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ポサロの街再び

「おぉー、ここがポサロか!」


 日が暮れはじめた頃にポサロの街に着いた。

 私達は今、入り口の検問の列に並んでる。ミケイ君はポサロに来たのが初めてのようでワクワクした顔で街を見つめている。


「でっけぇ防壁だな!」

「ポサロは中々大きな街だからね」


 街としてはナワイカよりも数段大きい。その分街を囲う防壁も背が高くて幅が広いのだ。


「ここには何かこう、面白い所とかは無いのか?」

「えー、どうだろう?リューゼさん知ってます?」

「んぁ?あーっと、この街の中央にある公園でなんか見せ物してたり屋台があったりするかな?」

「あと、賭博闘技場があるわね」

「闘技場!行ってみたい!」

「ミケイ君、今私達護衛中。そうでなくてもそんな危なそうな所に近寄っちゃダメだよ」

「えー」

 エルザちゃんに注意されてブー垂れるミケイ君。

 そんな雑談をしている内に私達の番が来た。


「何か身分を証明出来る物はあるかい?」

と、守衛さん。全員分の探索者カードを確認して貰う。


「全員探索者なんだな。馬車の中は…ムーンベア?道中出てきて倒したと。この街で売るつもりで?そうか、うんまぁ問題無し…っと。そうそう、今、リーモア周辺の森で魔物の氾濫が度々起きてるらしくてな。この街の探索者協会にも救援依頼が出てるらしいぞ」

「そうなんですか?」

「あぁ。リーモアの防壁近くまで魔物が頻繁に来るらしい。今までそんな頻繁に来る事はなかったんだと。んで、守りと原因究明の為に探索者達を集めてるんだそうだ。もし依頼を受けるなら気をつけろよ」

「はい。教えて下さり有り難うございます」


 リーモアの周りの森か。何があったんだろう?魔物が多くなりすぎて餌不足とかで街の畑を狙って来たとか?

 でもまぁ、どちらにせよリーモアには行く予定だし。行けば何かわかるでしょう。


「よし、通っていいぞ」

 検閲も終わり、街の中に入る事が出来た。



 ひとまず卸市場に寄り、ムーンベアを売った。75万ルビで売れ、皆に分配する事にした。因みに刺さったままだったミケイ君の剣はリューゼさんが引っこ抜いた。


 その後レンタル馬車を乗合馬車の駅に返し、泊まる宿は何処がいいかを談義しながら歩く。


「この先にある宿が程よい値段で飯も美味いぞ」

 と、リューゼさんが教えてくれた宿に向かう。着いてみるとそこそこ大きな宿だ。入ってみるとカランカランとベルの音が鳴り、若い女の子の店員さんが出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ、何人ですか?」

「5人で2泊する予定です」

「宿泊は2泊ですと1人部屋8000ルビ、5人全員が宿泊出来る大部屋でしたら30000ルビで、お風呂や食事は別料金です」


 宿も綺麗で雰囲気も良さそうだし、コレなら確かに安い方だ。


「マコが払うんだろ?別に全員同じ部屋でいいんじゃね?その方が安上がりだろ」

「私もそれでいいわよ」


 ミケイ君とリエルさんは大部屋で良いと言って、リューゼさんとエルザちゃんもそれで良いと頷いている。


「そしたら大部屋をお願いします」

「はい、分かりました。案内しますね」


 店員さんに部屋に案内して貰い、お風呂や食事について説明をして貰った後、鍵を渡された。

「それではごゆっくりと」



「明日は自由行動にします。明後日の昼頃にリーモアに向けて出発したいと思います」


 現在は宿の食堂にて晩御飯中。それぞれ好きなメニューを頼み、食事が来たので食べている所だ。因みにヒムロは妹ちゃんのご飯を持って行ってる。


「距離は馬車で3日程の距離なので、食べる物など各々必要な物を購入しておいて下さい」


 道中の食事はそれぞれの人に構えて貰う。でないと荷物が重すぎて私が歩けなくなっちゃう。


「自由時間か。俺、今日のムーンベアに盾を凹まされたから武器屋に行きたかったんだよな。臨時収入も入ったしちょうど良いぜ」

「私は教会へ行って安全な旅が出来るようにお祈りしてきます」

「ねぇリューゼ、この後酒場にでも行かない?」

「良いぞ。マコも行くか?」

「折角ですが、私は遠慮しておきます」


 この国では15歳で成人とみなされる。お酒自体は特に法律による制限はなく、なんとなく子供には飲ませないと言う暗黙の了解みたいな物があるようだ。でもそんな事関係なく普通に飲んでる子も居たりするらしいけど。

 でも私は元の世界、日本ではまだまだ未成年だ。ちょっと飲むには抵抗がある。


「そう、残念ね。ミケイ君達は?」

「行きたい所なんだが、エルザが15になるまでダメって言うから行けないんだ」

「あら、見せつけてくれるわね〜」

「ははっ、尻に敷かれてるな」

「違っ、そんなんじゃ…うぅー」


 リューゼさんとリエルさんがニヤニヤとエルザちゃんを見るのでエルザちゃん顔を赤くして俯いちゃった。


「飯も食べ終わったしリエル、そろそろ行くか」

「そうね。どっちが強いか酒代を掛けない?」

「はっ、勝てるつもりか?」

 2人は立ち上がり、連れ立って酒場へと行った。

 私もお風呂に入って明日の準備して寝ようっと。




………



 翌朝。顔を洗い食堂でご飯を食べた後、ヒムロを肩に乗せて探索者協会へ来た。例の救援依頼とやらを確認しておく為だ。


 でも依頼板を確認してみた所守衛さんが言ってた以上の事は大して載ってなかった。


 一応、ここで依頼を受けるとリーモア迄の旅費と依頼票が受け取れて、リーモアの探索者協会に依頼票を渡せばそこそこの一時金と共に街の守りと森の探索任務に就くことになるようだ。実力のある希望者には街の兵士への雇用もあるとか。

 ただ、実力のある探索者って、固定給でペーペーな兵士と比べて稼ぐから、安全性という点を差し引いてもあんまり兵士になりたがる人って居ないんじゃないかなと思ったり。

 それに魔物が氾濫してる森の中を探索とか怖いなー。ちょっと受けるのは躊躇してしまう。

 

 一先ず確認も終わったのでそのまま探索者協会を出て、リューゼさんの言ってたこの街の中央にある公園へやってきてみた。


 公園では剣舞を舞ってる人や短剣でジャグリングをしてる人、道端でフリーマーケットのようにシートを広げて商品を売っている人や鉄板や網で焼いた食べ物を売ってる屋台など様々だ。

 お昼にはまだ早い時間なので食べ物は買わずに、お店に並べられてる様々な商品を手に取って眺めたりして楽しむ。お、可愛い首輪がある。ヒムロにピッタリ…って大きくなったら首絞まっちゃうか。

 こっちの店は錬金系のアイテムを置いてるんだ。相手の足元に投げつけて怯ませる癇癪玉に、目を晦ます閃光玉や煙玉、傷や毒を癒す効果のあるポーションや軟膏、中々のラインナップだ。しかし錬金系のアイテムは高いなぁ。この中で一番安い低級ポーションでも3万ルビはするし。まぁ命には変えられないけどね。


 その向かいの店は武器や防具を並べてる様で、そこで商品を眺めてるミケイ君が居た。


「ミケイ君おはようー」

「ん?マコか。お前も買い物か?」

「んー、眺めてるだけ。ミケイ君は盾見に来たの?」

「あぁ、武器屋には行ってきたけど丁度良い値段のが売れててな。こっちにも店があるって言うから見てみようと思って」

「予算は?」

「高くても20万」


 一緒になって盾を眺めてみる。って言ってもフリマ的な所なのでそんなに種類があるわけじゃなく、候補は2つに絞られた。


『鋼の盾 職人が一枚一枚丁寧に仕上げた品 12万ルビ』

『蛇鱗の盾 南方に生息する大蛇の鱗を素材にした一品 20万ルビ』


「値段と形状を考えるとこの二つだな」

「蛇鱗の盾は鋼の盾に比べて軽くて取り回しがいいね」

「それでいて丈夫さはこの鋼の盾と同等とか…あー悩むなぁ」

 値段はそこそこ高いけど、蛇鱗の盾が欲しい様子のミケイ君。

「命を守る装備なんだから、ちょっと高くてもいい物を買った方が良いと私は思うよ」

「…だな!親父さん、これ売ってくれ!」

「はいよ!」


 お金を払い、盾を装備するミケイ君。ホクホク顔だ。

「マコはこの後どうするんだ?」

「うーん、このままここでお店を眺めててもいいかなって」

「つまりやる事ないんだろ?エルザを拾いに行って昼飯食おうぜ」

「そうだね。そういえばエルザちゃんは?」

「まだ教会で祈ってると思うぜ」

「じゃあ迎えに行こっか」

 

 ミケイ君と連れ立ち、この街の教会へ。とはいえ教会も街の中心付近に建っているのでそんなに離れてないけど。

 教会の扉を開き中へ入ると、長椅子が沢山あって、奥には女神像が祀られてある。神父さんらしき人がウンタラカンタラ言っていて、参拝者たちはそれに耳を傾けている。…いや、寝てる人も居るな。何しに来たんだ…


 私達はエルザちゃんを探す…居た、中列辺りの椅子に座って、胸の前で手を組んで熱心にお祈りしてる。寝ては居ない様だ。

 周りの信徒達に悪いので小声で話しかける。


「おはようー、エルザちゃん」

「エルザ、飯食いに行こうぜ」

「あら?マコさんとミケイ君?もうそんな時間ですか?」

「もうちょっとで昼だ」

「じゃあお祈りはここまでにして、ご飯食べに行きましょうか」


 談笑しながら先程の公園へ。何食べよっかなー?

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