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「あんティー」


「なぁ、あんティー」


「……え?」


「……あれ」


「……いま、あんティーって言わなかった?」


「……おう」


「え、なんで"あんティー"って言ったの(笑)」


「いや、え、わかんない、なんか急に

 "ティー"になっちゃって……」


「ふふふ(笑)……"たちつてと"って言ってごらんよ」


「あぁ?……"たちつてと"」


「あれ、これはちゃんと言えてるな……」


「だろ?ただ噛んじゃっただけだって

 今も言えてるしな!

 ところで、あなティーさ……」



「お?」


「あ……」


「……あなティー?……あなティー(笑)?」


「え、ちょ、え、なんで、なんで?

 あなティ……あなt……あなティー……

 あれ言えねぇ……」


「お、お?呪いにかかったか???」


「かかってねぇし、呪いにしちゃショボいわ

 え、マジで言えねぇ、何でだ?

 あな……あなt……あな、テ……あな、テ……

 あなティ……あ~クソ!」



「もしかして、この俺をアナの紅茶か何かと思っているのかい?」


「訳わかんないし何だよアナの紅茶って

 アナ雪とのコラボかいな

 ……そういやアナ雪と例の紅茶飲料がコラボしとったな

 ……いやどうでもいいわその話」


「もしくは、俺を餡子の紅茶とも思っている訳か」


「いやそれも違うから

 てか餡子を入れた紅茶とか、飲みたくねえな

 なぁそんなことよりも直してくれよ

 これじゃ調子おかしくなっちまうよ」



「いや俺、お前に呪いかけてねぇしな

 そんなことより、二人称を変えたらどうなんだ?

 "あんた"とか"あなた"とか、お前がいうと印象良くねえしよ

 まず友人をそう呼ぶのお前以外見たことないし

 いっそ俺みたいに"お前"って言ったらどうだ?」


「お前……あぁ、これはちゃんと言えてるわ

 でも"お前"って……これも印象良くねぇだろう

 あなティ……あぁくそ、あぁ~もういいや

 あなティーよりは良くないにしても、あんティーほどではないだろ

 なんならあんティーも相当印象悪いぞ」


「こだわり強いなぁ……

 じゃあもう、"君"とかでよくないか?

 滅多に言うヤツいねぇけどな

 フィクションとかだとよく使われるのにな」


「いやいやいやいや、さすがに白身は」


「白身」



「……えぇ……なにこんなパターンあんの……」


「……"君"」


「……白身」


「……"黄身"」


「……白身」


「……"白身"」


「……白身」


「……え、マジで?"君"言えないせいで"黄身"も言えないとか(笑)白身は普通に言えるとか(笑)」


「もぉぉおおおっぉおおおおおお何なんだよ!!!!!!!!!

 なんで二人称おかしくなる呪いかかっちゃったんだよ!!!!!!!!」


「いや別にそれ呪いって決まった訳じゃないし」


「うるせぇえええええええ!!!!!!!!

 いいよなためェは!!!!!二人称おかしくなくってよぉ!!!!!!」



「ふふふ"てめェ"が"ためェ"になってる(笑)

 いいよ、わかったわかった、呪いかどうかはわからんけど

 試しに魔法をかけてみるよ」


「え、本当か!……ていうかお前、魔法使えるのか、初耳だぞ」


「じゃあいくぞー……ビビデ・バビデ・ブーン」


「……なんか聞いたことあるな、その言葉」



「ほれ、言うてみ、ほら、"あ・な・た"」


「あ・な・た………!」


「おぉ……!?……"あ・ん・た"」


「あ・ん……た……!!!!!」


「おぉぉおおおおお!!!!!!言えた!!!!!!言えた!!!!!!!」


「おっしゃああああぁぁぁああああああ!!!!!!

 これでもう悩まなくて済むぞぉおおおおおおお!!!!!!

 うっしゃぁあああぁぁああああああああ!!!!!!!

 ホントありがとうありがつおありがとうありがとぉ~~~……

 それにしても、まさか魔法使えるなんてなぁ、メェ!」


「メェ」


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