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ドラゴン討伐

「とーちゃーく!」

「やっと着いた…ふえぇ」

「不甲斐ないわねぇ」


 その日の昼頃にはリーモアの防壁前にたどり着いた。今の時間は人が少ないのか門の前には並んでいないみたいだ。いや、魔物騒動のせいかな?

 兎も角、街に入らせてもらおう。


「何か身分を証明できる物は?」


 私とリエルさんは探索者カード、ラザちゃんと師匠は魔術師カードを提出した。


「白金の魔術師カード…?初めて見るな。偽物では無いようだし」


 この守衛さんはアビラタさんの事を知らないようだ。


「そうそう、今この街の森から魔物が…」


 こないだも聞いた氾濫の話を聞き流して街の中に入れて貰う。


「この騒動にあたってる責任者は誰じゃ?」

「この街の探索者協会のギルドマスターのクライブさんです」

「あの子か。じゃあ話をしてくるでな。2人は自由にしてると良い。そうじゃの、2時間後ぐらいに探索者協会へ集合じゃ。行くぞラザよ」

「分かりました師匠」


 2時間か。ちょうど良いや、いい加減嵩張るこの箒をレイちゃんの所に持っていきたかったんだよね。



 カラーンカラーンとドアベルが鳴る


「はいはーい、ってお姉ちゃん達か。どうしたの?」


 首を傾げるレイちゃんに借りてた箒と新しく作った箒を手渡す。


「え?もう作ったの?…何か前のと魔術紋様が違うんだけど」

「新型だよ」

「これは加速陣?えーと、風の盾?どう言う事?」

「めっちゃ飛ぶわよ」

「めっちゃ?ちょっと試しに乗ってみていい?」

「良いけど、広い場所が良いと思う」

「広い?じゃあ防壁の外かな?ちょっと待っててね。お父さーん!ちょっと出てくるから店番お願いー!うん、よし。行こっかー!」



キュキュィーン!「あぁぁぁあぁぁー!」


 予想通りレイちゃんがかっ飛んでった。直ぐにリエルさんも追いかけてったから大丈夫でしょ。


 ここは防壁の外の草原が広がってるエリア。魔物が出るかもしれないから気をつけるようにと守衛のお兄さんに言われてるけど、見渡す限り魔物どころか動物の姿も見えない。


 焚き火をおこして、お昼ご飯にさっき買っておいたお肉を串に刺して焼く。ご飯も炊く。うーん、焚き火を見てると心落ち着く。


 お、飛んでる飛んでる。加速したり旋回したり宙返りしたり。楽しそうだな。私には怖くて出来ないや。んー、そろそろお肉食べごろかなー?


「ヒムロー、ご飯だよー」

『今日は牛肉か』

「うん、タレは付ける?」

『要らぬ』


 そう言ってお肉を咥えて妹ちゃんの所に行ったようだ。妹ちゃんこっちに連れて来たらいいのにと最近思わなくもない。

 

「はー、楽しかった!これは凄いよ!」

「ほんとよね。風の盾はいいアイディアだわ」


 2人が帰ってきた。満足するまで飛んだようだ。


「この箒、大事にするよ!後でお金はちゃんと払うからね!所で幾らかな?」


 うーん?ちょっと掘るのに時間かかったけど材料タダだし…


「20万ルビで良いよ」

「安っ!」

「もうちょっと出せるよ?」

「良いよ、友達価格って事で」


 実際前に作ったのと作成費用は同じだ。


「そっか。えへへー、ありがとーマコちゃん!」

「いえいえー。所でお肉が冷めちゃうから一緒にご飯食べようよ?」

「あら、お肉焼いたの?お酒が欲しいわね〜」


 昼間っから飲んじゃダメですよリエルさん…


「そういえば、空飛ぶ箒の大会っていつあるの?」

「2ヶ月後だよ。魔物の氾濫が収まってなかったら延期になるかも知れないけど」

「そんな先じゃ私達居ないわね。よし、レイは私の代わりにその箒で優勝を掻っ攫って来なさい!」

「あいあいさー!頑張っちゃうよー!」


………



 レイちゃんを家に送った後、大体2時間経ってたので探索者協会へやってきた。中に入ると受付のおねーさんがやってきて、「マコさんとリエルさんですか?」と聞いてきたのでハイと答えると奥に通された。

 奥では師匠とクライブさんが座ってお茶を飲んでいた。ラザちゃんは師匠の斜め後ろに立っている。


「迎えが来たの。クライブ、そういう事でな」

「気をつけてな、アビラタさん」


 師匠に連れ立って探索者協会を出る。


「何をお話されてたんですか?」

「取り分の話じゃよ」


 普通の魔物の場合は狩った者の持ち物となって売るなり加工するなり自由にしてよくて、今回のドラゴンみたいに素材としての価値の高い魔物や妖魔が街の近辺に出た場合は討伐したとしても街の持ち物として徴収されるらしい。

その際に現金で支払ってはくれるそうなのだが、師匠は現金より素材が欲しいとのことで交渉していたらしい。


「さぁ、今から行くが準備はいいかの?」

「大丈夫ですわ」

「ドラゴン楽しみー!」

「あ、もしかして森の上を飛んでく?」

「歩いて行ったら日が暮れるじゃろ」

「ですよねー」


………




「あれが例のドラゴンじゃな?」

「そうです」

「こっち見てますねー」


 箒に乗ってやってきた私達を視認するなりむくりと起き上がるドラゴン。その目は敵意に満ちている。


「ちょっと話しかけてくるでの、待っておれ」


 そう言い残しドラゴンの近くに急接近する師匠。


「日本語は通じるかのー?」

「GYAOOO!」


 ドラゴンがその場で旋回して尻尾を叩きつけて来たけど、あっさりと避ける師匠。こっちに帰ってきた。


「ダメじゃな」

「ドラゴンって普通は会話できるんですか?」

「出来るはずなんじゃがな?個体差があるという事じゃろう」


「GOAAAAA!」


「ブレス来ますよ!」

「〜〜〜、エアブラストー!」


ゴォォォォ!ドラゴンの特大の火球を風魔術の勢いで横に逸らした。ラザちゃんやるぅー!

 反撃とばかりにリエルさんとラザちゃんが詠唱をし始めた。


「〜〜、アイスニードル!」

「〜〜〜、ロックスパイク!」


 リエルさんのアイスニードル…尖った氷の群れががドラゴンの身体に突き立つが、防御力が高すぎるせいか表皮で弾かれている。

 ラザちゃんのロックスパイクは岩を付近から召喚して高速で叩きつける魔術だ。だけどこれはドラゴンが腕を横に振る事で現れた障壁に遮られた。


「GUGYUU…GUWAAAA!」


 ドラゴンの周囲に数十個の火球が出現した。一つ一つがファイアーボールぐらいある。


「守りを固めよ!〜〜、トルネード!」

「〜〜〜、ウィンドシールド!」

「〜〜〜、ウォーターシールドー!」

「●、ウィンドシールド!」


 火球が私達に殺到するが、私達を中心に大きな竜巻が巻き起こり、飛んでくる火球を明後日の方向へ吹き飛ばす!それでも直撃しそうな火の玉は風と水の壁に阻まれている。


「これがドラゴンの魔法…」

「凄い火力ね」


 火球を何とか凌ぎ切り、ホッとしたのも束の間、ドラゴンが翼を広げて飛び上がり、大口を開けてこちらに突進してきた!


「くっ、避けるのよ!」

「わわっ!」「回避ー!」


 あの巨体が高速で飛来してくるのは中々のプレッシャーだ。私の箒は自分でじゃなくヒムロが操作してるのでかなり怖かった。

 私達を通り越していったドラゴンは此方に向けて旋回している。また突進してくるのかな。


「今度はワシの番じゃ」


 師匠が杖を取り出して詠唱を始めた。


「大気を司る神よ、我の声は届くか!」

 ブワッと師匠の周りに魔力が広がりまるで陽炎の様にゆらめき始める。


「視えるか!神が怨敵が!」

 広がった魔力が渦巻くように杖に圧縮されていく。


「この溢れだす我が魔力を糧に、敵を斃す力を授けたまえ!」

 師匠が杖の先端をドラゴンに向け、


「集え!ディバインサンダー!」


カッ!


ダァァァァァン!「GUAAAAAA!」


 師匠の放った雷が凄まじい轟音と共にドラゴンに直撃!食らったドラゴンは地面に墜落する。

 紫電が走り周囲の草が燃え盛る。

 凄い…雷の魔術なんてあったんだ。とんでもない威力。


 ドラゴンはまだ生きている様だが、雷のダメージと墜落の衝撃に耐えられなかったのだろう、力無く横たわっている。


「コレで終わりかの。〜〜〜、アイシクルコフィン」

ヒュォォォ、カキィン!大きなドラゴンの身体を完全に氷漬けにする。トドメをさせた様だ。


「私のアイシクルコフィンとは威力も規模も段違い。凄いわ」

「カッチカチに凍りついてますね」

「どうやって街まで運ぶの師匠ー?」

「うーむ、どうしようかのう?」


 このドラゴン何トンあるんだろ?

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