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喫茶店デート

 今日はヒューマ君のお誘いでご飯を食べに行く日だ。髪を櫛で梳かしてからツインテールにし、外行きの魔女ルックな服に着替えて、コスモの入った手作り鞄を肩から掛ければ私のお出掛けコーデの完成です!…いつも通りとも言う。


『こんなにおめかしして…結婚式には呼んでくれな』

「何言ってんですかムニ。しませんよ」

「しかし護衛は良いのか?俺たちついて行かなくて」

「誘われたのは私ですし、何人もついて来ちゃったら向こうが恐縮しちゃうと思いますし」

『じゃあ草葉の陰から見守ろうぞ、リューゼ』

「ムニ、墓の中から見守るつもりなの?陰からねぇ…まぁそれなら良いかな?では、何かあった時には宜しくね」

『任せなさい!』

「なんか楽しそうねぇ貴女達」


 リエルさんに呆れられながら、宿を出発した私(と、ムニとリューゼさん)。

 歩くこと10分程で昨日の食堂に着いたんだけど。食堂の前に人集りが出来てる。何か昨日見た光景だなぁ…


 何が起きているか気になるので野次馬となるべく人集りを掻き分ける。私、背が低いので前に出ないと見えなくて。すいません、すいません。帽子を抑えながら最前列に出て騒ぎの中心を見る。

 そこではヒューマ君が昨日見た親分さんに襟首を掴まれて大声で怒鳴られてて。周りには5人程の厳つい人達が睨みを効かせてる。


「おい、もう一回聞くぞ?昨日の白い女は何処言った!隠すと為にならんぞ!?」

「だから俺、知りませんってば…」

「かなり人が集まって来た…動くぞ」

「ちっ、行くぞオメェら」


 親分さんがヒューマ君を突き飛ばして取り巻きを連れてこの場を去っていく。ムニの事だよね、白い女って。あの人達何の用事だったんだろ。まぁどうでもいいか。

 突き飛ばされた際尻餅をついたヒューマ君が立ち上がってお尻に付いた土を落としている所に声を掛けた。


「ヒューマ君、大丈夫だった?」

「あ、マコさん!」


 私を見た途端輝かんばかりの笑顔でこちらに駆け寄ってくるヒューマ君。尻尾が有ればブンブン振られていそうな感じがなんか犬みたいで可愛い。


「待たせたかな?」

「いえ、全然!今日はわざわざ来て頂いて有難うございます!」

「そんな堅苦しく無くて良いよ?普段通りで」

「そう、ですか?でもそれって中々難しいですね。どうしても敬語が出ちゃいます」

「そう?まぁおいおいで良いよ」

「はい!じゃあお店に案内しますね!」

「うん」


 あ、この食堂で食べるんじゃ無いんだ。どんなお店に案内してくれるのかな?



「此処が俺オススメの店です!」

「喫茶店?」


 トコトコと歩いてたどり着いたお店は何やら小洒落た外見のお店だ。カランカランと軽快なベルの音のなるドアを開け店に入ると、カウンター奥に立っているこの店の店主らしき人が会釈をしてきたのでこっちも釣られて会釈する。

 お盆にお冷とおしぼりを載せたウェイトレスさんが私達を奥の席に案内してくれ、程よい柔らかさのソファーにヒューマ君と向かい合わせに座った。ヒューマ君がメニュー表を渡してくる。


「マコさんは何食べますか?」

「えー、どうしよう?」


 結構色々あるね。うーん、ふわとろ卵のオムライスか、昔ながらのオムライスのどっちにしようかな?コレはどちらが好きかで物議を醸し出す案件です!


「んー!ふわとろ卵のオムライスで!」

「俺はエビマヨ定食で」


 ウェイトレスさんが注文を復唱してカウンターへ戻って行く。


「こんな店あるんだねぇ」

「ここ、去年オープンしたばかりの店なんです」

「へぇ。なんでヒューマ君はこの店知ってたの?」

「今日は居ないですけど俺の従姉妹がここでウェイトレスやってるんですよ。それで」

「成る程ねー、良い店だね。綺麗だし」

「気に入って貰えたようで良かったです」


 お冷を少し飲んでおしぼりを開いて手を拭く。


「所で、マコさんは探索者なんですか?」

「そうだよー。魔術師協会にも所属してるけど」

「へぇー、マコさんって魔術師なんですか?錬金術師なんですか?」

「えぇー?どっちかと言えば魔術師になるのかな?どっちも多少なりは出来るっちゃ出来るけど」

「凄いですね!俺も小さい頃魔術師に憧れてて、でも魔力がそれ程無いって言われて諦めたんです。俺も手から火の玉飛ばしてみたかったです」

「まぁ魔術師は魔力が無いとどうにもならないよね。実は私も魔力は全然無いんだ」

「え?でも魔術師なんですよね?」

「私の場合はこのコスモって魔導書が…」


 かくかくしかじか。


「というわけでこの本の力で魔術を使ってるんだ」

「凄いですねコレ!どうやって作るんですか!?」

「いや、コレは授かり物で、自分で作った訳では無いんだけど」

「そうなんですか。でももしその魔導書を作ることができたら欲しい人はいっぱいいると思います。まず俺が欲しいし!」


 確かにこのコスモを複製出来れば今迄魔術を使えなかった人が使えるようになるし、凄い画期的だ。難しいだろうけど、作って魔術師協会に設計図と一緒に提出したらかなりのお金になりそうだ。


「そういうヒューマ君は、剣術道場に通ってるって話だったけど、腕前はどうなの?」

「お恥ずかしながら俺は秋葉流剣術中級という所で…」


 剣術道場では大体初級からはじまって、下級、中級、上級、師範代、師範と階級分けがされているらしい。色んな流派があるので一概には言えないけど、大体の流派がこの形式を取っているそうだ。少なくとも私よりは秋葉流剣術中級というヒューマ君の方が武術の面では強いだろう。


「…もう3年ほど道場に通ってますが中々上級の壁は分厚くて…っと、料理が来たみたいです」

「お待たせしました」


 お話をしてるとウェイトレスさんがお盆に料理を載せてやってきた。私の前にオムライスを、ヒューマ君の前にエビマヨ定食を置いて「それではごゆっくりと」と言ってカウンターの方へ戻って行った。

 私のオムライスはあれだ、上の卵がオムレツ状になってて横に添えられたナイフでパッカーンするタイプ。めっちゃワクワクする奴だ!

 ヒューマ君のエビマヨもサクプリ感溢れる見た目にソースが掛かってて、絶対それ美味しい!


「マコさん、エビマヨいります?」

「良いの?じゃあ一つ貰っちゃおうかな?そのかわり私のオムライス少し分けるよ」

「良いんですか?では遠慮なく頂きます」


 料理の分け合いっこをして、いざ実食。うーん!チキンライスにふわとろ卵が絡んで絶妙です!ヒューマ君に貰ったエビマヨもパクリと。プリップリ!コレも素晴らしい!


「美味しいね!」

「でしょう?ここの店の料理はどれも絶品です!」


 料理は美味しいしこのお店は綺麗で雰囲気もいい。わざわざこの店に案内するのも頷けるというものだ。


「マコさんは旅をしてるんですよね?」

「そうだね、今はキョットーへ行く所だよ」

「するともうすぐ目的地なんですね。キョットーに着いたらどうするんですか?」

「さっき話に出てきた本の鍵を探す為に、よく当たるっていう占い師さんに会いに行く予定だね。その後はまだ決まって無いよ」

「そうですか…」


 何やら考え込むヒューマ君。


「…その旅、俺もついていっちゃダメですかね」

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