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「会社に居ておいて一日を無駄にした」
会社に居ておいて
ずっと遊びっぱなしだった
いや正確には午前の最初の時間と午後の最後の時間は
詩をつくる時間に充てていたので
全てを無駄にした訳ではないとは主張する
しかし上司がこれを知ったらどう思うか
私が詩をつくったから有意義であったと言っても
その詩が会社のものとなる訳ではない
ましてや取引先の人間が知ってしまったらどうなるのだろう
「委託先の社員は詩に勤しんでいます」なんてことを
上司も取引先も
きっと私が大人しく真面目に
素直に従って
やるべき作業を早めに終えてくれたら
きっとさぞ助かったのだろう
だが私は残念なことに
やる気が全く湧かなかった
その上司や取引先からすれば
私はきっと、会社に居ておいて一日を無駄にした人間
としか思われないのだろう
たとえその詩が他の誰かに役立てたとしても
自分に利得がなければ全て無駄なのである
それが正解だと突きつけられても
私がちょっとした時間につづった詩が
きっと誰かの支えとなるように
そしてもしかしたら、あなたがひょんなことから
私の詩が支えとなる奇跡を信じて
今日は午前中を潰し、午後もほぼ潰し
詩を綴っていたのであった




