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定食屋

「いらっしゃい!」


 元気な掛け声にお出迎えされて入ったのはリューゼさんオススメの定食屋『幸園』。繁盛しているようでお客さんがいっぱいだ。奥のテーブル席に案内されたのでそこに座る。


 メニューを見てみる…ラーメン定食、焼き飯に餃子に唐揚げ。他にもちょっと中華風味なラインナップ。


「どれにする?どれも美味いがオススメするとしたら酢豚定食だ」

「そうですか?じゃあそれにします」


 店員さんがお冷を持ってやってきた。


「ご注文はお決まりでしょうかー?」

「俺はラーメン定食だ」

「私は酢豚定食で」


「はいありがとうございます〜。オーダー、ラー定、スブ定でーす!」

「あいよー!」


 注文が終わり、店内を見回す。メニュー札が吊り下げられていたり、ビールを掲げる女性の絵が手書きで描かれたポスターが壁に貼ってあったり…他にも何か描かれてるサイン色紙の様な物が貼り付けられていたり。この感じ、まるで日本にいる様な錯覚を覚える。この店は日本に縁があるのかな?


「リューゼさん」

「なんだ?」

「この店って、店主さんが日本人だったりします?」

「あぁ、店主じゃなくてオーナーが日本人らしいな」

「他の街にもこんな感じのお店ってあるんですか?」

「ある程度大きな街にはあるな。ポサロにも同じ系列の店があったぞ」


 やっぱり日本から来た人が作ったお店なんだ。電気もガスもないこの世界でよくここまでのお店を作れたなぁ。でも、あの掛け軸の、『一日一膳』…なんかちょっと違うような…

そんな取り留めもないことを考えながら、リューゼさんと雑談しながら待っていると、お盆を持った店員さんが此方にやってきた。


「お待たせしました、ラーメン定食と、酢豚定食になります」

「来た来た。マコ、食べるぞ」


リューゼさんの頼んだラーメンセットは、ラーメンとスープと炒飯。俗に言う炭水化物×炭水化物だ。私のはご飯に漬物、酢豚、スープだ。


「いただきます」


 パクっと酢豚を一口。甘ジョッパイタレの掛かった豚の唐揚げが絶妙なバランスの風味を出していて更なる食欲を増進させる。端的にいうと美味しい!と舌鼓を打ちつつ食事を進める。



「ご馳走様でした」

「どうだ、美味かっただろ?」

「はい、とっても」

「じゃ、出るか。勘定ー!」

「はーい…ラーメン定食は750ルビ、酢豚定食は800ルビです」

「ここは俺が払う。また次の機会にでも奢ってくれ」

「じゃあお言葉に甘えて」


 リューゼさんにお金を払って貰い店を出る。


「他に行きたい所とかあるか?」

「んー、今のところは思いつかないですねー。何かリーモアの街の見所はあるんですか?」

「見所か。そうだな…リーモアの街は一部山になってるんだが、」


 確かに街のハズレの方が山になってるな。


「あの山にはずっと頂上まで続く階段があってな、その頂上には強大な妖魔が封印されていると言う〆縄の付いた大きな岩ある」

「観光名所的な感じなんですか?」

「観光名所とはちょっと違う気もするがパワースポットと言うかまぁそんな感じだ。他には結構大きな林檎の果樹園が…」


 つらつらとリーモアの名所を挙げていくリューゼさん。物知りだなー。


「最初に言ってた妖魔の封印された岩がちょっと見てみたいですね」

「明日にでも行ってみるか?」

「そうですね、行きましょう」


 リエルさんにも声を掛けてみようかな?


………


チクチク、チクチク…


 中々終わりの見えない刺繍の続きです。今で工程の3分の1ぐらいでしょうか?


「そういえばヒムロ」

『どうした?』

「ヒムロの妹ちゃんはこっちに連れて来れないの?」

『連れてくる事は出来るが…我みたいに戦闘に出れる程強くない』

「別に強く無くてもいいから、こっちに連れて来ればどうかなって思うんだけど」


 そしたらご飯の度に態々ソダクールに戻らなくて済むだろうし。


『良いのか?』

「良いよ?」

『分かった、ありがとう』


 なんか珍しいヒムロのお礼。つまり妹ちゃんを置いてってるのが不安だったんだね。

 ヒムロは窓から出て行った。十分もすれば帰ってくるでしょう。さぁ刺繍の続きだ。

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