翌日
チュンチュン…ピピピ…
「…んぁ」
外から聴こえてくる小鳥の囀りで目を覚ます。靴を履きベッドから下り、部屋の窓を開けると春の朝の冷たい空気が入ってくる。現在肌着な格好なので寒い。着替えよっと。
ストッキングを履き、この世界で買った服を着て黒のローブを羽織る。この耐火耐冷性能の高い黒のローブを羽織るだけで全然違う。でも首元とかは寒いので今度ネックウォーマー作ろうかな?でもこれから暖かくなるしいいか…
顔を洗う為に1階の食堂に降りると、もう朝ご飯を食べてる人もいた。
そんな朝の宿屋の風景を横目に見ながら裏庭にある井戸の前まで歩く。井戸は滑車で鶴瓶を落として汲むタイプだ。結構大変…!
「うわぁ、冷たっ」
井戸水は正直手や顔が痛いぐらい冷たい!コスモを持ってきてファイアーボールで水を温めたいぐらいだ。
「うぅぅ、寒いぃ」
プルプル震えながら食堂に帰り、女将さんに朝食を頼み適当な席に着く。
あれ?そういえばヒムロはどこだろう?いつもは一緒に起きてきて朝ご飯食べるんだけど…?
ま、いいか。ご飯食べたくなったら帰ってくるでしょ。
「はぃ、おまち」
「有難うございます」
女将さんが朝食を持ってきてくれたので早速頂きます。うーん、このベーコンエッグにポトフ、美味しそうだなぁ…
…
ご飯を食べた後、まだ探索者協会に行くには早い為、宿屋の庭で素振りをしていると、ヒムロが帰ってきた。
「何処行ってたの?」
『妹の所だ。朝起きて食堂に降りたら女将が魚をくれたのだ』
「そうなの?お礼は言った?」
『無論』
私も後で女将さんにお礼言っとこ。さぁ素振り素振り。ブンブン。
そんな私の姿をヒムロが座ってじっと見ている。
『主よ』
「ん?なに?」
『相手をしようか?』
「え?ヒムロが?そりゃ助かるけど…大きくなったらこの庭じゃ狭いんじゃないかなぁ?」
『小さいままで良かろう』
子猫サイズのまま?その光景を思い浮かべる。子猫サイズなヒムロでも速くて強い。おそらく私の動きじゃ捉えられないと思う。だけど…
「それじゃ私が虐待してるみたいに見えるから駄目でしょ」
流石に人目がある宿の庭で子猫を追いかけ回すのは見聞が悪いよね。
『そうか。では早めに探索者協会とやらへ行くか?』
「そうだね、そうしよっか」
…
宿屋のチェックアウトを済ませ、バックパックを背負って探索者協会へ。
探索者協会に顔を出したらカウンターから受付のおじさんが手招きしてきた。片手に依頼表を持ってヒラヒラさせている。
「おはようございます」
「おう、おはよう。今朝の時点で4人依頼を受けてるぞ。昼に顔合わせをすると言ってあるからまだ時間はあるが、コレが4人の資料だ」
「資料ですか?」
「護衛依頼の場合、そいつの一言と協会での評価を依頼主に渡して、依頼主が気に入らない奴がいたら事前に断る事が出来る様になっているんだ」
「成る程です」
資料を受け取り目を通してみる。そこには依頼を受けた4人の情報が記載されている。
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リューゼ 28歳 戦士 人族男 Cランク
大剣使いでタンクも出来るアタッカーとしてナワイカの街では上位の探索者。性格は豪胆。キョットー迄可
一言「自分の実力で依頼主の使い魔にどれだけ通用するのか一度戦わせてくれ」
ミケイ 14歳 戦士 人族男 Eランク
協会には入って間がない。剣と盾を持って戦うタイプの戦士であり、依頼の達成率を見ても実力はそれなりに高い様だ。元気で勇猛。エルザとは同郷で一緒にナワイカに来たらしい。リーモア迄可
一言「村一番の戦士の俺に任せろ!」
エルザ 13歳 僧侶 人族女 Eランク
協会には入って間がない。回復、補助を中心に魔術を使う。性格は温厚。ミケイとは同郷で一緒に行動している様だ。リーモア迄可
一言「怪我とかした時お役に立てます」
リエル 15歳 魔術師 人族女 Cランク
ナワイカの協会には来たばかりの為不明。本人曰く修行の為国を巡っているとの事。キョットー迄可
一言「目的地は同じ。むしろ私がキョットーまで護衛してもらいたいわ」
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キョットー迄付いてきてくれるのはリューゼさんとリエルさんか。この2人はCランクだし、実力者なのは間違いないだろうから…
「どうだ?決まったか?」
「とりあえずリューゼさんとリエルさんは採用としようかなと」
「リューゼは見た目や言動こそ荒くれ者っぽいが護衛としていい仕事をする筈だ。リエルは俺もよく知らないが、昨日話した感じ人柄は悪くなさそうではあったな。聞くところによるとキョットー出身らしいぞ」
キョットー出身なのか。このナワイカ迄旅が出来る実力があるって事だよね。
他のミケイさんとエルザさんはEランクか。村一番の戦士ってどのくらい強いのかな…エルザさんは回復魔術が使えるのはありがたい。それは旅する上で助かるね。
この2人はセットじゃないとダメなのかな?
「実際本人達と話してみても良いぞ。事前に断わるよりやりにくいだろうがな」
確かに話してみて直接「君、不採用で」とはちょっと言いにくい。
「うーん、でも話してみます」
「そうか、まだ昼までは時間があるから適当にしててくれ」
「わかりました。ヒムロ、訓練場行こっか」
『あぁ』




