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お金稼ぎ

 師匠の元で修行を始めて数ヶ月。身体作りや勉強もそれなりに進み、そろそろ旅に出る為の準備をする事にしました。


シャッ、シャッ、シャッ!ザッザッ。


 この音はナイフとヤスリ片手に木の枝のデコボコを削って慣らしてる所です。


シャッ、シャッ、シャッ!


 最近では偉大なる師匠のマンツーマン指導のお陰で錬金術の腕も上がってきて、あのラギの実から作る閃光玉だって(ほぼ)失敗しなくなりました。経験が物を言うって奴です。


ザッザッザッ…コトン。


「ふぅ、棒の部分は3分の1完成!休憩!」


 勿論作ってるのはただの棒ではありません。私愛用のロッド、フォーチュンちゃんと同じ材質の、ブトゥバスの木の枝を削ってレビテーション等の魔術の紋様を柄に刻み込み、特殊なニスで加工して、ラルーの木の細枝を下端に縛り、柄頭に手作りの猫のキャップを嵌め込めば…私ブランドな空飛ぶ箒の完成です!


 そう、少し前に言ってたお金稼ぎの一環ですね。この材料を集める為にこの世界に来た時彷徨ったあの森の中を結構歩きましたよ。割と深いところに群生したり落ちてたりするので、行きはまだしも帰りが辛い。欲張って枝一杯籠に載せたものだからメッチャ足にきました。その日、次の日はプルプルしてました。

 

 そんな私印の空飛ぶ箒、約20万ルビ程で売れます。ここに経費が掛かるんですが、材料は拾って来たのでタダ、魔法陣部分を師匠にチェックして貰うのに1割払う程度、元払いの宅配での1万で、大体16〜7万ルビが手元に入ってきます。街に住む一般的な家庭のお父さんが一月20〜40万ルビの稼ぎ…手間を考えてもはっきり言って大儲けです!


 勿論コレだけではなく、滋養にいい薬草等の素材を刻んでコネコネして固めて作った青汁もどきの粉を、市場で並べて身体に良いと健康志向な方々に売ってみたり、

 ウインドブローの魔術を組み込んだ持ち手と穴と吸込口の付いたホースを組み込んだ、掃除機と言う名の木の箱が奥様方に大ウケしたり、

 師匠の裁縫やレザークラフトの本を借りて勉強して、日本にあったデザインに加工したプリントTシャツ的な衣類や革細工な小物を、同じくクラフト好きが集まる会場で販売してみたり。コレも珍しいと色んな人が買ってってくれた。

 後、元の世界の通販番組などで見た微弱な電気でシックスなんちゃらな筋トレマシーンをアレコレ組み合わせて再現して好事家に売ってみたり。使ってる時メッチャ笑ってた。


 お客様達には大層喜んでもらえて、また何か作ったら知らせて欲しいと言われてます。そんな笑顔が見られる物作りとは面白い物です。


 さて、小休憩も終わったし、次は…


カリカリ、カリカリ。フゥー、


 ここ最近の私は何かこう、いい波に乗ってると言うか、何をしても大体上手くいくんですよねー。お陰様で順調に貯金が貯まりつつあります。目標は幾らにしようかな?

 でもあんまり大金を持ち歩いて落としでもしたら目も当てられないしなー。こっちの世界、銀行とか無いもんな。どーしよー?


カリカリ、カリカリコリ。フゥー、


 あ、コレは柄の魔術紋様を刻んでる所です。ここで失敗すると勿論真っ直ぐ飛ばなくなりますし、この棒もカッコいいチャンバラ棒にしかならなくなります。

 チャンバラといえば私の特訓の進歩具合ですが、まぁコレは数ヶ月程度ですぐ熟練者みたくなるもんでもなく、相手をしてくれているラザちゃんに未だに一度も勝ててない、と言った所です。

 でも流石に練習してるだけあって「様になってきたのぅ、その調子じゃ」と師匠が褒めてくれたり。やっぱり褒めて貰えると嬉しいですよね!褒められて伸びるタイプですよ私!


カリカリ、カリカリ。


 ん?今刻んだ所の確認中なのに…あ。


カリカリ、カリカリ、「ナァー」


「ごめーんヒムロ、今入れたげるから!」


ギィー…じーっ。


「ごめんってば、ちゃんとご飯も用意してるから機嫌直して、さぁほらおいでー」

『我を締め出すとは…』

「まぁまぁ、ほら今日はお魚だよー」

『ぬっ』


 あはは、尻尾ピーンってなった。分かりやすいなぁ。可愛い!

 この子はアレだ、こないだ召喚した私の使い魔だ。


 あれはある寒い日のことでした…

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