かな?


「コマちゃんは一人部屋がいい?それとも私と同じ部屋にする?」

「…同じ部屋がいい」

「そっかそっか。じゃあ最低3部屋の物件っと」


 壁の不動産情報を眺めていく。やっぱり都心

に近い方が便利だけど、その分高い。平気でワンルームが月8万ルビ近くする。

 ペット可で、3部屋にダイニングキッチン、お風呂とトイレ、リビングは必要かなぁ?あ、馬車をどうしよう?と考えながら物件を見ていく。その中に条件にしては妙に安い物件を発見。4DKで6万?


「すみません、お尋ねしていいですか?」

「はいはい、なんでしょう?」


 店の奥に声を掛けると店員のおじさんがやってきた。


「この物件なんですけど、なんでこんなに安いのか気になりまして」

「あぁ、これは事故物件ですね」

「と、言いますと?」

「家賃未払いで3ヶ月経ったので私共が家に入ったら…」

「あ、良いですその先は」

「と、まぁそう言うわけでしてこのお値段」

「遠慮しておきます」


 幽霊とかダメなんだよー、もしかしたらその人の霊が部屋の中に居るとか考えちゃうとくつろげないでしょう?服を脱ぐのも躊躇うような部屋はダメ!うー、やだやだ。


 一通り物件を見回って、どれにしようか迷い中。3件の部屋と、1軒の借家が条件に合うんだけど。馬車を停めるなら…


「この借家を見させて貰ってもいいですか?」

「分かりました」


 家賃16万ルビ…敷金礼金手数料合わせて96万ルビと少々お高いけど、貯金があるから普通に払えちゃう。でもここまで高いとはちょっと思ってなかった。ドラゴン貯金が無かったら生活がカツカツだったかもしれないなこれ。


「では借家まで案内しましょう」


 店員さんに連れられて私達はキョットーの街を歩いていく。そしてたどり着いた一軒の借家。外見は小さめだけど中々綺麗で、そんなに古くは無さそう。

 家も南向きで洗濯物が乾きやすそうで、庭はそれなりの広さがあり、ムニとヒューマ君が剣の打ち合いをするに過不足ない感じ。馬車を停めるスペースも充分あるけど、馬を置いておく所がないので馬は一先ず馬車屋に売ってしまうしかないかな。馬達も素直でいい子だったんだけどね。

 家の中も見させて貰った。概ね4LDKの名の通りの部屋割りで、漆喰で塗られていて綺麗、トイレやお風呂場も広く、洗濯する部屋も付いてて裏口から庭に繋がってる。言うことなしだ。


「この借家にします」

「分かりました、では契約の為に一度店に戻りましょうか」

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