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「紅白歌合戦に出場しよう」
僕は詩は歌うけれど
歌は唄えないのであります
それでも僕は紅白歌合戦に出場したいのです
詩人の僕が歌人の催し事に出る必要がないのはわかっています
しかし僕は紅白歌合戦に出場したいのです
歌と歌との戦いに、詩でもって挑みたいのです
僕には歌はないけれど
これまでしたためてきた詩ならある
けど、もし僕個人で願いが叶わないのであれば
僕だけの力では何も動かせないのであれば
もう皆で紅白歌合戦に出場しよう
もちろん貴方も君も、通りすがりのお前さんも
全員で紅白歌合戦に出場しよう
かの会場へ殴り込みに行こう
テレビに映らされるのでなく、映りに行くんだ
もちろん歌なんかなくていい
唄えなくてもいい
極端な話、詩もなくてもいい
歌えなくてもいい
皆で一斉に戦うんだ
紅組も白組も関係ない
その戦いの中で波打つ鼓動がリズムとなって
そこに言葉を載せてしまえば
詩であり、かつ歌となるのだから




