第15話 盾その2
お昼に盾をベルレットさんと一緒に作った。
そうするとその夜の晩御飯の時間は、私が鍛冶屋さんで頑張っている姿をひたすら上映しながらのご飯だった。
途中で私が恥ずかしいから止めてよーってお願いしたけど、パパもママも嬉しそうにニコニコしていたから止められなくなった。
ずるい。あんなに嬉しそうな顔をしてたらもう止められないじゃないかー!
そして、ご飯が終わってからパパとお話をした。
「アーシャちゃん、今まで槍だったり短剣だったりしたけど、どうして今度は盾にしたの?」
「シエラ先生とお話して決めたんだけど、今度パーティーを組む人たちは、私より多分弱いんじゃないかなって。私は一緒に組むパーティーのみんなを守らないといけないと思ったの。パパが国民を守ってるみたいに私もパーティーのみんなを守りたいって。」
「アーシャちゃん……パパはうれしいよ。でも一つだけ約束してほしいんだけど、できるだけ無茶はしないで欲しい。パパにとってはアーシャちゃんも大事で守りたい宝物なんだ。危ない事や可笑しな物からはできるだけ遠くにいて欲しいなあ。パパはいつもそう思ってるんだ。」
「うん」
「でも、だからって外に出さないで手元に、籠に入れて置くようにするのも違うと思うんだよね。難しいところだなーって思ってるのさ。だからいっぱい食べて、少しでも早く、大きく強くなってね」
「はーい。頑張っていっぱい食べるね!」
「そうだね。それが一番さ。さあ、早く寝て明日また頑張ろう」
「うん!おやすみパパ。」
「はいおやすみ。また明日も元気なアーシャちゃんでいてね」
パパとお話をしたからか、今日はなんだかホコホコした気分でお布団に入った。
今日もいい夢が見られそうだ。
翌日、学園から急いで帰ってきた私は盾作りの続きをする。
きれいに成形された盾の表面に貼り付ける為、鉄を5mm程度の厚さで均一に丸く叩く。
丸みを帯びた鉄板を盾にかぶせ、裏側を折り曲げて固定。
最後に魔力を流してトレント産の組み木と魔鉄を融合させる。
そして持ち手の部分を引っ付けて……
「かんせーい!」
「うむ。綺麗なバックラーだな。わざと凸凹をつけて刃を止めたり、シールドバッシュ用に棘をつけたりする場合も有るが、まあ入門用にはそんなもん必要ねえだろう。俺も昔は盾を使ってたことがあるが、最初は基本の形で基本の動作をまず覚えたほうがいい。」
「盾使ってたことあるんだ?」
「ああ。大盾に片手斧だったぜ。ドワーフは力が強いって習わなかったかい?体が全部入るくらいの盾に斧を持って戦うのさ。嬢ちゃんのパパと組んでたこともあるんだぜ」
「へー。ベルレットさんが前で耐えてる間にパパが弓で倒すみたいな?」
「そうそう。まさにそんな感じさ。まあ冒険者を引退してからは鍛冶屋だ。現役の時から半々だったがね」
「ふーん。パパに昔のこと聞いてみてもいいかなあ?あんまり聞いたことなくって」
「恥ずかしがるとは思うが…良いと思うぜ。また今度、飯のときにでも聞いてみなよ」
「うん。そうするね!また盾の使い方も教えてね!」
一応教本なんかも読んだ事はあるし、先輩の動き方をみて分かることもある。
でもベルレットさんはパパと組んでたくらいだから熟練の戦士だろう。たぶん。
「おう。鍛冶仕事の合間でよければコツを教えてやるよ」
「よろしく!じゃあさっそく今!」
「おう…ちょっとだけだぞ」
そのあと、盾を使った基本的な受け流しと受け止め方、それに盾を上手く使った攻撃方法を教えてもらった。
それから前衛としての心がけ、注意することも。
やっぱり昔に前線で戦ってた人って色々言うことが違うなあ。って感心しきりだった。
で、習った事をここからどう応用するかは私次第なんだって。
「大事に使えよ!」
「うん!ありがとー!」
また一つ戦いでの選択肢が増えたわけだ。がんばらないとね!




