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ギバラの街

「此処がギバラね」

『小さい街だな』

「ちょっと滞在するか?それとも今日のうちに準備して明日すぐ出発するか?」

「そうですねぇ…3日程滞在しましょうか」


 タキアを出発した私達はロテーク、ジキュウ、トーフクの街を過ぎ、その次の街のギバラにやってきた。この道中は特に何事もなく平和に旅が出来た為、掛かった期間は三週間程度。

 徐々に夏が近づいている事で気温が高い。天に登るお日様が燦々と照り付け汗ばむ気温。馬車の中なんかは熱がこもって更に暑いので私のアクアの魔法で氷柱を作って車内を冷やしていたり。暑いのが苦手なウチのニャンコ達やリエルさんなんかは氷柱の側を離れない。


 さて、先ずは馬車も止められる宿だね。その中でもそこそこお高めな宿を街の人に聞いて探す。安い宿だと物盗りが出たり、部屋が汚かったりする場合があるので、快適に過ごしたい私としては妥協できない。幸いお金はあるし。


 そんなこんなで高級感が漂ってくる良さげな宿を見つけ、大部屋を借りる。寝室にベッド4つ、リビングにはソファーやテーブル、化粧台や観葉植物等も置いてあり、更には別室にお風呂が付いてるという、中々…いやかなり良い部屋だ。設備も布団も綺麗で言うことなし!

 お風呂は魔石を燃料にして魔術紋様の刻まれた蛇口からお湯が出てくるハイテク…ハイマジカル?な仕組みで、その為のお風呂用の魔石は宿の受付で別料金で購入できるというシステムだ。


「早速お風呂に入ってくるわ」

『あたしは刀探しに出掛けてくる』

「俺も街の探索でもするかな」

「リューゼさん、それなら私、馬車のメンテナンスを頼みに行きたいのでついてきてもらって良いですか?」

「良いぞ。ナターリアはどうする?」

「じゃあ私もそれについて行こうか」


 そんな感じでリューゼさんとナターリアさんと街ブラする事に。ニャンコ達は暑さで役に立たないので部屋に立てた氷柱と共に置いてきた。


 馬車を走らせながら向かう先は馬車屋。メンテナンスは鍛冶屋か大工の仕事かなぁ?と思うけど、馬車屋で出来るらしい。

 ゆっくりと街並みを眺めながら街道を進んでいくと程なくして馬車屋に辿り着いた私達。店の前で馬車を止めると店員さんが出てきた。


「いらっしゃいませ、本日はどの様なご用件でしょうか?」

「この馬車のメンテナンスをお願いしたいんですが」

「畏まりました。ちょっと拝見させて頂きますね…。そうですね、新しい車体の様ですし1日あれば大丈夫だと思います」

「じゃあ明日取りに来れば良いですか?」

「はい。明日の昼以降でしたらいつでも大丈夫でございます」

「では、宜しくお願いします」


 馬車屋に馬車を馬ごと預ける。店を後にした私達はまだ夕方までには時間があると言う事でそのまま3人で街の探索をする事にした。


「リューゼさんやナターリアさんはこの街迄来るのは初めてなんですか?」

「そうだな、ロテークの街からこっちは来たことがないな」

「私も同じ様なものだ。ナワイカの街からはちょっと遠いから。こっちに来る目的も無かったし」

「ですか」


 リューゼさん&ナターリアさんと雑談しながら歩く事しばし。リーモアやタキアの街ではあまり見かけなかったけど、10人に1人ぐらいの割合で猫や犬、兎等の特徴を持った獣人と呼ばれる人とすれ違う。

 ぴょこんと頭の天辺辺りに耳が生えてたり尻尾が付いていたり肌に鱗が生えてたり。同じ猫耳が付いてる人でも全身毛深い人も薄い人もいるしで様々だ。

 そんな獣人と称される人達は主に南の方中心に分布してるらしく、北に行けば行くほど見かけなくなるんだそうだ。

 元の世界で同級生に「マコってなんか猫っぽいよね〜」と、言われた記憶がある私としては猫系の獣人さんに勝手な親近感を感じる。私も猫耳に尻尾付けたら似合うんじゃないかな?今度作ってみようか。でも尻尾とか自在に動かすための魔術紋様を考えるのが難しい?とかなんとか考えながら歩いていると、道の前方から喧騒が聞こえてくる。誰かが言い争っている様で人集りが出来ている。

 何が起きているか気になるので野次馬となるべく人集りを掻き分ける。私、背が低いので前に出ないと見えなくて。すいません、すいません。帽子を抑えながら最前列に出て騒ぎの中心を見る。


「詫びとしてその背負ってる刀を寄越せば許してやる」

「おら、親分がこう言ってるんだ。素直に渡せやコラァ!」

『断る』

「なんだとテメェ!」

「嬢ちゃん。嬢ちゃんがどれだけ強いか知らないが、親分は暁流剣術上級の腕前だぞ?素直にその刀を渡した方が身のためだと思うがな?」

『だが断る!』

「ふん…俺に楯突いたのを後悔させてやる、ニノジ、サノスケ、やるぞ」

「へへっ、親分を本気にさせちまった様だなぁ嬢ちゃん?」

「たっぷり甚振ってやるからな?」

『だがしかし断る!』

「こっちの話聞いてんのか!?」


 絡んでるのはなんか着流しを着た親分とやらとニノジ、サノスケと呼ばれた子分らしき2人。対する嬢ちゃんと呼ばれた女子は私達にお馴染みのムニだ。その傍らには知らない少年が傷だらけで蹲っている。

 …あ、なんかこの先の展開が読めるわー。


「なぁ…ムニが絡まれている様だけど、助けなくて良いのか?」

「あぁ、ナターリアさんはムニの戦う所見た事無いんでしたっけ」

「前にリエルが非常識な強さと言っていたが…そういえば手合わせしようって言ってから忘れていたな」

「ま、見てれば分かる」


 親分さん達が腰に刺した木刀を抜いた。こんな街中で武器を抜いて衛兵さんが怖くないんだろうか?街中で剣を抜いたり攻撃魔術を使ったりすると捕まって牢屋に入れられるのが普通だと思うんだけど…?木刀だから大丈夫なのかな?


「行くぞ!おぉぉ!」

「でりゃぁ!」

「ウラァァァ!」


 親分さん達がムニに襲いかかる!



「で、ムニは此処で何してたの?」

『なんかこの少年がさっきの男達にリンチされていてな。それを止める為に間に入ったのだがその時に親分とやらに私の背負ってる大太刀が当たったせいで怪我したから、慰謝料として刀を寄越せとか何とか言って襲いかかって来たから相手したんだ』

「はぁ〜、成る程なぁ」

『で、そこの少年、怪我は大丈夫か?』

「はい…大丈夫です」

「取り敢えずポーションあるから飲むと良いよ」


 ムニに助けられた少年は、大丈夫と言うものの立ち上がるに苦労する程度にはボロボロになっている。青痣やら擦り傷やらが目立つのでポーチからポーションを取り出して渡す。


「すみません、助けて頂いた上に此処までして頂いて…」


 何故かこちらを見つめて動かなくなる少年。…なんで固まってるの?


「見るだけで痛そうだし早くポーション飲みなよ」

「は、はい、有難うございます」


 少年がポーションを飲むと、程なくして怪我が癒えていく。その効き目に驚く少年。


「…凄い!もう痛くない!こんなに効果の高いポーションを…すいません!」

「それ私が森とかで採取した薬草で作ったポーションだから殆どお金掛かってないし気にする事無いよ」

「そう…なんですか。錬金術が出来るなんて凄いんですね」

「えー?いやいや、私なんてまだまだで。所で君はなんで暴行を受けてたの?」

「あぁ、それは…」


 少年によると、この街には剣術道場が二つあって、さっきのガラの悪い男達は暁流剣術道場、少年は秋葉流剣術道場に所属していて、両剣術道場は昔から、やれどっちが強いだの、格式が上だのと小競り合いを続けてきたんだそうだ。

 道場に通う全員がそう考えているというわけでは無いらしいけど、門下生がお互いに顔を合わせれば言い争いや喧嘩紛いの事になったり。今回の事もさっきの男達が目の前にある飲食店でうるさくしていたから少年が注意した事で言い争いになって起きた事だそうで。

 とはいえ流石に木刀とはいえ剣を抜くのはやりすぎという事で先程の男達は通報を受けてやって来た衛兵さんが詰所に連れて行った。ムニは武器を抜かずに体術で相手をしていたからギリギリお咎めなしだ。男達はボッコボコでムニは怪我一つしてないから最初ムニが連れて行かれそうだったけどね。


「助けてもらったお礼をしたい所なのですが…」

「あぁ、気にしなくて良いよ。こっちのムニも気まぐれに助けたんだろうしさ」

『あぁ、その通りだ』

「…そうですか。お姉さん、お名前を伺っても良いですか?」

「私?マコだよ」

「マコさんですね!僕、ヒューマって言います」

「うん、ヒューマ君だね」


 少年もとい、ヒューマ君がちょっと食い気味にこちらに話しかけてくる。


「あの…明日とか時間はありませんか?」

「明日?特に用事は無いけど…」

「じゃあ今日のお礼と言ってはなんですが明日、お昼ご飯でも奢らせて下さい!」

「ご飯ぐらいなら…お願いしようかな?」

「いいんですか!良かった…じゃあまた明日の昼に…この食堂の前で待ってます」

「ん、分かった」


 ニコッとヒューマ君が私に笑顔で手を振って何処かへ走り去って行った。周りの野次馬達も既に解散している、


「…その場でご飯に誘うとか、ありゃあマコに惚れたな」

「うんうん、一目惚れって奴かな?マコを見る目がキラキラして恋する乙女だったね」

「えぇ?そんな事無いでしょう?」

『…少年を助けたのあたしなんだけど名前聞かれなかったな〜』

「俺も」

「私も」

「いや、そうだけど〜」


 やんややんやと皆に揶揄われながら賑やかに通りを歩く私達。もう時間も夕方近くのご飯時だという事で宿に帰る事にした。

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