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錬金術屋

「リエルさん速い、速いー!」

「そんなチンタラ飛んでたら日が暮れるわよ!その箒もこの箒と同じなんでしょ?もっとスピード出せる筈よ!」

「怖いー!落ちるぅー!」

「落ちたって拾ってあげるから、はいヒムロもっともっと!」

『承知』

「ぴゃー!」

「あはは、速い速い!良いわねこの箒!」


………


 翌日、朝の洗顔と食事を済ませた私達は錬金術屋に向かう。リューゼさんは置いてきた。

 ドアを開けるとカラーンカラーンと軽快な鈴の音が鳴り、奥から年若い魔術師然とした女の子が出てきた。


「いらっしゃい、何を探してるの?」

「空飛ぶ箒よ。良い奴が欲しいわ」

「箒だったらこっちだよ」


 店番の女の子に連れられて箒コーナーへ。そこには色んな種類の箒が棚に並んでる。

 素材や、刻まれた魔術紋様によって皆性能が違って、加速重視の箒や安定性重視の箒、最高速に重点を置いた加速の為の魔術紋様が幾重にも刻まれた…これ、曲がれないんじゃ…っていう様な箒、変わり者としてデッキブラシタイプの箒など様々な箒達…値段は安くても数十万ルビからだ。

 何故こんなに種類があるのかというと、空飛ぶ箒を使った飛行大会があるからだそうだ。

 頭にくくりつけたハチマキを取り合う、騎馬戦みたいな催しらしい。

 他にもスピード自体を競う大会や、障害物競走みたいな大会もあるらしく。そのために色々な箒が開発されてるらしい。


「あら?あそこにある箒、マコのと同じ猫のキャップが付いてるわね」


 あ、ホントだ。私の作った空飛ぶ箒だ。


「あの箒は魔女アビラタ監修でその弟子が作ったっていう最近の話題作の後期型だよ」


 話題作?後期型?


「ブトゥバスの木の枝に凄く細かく刻まれた魔術紋様が綺麗で、見た目、加速度、最高速度、旋回性能、どれをとっても高水準。だけど、そっと操作しないと乗り手の反応が追いつかないぐらいの挙動で飛ぶ事から付いた名前が『じゃじゃ猫』って言うんだ」


 変な名前が付いてるぅ!何か恥ずかしい!


「初期型は性能に少しムラがあって、それはそれで愛好家がいるし、後期型は良い所全部詰め込んだけどバランスは自分で取ってね?みたいな所が、乗りこなしてやる!ってなるみたいで人気だよ。これはその後期型」


 この性能は師匠の箒を見本にしたからかな?


「ねぇ、アビラタの弟子って、マコの事?」

「はい、私の作った箒です」

「え?お姉さんが作者なの!?ちょっと、何で箒作り辞めちゃったのさ!凄い売れ行きだったのに〜!ほら、値段見てみなよ値段!」


 値段…200万!?…抽選応募募集中?


「もう在庫はこれ一本だからめっちゃ値段吊り上げたけど、それでもお客さんが何人も殺到するから、抽選で今度売ることになったんだよ?」

「何かそう聞くと欲しくなってくるわね。マコ、私の分も作ってよ」

「私の分も作って欲しい!お金は払うから!」


 レイちゃん(店番の子)とリエルさんに1本づつ作る約束をさせられた。作るの結構大変なんだけど…

 リエルさんは後で作って貰うのに買うのは馬鹿らしいと、レイちゃんに『じゃじゃ猫』の初期型を借りた。レイちゃん愛用の箒だそうだ。大事に使ってくれてる人がいるのは嬉しい。


 一度宿に帰って、リューゼさんに数日離れる旨を伝えてから出発。

 そして今は師匠の家に向けて箒で飛んでってる所。勿論私には魔力が無いのでヒムロの運転でだ。

 始めは私の時速20キロ程度のスピードに付いて来てたリエルさんなんだけど、あまりの遅さに業を煮やしたのか、「そんなんじゃ折角の箒が可哀想よ!箒のリミッターを外しなさい!」と申された。渋々外したら今度はヒムロに直接スピードを上げさせるモノだから心の準備が出来てないままグングンと加速して安全装置のついてないジェットコースターに乗ってる気分。いや、実際安全装置なんて付いてない。


 コレ、時速で行ったら100キロ余裕で超えてるんじゃ無いかな!やばい、怖い!

 箒の上で亀みたいになって無いと風圧が凄い。だけどこのスピードなら今日中に師匠の家に着きそうだ。うぅ〜、我慢しなきゃ…ひぃー!


………


 数時間後、師匠の家の前に着いた。出発するまではまさか明るい内に着くとは思ってなかった。でも足ガクガクで正直立ってられないんです。

 そんな言う事を聞かない足に鞭打ってドアをノックする。


「アビラタさーん!」コンコンコン。

「誰ですかー!また詐欺の人…マコっち?」

「ラザちゃんただいま」


 ここにはそんなに詐欺の人来るのかな?


「おおーマコっちー!どうしたんですかー?あれ?こちらの美人さんは?」

「こちらはリエルさん」

「リエルって申します。宜しくお願いしますね」

「ラザって言います。こちらこそー!」

「それで、師匠は居るかな?」

「師匠?ちょっと待っててね。師匠ー!」


 ドタドタと中に走って行くラザちゃん。いつも元気だなぁ。「師匠ー、マコっちが来たよー友達連れてー」


「入って良いよだってー」

「じゃあお言葉に甘えて」

「お邪魔しまーす」


 1週間振りの師匠宅だ。

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