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深窓の令嬢はダンジョンに狂う  作者: 吉都 五日
第4章 少女は学園で無双する
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第14話 盾

今日は学園はお休みだ。

みんなを守る、守るためにはどうすれば良いか。


少し考えた私はまずは盾を作って練習してみようと思った。


という訳で盾を作るために鍛冶屋さんへ行こう。

私が使えるのは初心者用の軽い盾かな?

小さい盾に短槍って組み合わせだ。たぶん割といける。

というかいい組み合わせなんじゃないか。たぶん。





お城の鍛冶屋さん、ベルレットさんの所についた。



「こんにちわー。ベルレットさんいますかー?」


「ひ、姫様!親方!親方ぁ!姫様がいらっしゃったよ!」


「なんでい!姫様だと!」



奥から飛び出してくるベルレットさん。いやあ久しぶりだなあ。



「ベルレットさん久しぶりー」


「おう!よく来たな!今日は何を造るんでい!」


「姫様、もっとちょくちょくいらしてください。親方が寂しがっちゃって」


「ルー!余計な事言うんじゃねえ!」



っほほー。ベルレットさんったら寂しがってたのか。全くもー素直じゃないんだからー。

鍛冶は嫌いじゃないし時々来て一緒にカンカンしよっと。



「じゃあ時々来るね。邪魔になってるかと思ってたよ」


「とんでもねえ。姫様がいらしたときは親方ったらすげー機嫌よくって。俺たちのためにも沢山来てください。お願いしますね!」


「ルー。おめえはホントに黙ってろ。はあ、姫さんこっちへ」


「はーい。おねがいしまーっす」



ベルレットさんに付いていつもの奥の金床前へ。当然カリナは後ろにいる。そしてまたハアハアしながら記録水晶を構えているのだ。



「こっちのお譲ちゃんはまたこの位置か。まあいい。それで今日は何を作りたいんだ?」


「盾を持ってみようかなと思って。」


「盾……ふむ、悪くねえがなあ」




ダメかな?って目で見つめる。斜め45度だと効果大アップだってママが言ってた。



「しょうがねえなあ。小さめの盾なら持てるだろう。だが上手く受け流して使うようにな?」


「うん!」


「最初はかなり練習しないと難しいかも知れねえぜ」


「それは望むところだよ!」


「よく言った。小さめの盾でも全部魔鉄だと重さはかなりヒドイもんになる。盾の表面の部分だけ魔鉄で、後はまたトレントに枝をもらって作るとしよう」


「はーい。」


「じゃあ、俺は用意をしておくから、トレントのところへいって枝もらってきてくれ。コレくらいのサイズでいい」



そう言ってベルレットさんは手で丸を作る。コレくらいの太さってことだね?それをどうやって盾にするかは分かんないけどそこら辺はやってもらおーっと。



「トレントちゃんこんちわー!」


(ガサガサ)


トレントは喋れないから枝をゆすって返事する。

ああ、リンゴは今は別に…まあもらうけど。


リンゴをもしゃもしゃと齧りながらこれくらいの枝が欲しいんだけど~ってお願いする。

またも斜め45度だ!



トレントはしょうがないなあ。って顔で枝を一本ポキッと折ってくれた。

うはは。こうかはばつぐんだ!


ゴメンネとありがとうの印に魔力かなり濃い目の水を作って根元に注ぐ。

トレントちゃんはすっごく嬉しそうにワサワサと枝を揺らしていた。



「じゃあまったねー。枝とリンゴありがとー!」


(ガサガサガサ)



むふふ。見るからにい~っぱい魔力の籠もった枝だ。

コレならすごくいい材料になるぞ。しかも取れたてピチピチだ。

…というかこの枝、ピクピクと動いて……いや動いてない。気のせいだ。そうに違いない。


そういうことにしとこう。



取れたてピチピチの枝を持ってベルレットさんのところへ行く。


ベルレットさんは火を起こして準備をしてくれている途中だった。



「はええな。んじゃあ、これからの説明をするぞ。」


「はい!」


「盾の形に木を組むんだ。でかいのを削りだすのもがいいんだが、節なんかもあるし、繊維の方向によっては衝撃で割れやすくなる。だから組み木で行くぞ。まずは枝を魔法で軽く乾燥させて、それから形を整える。そして木を組んで魔力を注ぐんだ。取れたてのトレントの枝だし、まだ生きてるからな。魔力を多めに注ぐと勝手にくっ付くぜ」


「ほへー。接着剤とかいらないの?」


「姫さんの魔力で引っ付くんだよ。ほら、まずは軽く乾燥だ」



言われるままに乾燥させる。

前に槍の柄を作った時に横で見ていたからなんとなく分かる。

火魔法と水魔法を応用して遠くから少し加熱して、そして水分を抜き取る……慎重に慎重に。



「よし、そのくらいで良いだろう。なかなかいい感じだぜ。後は皮を軽くはいで、図面を書くからその通りに切るんだ」


「うん」


「じゃあ図面をさーっと書くから皮を取っててくれ」


「はーい。」



言われるままに皮をはぐ。さっきまで生きてた枝だと思うとちょっと申し訳ないなあ。

ベリッ!と一気に行くのと、ペリペリ…とゆっくりやるのとどっちが痛くないんだろう?

枝は聞いても教えてくんない。鉄ならなんとなく分かるのになあ。


しょうがないから前にベルレットさんがやってたのをまねしてペリペリとはいでいく。

少し乾燥させたのはこのためだったみたいで、思ったよりはぎやすい。



「ふー。できた?」


「上々だな。後はこっちの図面のように切るんだ。繊維の方向も書いてあるからその通りにな。まだ魔力がかなり通ってる枝だから道具にもちゃんと『纏い』を使わないと道具がダメになるから気をつけてな」


「うん。任せといて!」



図面には木の繊維の方向まで指示してある。節のないところを選んで、図面のとおりになるようにノコギリとノミをつかってカットしていく。

大きさが30cm程度の丸盾を作るのに、組み合わせる木のパーツは100個以上ある。


こんなにあると切るのも大変だけど、並べておくのも大変だ。

すぐ分かんなくなっちゃうな……ああ、図面の上にそのまま置けば良いか。



一つずつ、コツコツコツコツと切り出していく。

隣ではベルレットさんが微調整をしてくれている。


私が『二人で一緒に何かを作るってのも良いね!』って言うと『悪くねえ。』だってさ。


カリナは枝を取りに行ったり、切ったりしているところの一部始終を撮影して喜んでいる。

こいつはホントに謎だなー。



パーツが全部切り終わったらそれを一つずつ組み合わせる作業だ。押して填めて、時には小さいハンマーで叩いて。全部のパーツを填め終わったとき、もう夕方だった。



「いい感じだな。はみ出したところは微調整しておいてやる。姫さんは晩飯食っておいで。」


「私ももうちょっとやるよ!」


「子供はちゃんと食べねえといけねえ。帰って今日のことをママに報告してきてくれ。」


「はーい。」


「私が撮影した記録水晶を国王様と王妃様にご覧に入れます。きっと喜ばれるでしょう。」


「そうだな。そうしてもらおう」


「ええっ!はずかしいよお」


「恥ずかしいような仕事はしてねえ。誇るべきだ。観てもらいな」


「うん……」



やったことは自信持てるけど、それでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいよ!

読んで頂いてありがとうございます。


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